BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

鳴門レディースオールスターTOPICS 3日目

眠れる獅子たち

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 連日、活きのいい若手にスポットを当ててきたが、3日間36レースが終わってみたらば予選トップは真打の小野生奈! 猛烈な追い風が吹き荒れる中、前半2Rは2コースからズッポリの差し抜け、後半9Rは5コースからドッカーーンのまくり差しで2連勝をやらかした。この荒れ水面での5コースまくり差しは至難の業としたものだが、スタート(コンマ22のビリ)で大きく後手を踏んでのそれだったから驚愕に値する。

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「エンジンさまさま、しっかり返ってくれました」
 レース後に声を弾ませた生奈。確かに、初動からサイドの掛かり、旋回後の出足、出口から押して行くレース足と、どこを取っても抜群の足色だった。私は前検で「伸びは上々だがターン回りはギクシャクして心配」などと書き、翌日の本人のコメントも「直線はいいけどターン回りは重い」と私の見立てを肯定するものだった。そこから2、3日でこれだけの足に仕上げたのだから、改めて彼女の整備力も高く評価すべきだろう。明日の予選ラストは12R1号艇。もちろん、ここをキッチリ逃げきれば3連続の12R1号艇となるはずで、今日の足をキープしつつスタートを五分に持ち込めば(←去年のF2の余波でココがちょいと課題かも?)すべて真っ先にゴールを通過する可能性は高い。

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 暫定2位の岩崎芳美は、今日の3Rもゴキゲンな行き足をフル稼働。スリット隊形は2コースからわずかに覗いた程度に見えたが、そこから1艇だけがぐんぐん出て行って余力たっぷりのジカまくりを決めた。昨日のやや遠慮がちなA【出A・直A】から、A+【出A・行S】と修正しておきたい。明日は7R4号艇の一発勝負。4カドから3号艇の大山千広をスリットで飛び越えれば、12Rの生奈に相応のプレッシャーをもたらす着順を得ることだろう。

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 と、書きつつ、今日の大山千広のパワーも侮れないものがあった。昨日までは引き波に入るたび尻もちをつくようにバウンドしたり失速したりしていたが、今日の実戦では一度たりともそんな脆さを見せなかった。気候の変動や安定板の影響を加味しても、明らかに機力そのものが良化した気がしてならない。今日は2コース差し&6コースから鮮やかな立ち回りで1・2着。同県の生奈には1日遅れてしまったが、眠れる獅子が完全覚醒しての暫定4位にランクアップ。明日の7R、岩崎の節イチ級の行き足を封じて先攻めするようなら、さらなる上位=準優1号艇を手にすることだろう。スリットでの両者の攻防が今から楽しみだ。

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 そしてそして、今日のMVPは生奈でも千広でもなく、今井美亜っきゃないでしょ! 猛烈な追い風をモノともせず、5コースからありえないスピードでの一撃まくり。そう、今節も出ました「見る前に飛ぶ全速握りマイ」! いつ飛び出すか分からないのが玉に瑕だが(笑)、本当にこの子からは1秒たりとも目を離しちゃいけないのだな。どちからと言えばパワー劣勢だったり、今日のように劣悪な水面環境のときにアレが出やすい気がするのだが、どうか。他の5艇が止まっているように見えた異次元まくりでデビュー500勝達成。持ってる女は違いますな、美亜ちゃん、おめでとう!!

緊急(?)レポート
「鳴門の隠れ特観」潜入記

 はい、どうしてもレース水面が観たくなった私、レースの合間を縫って「鳴門の隠れ特観」と呼ばれている?『あらたえの湯』に行って参りました。鳴門ボートに隣接したこの健康ランドは入館料650円でOK(レンタルタオル350円が必要ならポッキリ1000円也)。詳しい施設紹介は公式ホームページに任せるとして、とにもかくにも2Fの浴場まで猛ダッシュ
 かけ湯をバシャバシャ掛けて露天風呂に向かうと、おおっ、見える見える!! マジックミラーになったガラス越しに、パノラマの如く広がる鳴門水面。真正面がちょうど100m標識で、2マーク方面はまったく障害物がない素通り。逆に1マーク方面はロイヤル席の壁に遮られているのですが、上げ底になった「寝湯」で立ち上がると長身の方ならガラスの上から1マークも含めて180度すべて見渡せます。

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 私が到着したのは7Rの〆切5分前。露天には2人ほどの客しかいなかったのに、モニターに「発売締切」の文字が映ると同時にわらわら10人ほどの裸のオッサンが押し寄せる。どこでチェックしてるんじゃい!? などと思っている間に、さらに4、5人がわらわら。それぞれザブンと温泉に浸かったり、寝湯に立ったりしながら、すべての視線はレース水面へ。もちろん、私もピットから飛び出す6選手(特に6号艇の富樫麗加)を凝視した。嗚呼、やっぱ生のレース観戦は素晴らしい!
 2周のレースが終わると、ほとんど初対面と思われるオッサンたちの「感想戦」がスタート。
「チッ、⑥がまんま3着なら25倍やったんにな」
「ああ、アレは握りどころと差しどころを間違いちゅう。まだまだ若いわ」
「やっぱ遠藤は巧いのぉ」
 とかなんとか好き勝手な言葉を交わしつつ、また露天から三々五々に去って行くのだった。うーーーん、愉しす♪

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 風呂から上がると、(あくまで)取材のために1Fの『蕎麦と活魚の店 なるみ丸』へ。もちろんアルコールは摂らず、いかにも鳴門らしい「わかめの天ぷら」(500円)と「なるみ蕎麦」(750円)を注文した。写真がなくて申し訳ない(←いまどきガラケー男)が、わかめの天ぷらはかなり量があって食べ応え満点。「なるみ蕎麦」は地物の鳴門鯛だけから出汁をとったとされるスープが滋味深く、しかも鯛のアラ、カマの塩焼きとパリパリの鯛皮せんべいがこれでもかと乗っかっているからたまらない。蕎麦をつるつる、アラをばくばく、皮をぱりぱりしつつ、私、気づきましたね。天つゆで食べていたわかめの天ぷらを、わしっと箸で掬ってオン・ザ・ヌードル!! これが美味いかどうかは、読者の皆さんが頭の中で想像してくださいまし、ムフフ。
 なんだか『あらたえの湯』の回し者のような記事になってしまったが、まさに鯛や選手が舞い踊る竜宮城の如き時空間でありました。私と同じようにレース水面に飢えまくっている方は、どーぞ鳴門に来て特観料の650円をお支払いくださいませ。お値打ちですぞ~~♪(photos/チャーリー池上、text/畠山)