BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島クラシックTOPICS 初日

独断のパワー評価

 スタート練習中止となった前検から約24時間。何はともあれ「今節のパワー相場を私なりに把握するのが先決」と考え、初日の実戦を観てのパワー評価を記しておく。もちろん、それぞれ1、2走しかサンプルがないので、今日のところは足色に特長のある選手をフューチャーしておきたい。

ストレート系

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★★下出卓矢【伸S】…今日の2Rはチルト1・0度に跳ねてアウトから大まくり。惜しくもイン若林将は捕えきれなかったが、さすが北陸のまくり侍。5コース桑原悠(やはり伸び重視)を伸びなり叩ききった迫力は半端なかった。今後も瞬き厳禁!
★★吉川昭男【伸S】…下出は“人工的な伸び型”だが、コッチは15号機まんまのセールスポイント。ただ、昭男自身は「超伸び型だけど自分向きじゃない」と語っており、できる限り手前に引っ張る腹づもりだろう。果たして「超直線型モーター」(三島談)の15号機がバランス型に落ち着くのか。用心深く見守りたい。

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★★森高一真【行S】…起こしからスムースに加速し、スリット付近でスピードMAXに。後半9Rは2マークで守田俊介の強襲を浴びて振り込んだが、油断なく乗っていればピンピン連勝だったはず。3・5コースでは迷わず握るタイプなので、常にスリット一撃を警戒しておきたい。
★★中澤和志【伸A+】…最近、ストレート系に寄せることが多い中澤が、今節も初日からマイスタイルに仕上げたか。前半3Rの展示タイムは6秒57の今日イチ時計。その数字を裏付けるように5コースからピュッと伸びて自力で攻めたてた。一方の出足系は中堅あるなしというムードだったので、現状はセンター筋からのスリット一撃が怖い。

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★★福来 剛【行A+】…午前中の特訓からスリット足が光っていたが、7Rのスタート展示も4カドから軽快な動き。いざ本番は3コースでやや景色が変わったものの、バックから伸びて難なく2着を確保した足は侮れない。レディースオールスターに続く選手班長のVがあったりして。
★池田浩二【直A】…3Rで中澤の外からしっかり出て行った。後半の行き足も強めに見えたが、今日の時点では出足・回り足が空回り。引き波をまたぐたびにバウンドしたり失速したり、回転不足が目についた。合えば全部の足が強くなるはず。
★桑原悠【伸A】…先に書いたように下出の突進を止めきれなかったが、伸びは上々。もちろん、このまくり屋にとっては発展途上でしかなく、明日からはさらに凶暴な直線足に仕上げるだろう。ゴンロク発進でも軽視禁物だ。
★磯部 誠【伸A】…5Rバックで逃げる森高はじめ深川、桑原にぐんぐん迫って行ったストレート足は脅威。事故艇があってわずか1周のレースだが、出足・回り足も強め(まだ不明)なら、下剋上のVまであるかも?

出足・回り足系

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★★稲田浩二【出S】…とにかく10Rの2マークが絶品! 先行する松井繁と赤岩善生の前を遮るように突進しての先マイはかなり無理攻めに見えたが、ガシッとサイドが掛かってそのまま先頭に躍り出た。間違いなく出足はトップレベル。直線は平凡なので、稲ダッシュ的にはさらなるパンチを求めて調整するかも。要注目。
★★辻 栄蔵【出A+】…こちらもくるり回って出口からの押しが強力。前半4Rは展開で不利が重なって4着に甘んじたが、不気味に先行艇に追いすがるレース足は選手にぴったりの「忍者足」と感じた。一方の直線は中堅ど真ん中と見たが、そこを重視しないタイプなので課題にはならないだろう。

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★原田幸哉【出A】…どちらかと言えば全部の足が強めのバランス型だが、出足~行き足のツナギがかなり軽快な印象。内枠とはいえ1号艇を温存しての2・1着はでかい。今節は久々にこの天才が暴れそうなパワー&リズムを醸し出している。
★柳沢 一【回A】…ドリーム戦の6号艇からくるくる回って接戦をくぐり抜け、3着を奪った出足・回り足は高く評価できる。競り合いの中でいちばん余裕のある足色にも見えた。捌き達者の乗り手にぴったりの相棒と言えるだろう。
★若林 将【出A】…F2持ちで後手後手に回るシリーズになりそうだが、名うての個性派を相手にしっかり逃げきったレース足はかなり強めに見えた。後半6Rも5着ながら道中の回り足にはキラリ光るものあり。人気の盲点になりやすいだけに、ヒモ穴として念頭に保存しておきたい。

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★平高奈菜【出A?】…正直、ここで取り上げるほどのレベルじゃないかも? ただ3Rの混戦模様の1・2マークから的確なターンで2着を獲りきったのはお見事で、引き波を超えるレース足に力強さは感じた。選手的には軽量が生かせるストレート足がもっと欲しいはず。今後の動向に注目したい。

 他では新ペラに交換した前本泰和の回り足も上位候補。銘柄モーター17号機の上條暢嵩も、すんなり池田を追い抜いたあたりに底力を感じた。全部の足が強めのバランス型と見ている。逆に、どの足も厳しそうだった選手は太田和美、今垣光太郎、白井英治(帰郷)、三井所尊春あたりか。
 え、何かとっても大事な選手&パワーを忘れてないか? もちろん、忘れるはずもなし。別枠で今日のレースを振り返るとしよう。

今日の元浩13号機
12Rドリーム戦…ありえない5着(涙)

 残念無念!! ドリーム戦の2号艇で参戦した吉川元浩は、2コースからまるで見せ場も作れないまま5着に敗れ去った。まさかの大敗だ。現時点で敗因はわからない。

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 ことスロー起こしからの行き足(=スリット足)だけなら、今日も間違いなくトップ級と確信している。9R後のスタート特訓の2本目なんぞは、同じような起こしタイミングから石野を1艇身近く出し抜いて見えた。スタート展示もグングン出て行った。
 いざ本番もスリット同体からスーーッと石野を煽っているように見えたが、そこで売り切れた感がある。この伸び足のダウン(去年の夏~秋が凄すぎただけではあるが)は、12月あたりからやや気になる部分ではあった。で、それより何倍も気になるのは、ターン回り!! ジカまくりは無理と見てすんなりの2コース差しを選んだら、ツケマイ気味に攻めた3コース毒島の引き波の上でズルッと失速。その後も焦りがあったにしろ、ターンマーク(特に1マーク)ごとに引き波でキャビテーションを起こし、大きなスプラッシュを上げて失速し続けた。
 長きに渡って13号機を見てきた身の上としては、ちょっとありえないキャビキャビ現象だった。現在の13号機は行き足のみならず、出足・回り足も強力で引き波を軽々と超えてグングン追い上げが利くはずなのだ。

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 もっともシンプルな敗因予想は、「今日の回転がまったく合っていなかった」。
 うん、シンプルかつこれ以外の原因はちょっと考えにくい。今日の平和島の水面・気象環境がとりわけいつもの初春の1日と変わったようには見えなかったが、なぜか回転がズレまくっていた。もちろん、レース後の元浩はより核心に迫っているはずで、明日はしっかり修正してくれるだろう。明日は5・3号艇の正念場。13号機らしいまくり決着ならさほど出足系統は必要ないが、スリット同体から捌く展開になったときは……元浩の手腕に期待するしかない。今日の謎の大敗で少しでも人気が下落してくれれば、「災い転じて~」となるのだが、どうか。(photos/シギー中尾、text/畠山)