序盤の時間帯は、実に落ち着いた空気であった。準優組のボートを見ると、まだプロペラが着いたままのモーターも多かった。ペラが外されていたとしても、その選手の姿はプロペラ調整所にはなく、本格的に作業に着手していない選手も少なくない。地元ＳＧに燃える永井彪也もその一人で、基本的にはエンジン吊りでしか姿は見られなかった。今日は午後になってさらに気温が上がる予報だから、現時点で急いでも、というところか。
福来剛にいたっては、ボートが裏返しにひっくり返されて置かれていた。つまり、モーターもまだ装着されていない。班長も今日はゆっくりか……と思いきや、あれ、福来の姿がプロペラ調整室にあるではないか。真剣な表情でプロペラと向き合い、ハンマーを振り下ろす。ようするに、モーターを装着する前にまずはペラ調整、というわけだ。
そうしたなかで目立つのはまず毒島誠。１Ｒ発売中、試運転で水面を駆けていた。ちょうど一般戦組も試運転に出ていない時間帯で、毒島は水面を独占するかたち。何周かしてあがってくると、まっすぐペラ調整所に向かった。準優１号艇が早い動き出しとは少々驚かされるが、今節は「体感が悪い」と繰り返し語っており、万全を期すためにその調整を続けているというわけだろう。毒島といえばギリペラだが、今日も展示ピットにボートをつけなければならないギリギリの時間まで、調整が続くだろう。
馬場貴也は本体整備に着手だ。馬場は去年のクラシックも準優５号艇から優出を果たしているが、そんなジンクスに頼っているわけがなく、パワーアップは急務ということ。大きな整備をしている準優組は馬場のみで、その動きはやはり目を引いた。２年連続優出に向けて、全力の調整が続く。
あとは、村松修二が実に丁寧にモーターの装着作業を行なっていたのが目についたくらいか。村松はＳＧ初出場、ルーキー世代ながら実に堂々たる戦いっぷりを見せている。ピットでも雰囲気に呑まれた様子が少しも見えないのだから、たいしたものだ。今年のグラチャンは宮島。クラシックで優出を果たせば（そして完走すれば）グラチャンの権利が手に入る。地元ＳＧ出場機会を得て、さらにジャンプアップを果たすべく、気合の準優となるだろう。（ＰＨＯＴＯ／中尾茂幸 池上一摩 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
