BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――ブレない

f:id:boatrace-g-report:20200526211419j:plain

f:id:boatrace-g-report:20200526211819j:plain

 今日は午後から雨が降り、強めに降った時間帯もあったわけだが、それが選手たちのパワーアップへの渇望を萎えさせることはない。初日の1走ないしは2走を走った手応えをもとに、遅い時間帯まで試運転を続ける選手は少なくなかった。
 最後にボートをあげたのは、上條暢嵩と上田龍星の大阪新兵コンビ。まさしく新兵仕事をこなしつつ、熱心に試運転を行なっていた。地元SGに爪痕を残さんと、暗くなって雨が空気を冷やしてきても動き回る若者の姿は実に清々しい。今日は大敗を喫してしまっている上條と上田だが、明日は結果につなげられることを期待する。

f:id:boatrace-g-report:20200526212027j:plain

 守屋美穂も、遅くまで試運転をしていた一人。平和島クラシックでもそうだったが、男子に負けじと奮闘する姿には逞しさすら感じる。SGで通用する選手になりたい、そんな思いも強く透けて見えるような気がする。守屋に限らず女子選手の熱心さにはいつも感服するわけだが、それだけではない何かを感じるように思えてならないのである。

f:id:boatrace-g-report:20200526212113j:plain

 男子では平本真之も遅くまで乗り込んでいた一人だ。今日は2号艇2着。ピット離れでズッて結果4カドになっているのだが、それでも2着を獲った足色は悪いようには見えなかった。さらなるパワーアップ、なのか、それとも反省点が見つかっての乗り込みだったか。明日は1号艇がある。しっかりとインを獲って逃げ切りたいところだ。

f:id:boatrace-g-report:20200526212135j:plain

 プロペラ調整室からも、遅くまで金属音は漏れてきていた。換気をしっかりと、ということだろう、出入口のドアが開け放たれていたから、音はなお響き渡ってくる。隙間から覗き見てみると、小野生奈がかなり強くプロペラを叩いている姿が目に入った。小野の強打は本当によく見かけるんだよなあ。妥協なく叩き、妥協なく水面を駆ける。そうして、小野はここまでの存在に成長した。その姿勢には今も少しもブレがない。今日は大敗があったから、なおさらパワーアップ、もしくは自分の納得のいく形に叩き上げるという部分もあるだろうが、そうでなくとも今日はやはり遅くまで調整を続けていただろうと思う。

f:id:boatrace-g-report:20200526212200j:plain

 今節は規制線の外側からは整備室の様子がなかなか覗き込めないのだが、エンジン吊りのたびに整備室から出てきていたのは今垣光太郎だ。光ちゃんも50歳、整備等の際はシニアグラスが手放せないわけだが、エンジン吊りにはそれを片手に整備室からダッシュで駆け付けるという連続。結局、12R発売中まで整備室で過ごしていたのだった。大きな整備をしていたのかどうかはまったくもって不明、ご了承ください(明日の直前情報を要チェック!)。ともかく、今垣もまたやれることをとことんやり尽くすという姿勢にいささかのブレもない。

f:id:boatrace-g-report:20200526212252j:plain

 あと、永井彪也が整備室にいる姿がちらりと見えました。今日は1R1回乗りだったわけだが、遅くまで作業を続けたわけだ。ピン発進とはいえ、まったく手を緩めていない様子である。明日の気配にも注目してみたいところだ。

f:id:boatrace-g-report:20200526212327j:plain

 終盤のレースでは、11Rで松井繁が逃げ切り。好枠デー2着1着の発進となった。といっても、レース後の王者は粛々。初日の好成績で浮かれるわけがないのである。どんなときでもいつも通りに頑張る、が王者の信条。今日もいつも通り頑張って、ひとまず結果は出た。これを受けて、明日からもいつも通り。王者のブレなさも相当なものである。

f:id:boatrace-g-report:20200526212400j:plain

 で、ドリーム逃げ切りの峰竜太はゴキゲン。15mくらい先から規制線の外にいたこちらに気づいて、アロハー! まあ、これが峰竜太スタイルであり、やっぱりブレてないってことでいいだろう。ファンに選ばれてのドリーム1号艇は、デビューしたころからオールスターファン投票1位を夢見ていた峰にとっては特別極まりないもの。4年連続1位と、このポジションが当然となってきた今となっても、そのスペシャルさに変わりはない。初の1位のときのドリームは、1マーク差されて2マーク焦ってネトロン飛び越えたもんなあ(笑)。その失敗も経て、やはりこの逃げ切りは特別な逃げ切りだろう。あなたは浮かれていいんです(笑)。

f:id:boatrace-g-report:20200526212428j:plain

 一方、狙いすましたまくり差しが毒島誠の航跡と重なって行き場をなくした石野貴之は、やけに速足で控室へと戻っていくのだった。その足取りこそが、悔しさの発露だと見えた。地元SGのドリーム戦、結果が悪かったのに笑える男ではありえないのである。

f:id:boatrace-g-report:20200526212449j:plain

 で、毒島誠がやっぱりギリペラでした。このスタイルを本当に崩さないですね、この男は。この姿を目の当たりにすると、SGに来たという思いがいっそう強くなる。明日からも本番ピットの毒島の枠だけ長く空いているという状況を、何度も見ることになるだろう。(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)