BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――香川素子、おめでとう!

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 2Rで香川素子が1着! SG初勝利! よくよく考えると、すごいメンバーの1号艇に入れられたものだ。他は全員がSGウィナー、しかも複数V(5人で36V!)。グランプリウィナーはうち4人。SG初出場の洗礼というには強烈すぎる1号艇である。しかも石野が動いて、誰も入れずに枠なりオールスローだったものの、普通の枠なり3対3にはならない進入。これで逃げ切ったのは、お見事、の一言だ!

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 凱旋した香川を迎える面々の中で、大喜びだったのはやはり女子選手たちだ。たとえば大山千広と小野生奈は瓜生正義を出迎えなければならないわけだが、瓜生が戻ってくるリフトの場所から香川に向かってもろ手を掲げてジャンプジャンプ! 瓜生先輩は負けちゃったわけだけど、この瞬間ばかりはそれも許されるだろう。

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 もちろん、滋賀支部の面々は笑顔で香川を迎え、取り囲んでいる。親分格の守田俊介もニコニコと笑って祝福し、遠藤エミも嬉しそうに顔をほころばせていた。女性に年齢のこと言ったら失礼かもしれないけど、43歳のSG初出場、初勝利はやはりひとつの壮挙である。それをみなわかっているから、誰もがにこやかになるのだ。

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 強力すぎる敗者たちは、時間が経てば香川を祝福する気分にもなるだろうが、やはり微妙な表情で戻ってきている。6コースから見せ場を作った石野貴之も、2着が欲しかったわけではないのだから、唇を噛むしかない。香川に対しては潔く頭を下げてはいたものの、納得の2着ではないのだ。

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 大敗を喫した池田浩二と吉川元浩は、首をかしげながら引き上げていき、その途中で肩を並べることとなっていた。ヘルメット越しにどんな会話が交わされていたかはわからないが、不満げな雰囲気だったのは確かなことだ。

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 敗者というなら、1Rの桑原悠。2マークで振り込んで後退するかたちになったのは、不本意だっただろう。レース後、峰竜太に「コケるかと思いましたよ」と愚痴る桑原。悔しさを溜め込まずに、誰かに吐き出したいという雰囲気がありありだった。

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 2着だった篠崎元志も、4カドから攻め切れなかったことが不本意だったようで、不機嫌な表情を浮かべている。2Rの石野同様、2着で納得というわけにはいかないのだ。ボートレーサーの多くは、本当に負けず嫌い。しかし勝者は6人のうち1人だけで、敗者となることが圧倒的に多いわけである。ボートレーサーはそんな痛みに日々耐えている人たち、ということも言えるのだ。(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)