BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――変化

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 今日は丸野一樹が連勝! 3コースまくり、2コースまくりとまくり連発だ! 昨日までは機力はかなり劣勢と見えており、今節は苦戦が続くだろうと思われたが、クランクシャフトとキャリアボデー交換が当たったか、足は上向いたようだ。
 丸野はこれで満足したわけではない。雨が降り続いた今日、最後まで試運転を続けたのだ。プロペラを叩いては水面に出て、何周かしてはプロペラを叩く。雨に濡れることをまるで厭わずに、さらなるパワーアップをはかったわけである。

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 SGに出るようになって、丸野の表情が変わってきたな、とピットで会うたびに思う。簡単に言うと、笑顔が少なくなった。というより、ヤングダービーでだけ会っていたような時期は笑顔ばかりだった気がするし、また実に人懐こいところがあった。礼儀正しさは変わらないが、神妙な顔つきでいる時間が長くなった、と今は見える。それだけこの舞台で懸命に戦っているのだし、また逞しくなってきたということでもあろう。若くしてGⅠ2V、そしてSGに連続して出場、といういわば“変化”が芯から丸野を変えたのだと思う。これはきっと、さらにステップアップしていく過程だろう。

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 以前、湯川浩司が言っていた。「どんなに明るい若手も、強くなって、上の舞台で戦うようになると、どんどん暗くなっていくね。それは、責任の重さを感じるようになるからだと思うよ」。暗くなる、というのは真剣度が増すということだろう。思えば、湯川自身がそうだった。選手紹介ではコミカルに盛り上げる代表選手だったものが、そうしたパフォーマンスを封印し、ピットでも真摯な表情を崩さなくなった。素顔は依然として陽気な湯川ちゃんでも、いざ仕事に取り掛かれば責任と真っ向から向き合う。まあ、西山貴浩みたいな例外もないではないが(笑)、その西山にしても仕事自体は真面目そのものである。丸野はまさに湯川も経験したような道程を踏んでいるのかもしれない。

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 そうそう、今日ようやっと結果を出してみせた菊地孝平も、若手のころはピットでもっとはっちゃける場面をよく見せていたものだ。同期の赤岩善生にふざけてちょっかいを出して反撃を食らっていたり(笑)。だが、今はその面影はほぼ見られない。やはり明るさはたたえながらも、ここ一番では声をかけるのをためらわせるほどの集中モードに入ったりする。今節も、そんな場面を何度も見た。そして今日も、10R後に出発する1便で帰宿することもできたはずが、居残ってプロペラ調整を続けた。SG5V、グランプリ常連となって、さらにその鋭さは強くなっているのだ。

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 あ、ちなみに宮島の宿舎はすぐ近くなので、帰宿は徒歩移動です。今日は雨降りだったので、選手たちは用意されている傘を手に集合し、宿舎に向かっている。傘を取り忘れた桐生順平がそのことに気づき、やはり忘れていた中田竜太が2本まとめて取りに行くなんてシーンも。ほかに傘を取り忘れたのは岡崎恭裕、守田俊介。岡崎は松田祐季の傘を強奪しようとして失敗(笑)、慌ててダッシュしていました。守田はたまたま近くにいた関係者が先に気づいて手渡しに行き、その方に両手を合わせて恐縮してた(笑)。

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 さて、10R。遠藤エミが2着。真っ先に出迎えた吉川昭男が笑顔を向けながら、長い時間話し込むという場面が見られた。前半もそうだったが、そうした先輩の言葉ひとつひとつも遠藤の血肉となっていく。水面で対峙すれば敵同士でも、陸に上がればみな遠藤のSGでの活躍を願っているのだ。

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 3着4着は峰竜太-山田康二の師弟コンビ。エンジン吊りを終えた後は並んでカポック着脱場まで歩きながら、苦笑い含みの会話を続けていた。師弟による反省会、ですかね。

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 まるで節イチ決定戦のような組み合わせになった11Rは徳増秀樹が1着、上野真之介が2着。これで戦績は二人とも4戦3勝、2着1回だ。上野は連勝が止まったかたちだが、2着なら上々。レース後にはプロペラ室にこもっており、気を緩めはしない。徳増も充実感たっぷりで、明日の気配もますます楽しみ!(黒須田)