BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門オーシャンカップの『前検を斬る!!』

 鳴門SGオーシャンカップの前検が終わりました。今日はスタンド4Fの来賓席を貸していただいたので、チェックポイントは文句なし! 水面もほぼ無風に近い穏やかなホーム向かい風。つまりは抜群の環境で定点観測したのですが、正直、胸にズッキューーンと響くほどの怪物パワーには出逢えなかった>< 代わりにチョイチョイ良さげに見えるパワーが多い1日でした。まずは、気になるふたつのモーターの感想をば。

★須藤博倫=13号機

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 今日のところはギリギリ及第点というレベル。スロー起こしの2本はやや出足が重めで、スリットを過ぎたあたりから行き足が付いて出て行く感じ。ダッシュの1本はスリット手前からしっかり加速していた(突き抜けるほどではない)ので、現時点では伸び寄りのセッティングに見えた。明日の実戦足に期待したい。底力への信頼も込めてAランク。

★遠藤エミ=11号機

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 下馬評でエースの座を勝ち取っている11号機だが、今日の気配は「?」の一語。足合わせはターン~出口で外の丸野一樹に煽られ、スリット裏から逆に強めの足色に。スタート練習でもスローの2本が起こしからメチャクチャ重く、ダッシュの1本だけはしっかり伸びる印象だった。ストレートは水準以上も、あの出足の重さはかなり心配。30度近い気温のイタズラで片づけたいのだが……??

 それから、モーターではなく選手で気になって仕方がないひとりについても触れておきたい。

★田村隆信=14号機

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 悲願の地元SG参戦のために1年ほども我慢に我慢を重ねた田村。そんな地元のエースに神様が超抜機を与えるかと思いきや、数字がワースト級の14号機……で、今日の気配もかなり厳しげに見えてしまった。特に、スロー発進の2本。起こし~スリットまで明らかに外の峰竜太に出て行かれ、「これがドリーム本番なら叩かれ惨敗?」と危惧するしかない出足系統だった。一方のダッシュは「走り出せば他と一緒かやや強めかも」という感じで、つまりは遠藤11号機と同じような不安を抱かせた。明日のドリーム戦まで時間がたっぷりあるので、この出足系統をどこまで強化できるか。慎重に田村14号機の挙動を見守っていきたい。

 その他、私の眼鏡に止まったパワーを列挙しておきます。

★丸野一樹=79号機

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 数字は30%でも、当コーナー名物?「良く見えてしまったものは仕方がない」に該当する不気味な足色だった。まずは前述、足合わせのコーナリングで遠藤11号機を圧倒。同じように高野哲史も置き去りにしたので、出足系統は文句なし。さらにスタート練習でも起こし~出足~行き足までスムーズかつ軽快に出て行った。今日の時点でひとつだけ「S」を授けるとすれば、この丸野79号機になるだろう。果たして、実戦でいかに?

★木下翔太=32号機

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 これも丸野に似たタイプ。足合わせのターン周辺で西村拓也先輩を圧倒し、思わず「余裕あり!」の走り書き。スタート練習もスロー2本が起こし~スリットの出足系統で他をシュッと出し抜く余力を感じさせた。ダッシュからは良くわからなかったが、これで伸び足も水準以上ならVをも狙える抜群パワーとお伝えしておきたい。

★山口 剛=28号機

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 丸野や木下とは逆に、スリット近辺から先の直線足がゴキゲンに見えた。特に5カドのスリットほぼ同体から瞬時に半分ほど覗いたセカンド足は「オッ!」と唸ったほど。三島敬一郎によれば28号機は出足・回り足が魅力なので、しっかり仕上げれば全部の足が強めのバランス型に仕上がりそう。センター筋から楽しみなパワーだ。

★平本真之=51号機

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 さほど下馬評が高くない51号機だが、スロー起こし~スリット付近までの軽快さは看過できないものがあった。スリット後の伸びは目立たなかったので出足型。足合わせのターンでも西村拓也と大山千広を出口でスッと突き放す感じがあり、この長所を生かすレース(まくりより差し・まくり差し)で穴を開けるかも?

★篠崎元志=27号機

 平本と同班でスリット手前はやられつつ、スリット後は逆に力強く出て行った。選手のタイプ的にもフィットした感があり、このストレート足を磨けば十八番のセンター一撃まくりが炸裂すると見た。三島リストでは「出足~行き足が強力」なので、手前もしっかり揃えれば久々のSG戴冠も十分にありえるだろう。もちろん、外のマーク選手も要注意!

★峰 竜太=25号機

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 先にも触れたが、ドリーム班では起こしから田村を煽るなど出足系統がいちばん目立った。レバーを握った瞬間、なんのロスもなくスーーッと出て行く感じ。ダッシュでもスリット付近まで軽快に加速して行ったが、その先の伸び足はよく分からなかった。ドリーム戦が枠なり3コースとするなら、現時点でも臨戦態勢が整っていると言いきってよさそうだ。田村が応戦するだけパワーアップできるか、が明日の焦点になると思う。

★菊地孝平=53号機

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 同班の吉田拡郎もなかなか軽快だったが、その拡郎を外からシュッと1/4ほど煽る勢いで出て行った。最近の菊地はスリット足が強力になる仕上がりが多く、自分の形に叩きかえればさらに噴く可能性もありそうだ。だとするなら、元志同様にセンター一撃まくりとマーク選手の暗躍に注意しておきたい。

 他では、前本泰和、永井彪也の出足、↑拡郎の行き足、桑原悠と下出卓矢の伸び足(明日からまだまだ伸びるはず!?)もキラリ光るものがありました。私も三島も期待している29号機=安河内将は案外と言うか、今日のところはまったく合っていないムードでした。転覆からのペラ&ギヤケース交換の影響かも、ですが、本来の底力に期待したいっすね。
 前検タイムです。

前検時計TOP10
①岡崎恭裕 6.65
②井口佳典 6.66
 遠藤エミ
④魚谷智之 6.68
 白井英治
⑥杉山正樹 6.69
 木下翔太
 丸野一樹
⑨松井 繁 6.70
 太田和美
 田村隆信
 山口 剛
 桐生順平
 桑原 悠

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 岡崎のトップは少し意外ですが、先の当地GI制覇で「鳴門攻略ペラ」が出来上がってるのかも? 遠藤11号機は軽量も含めてストレート足は良さそうですな。出足系統の不安も私の勝手な杞憂だと良いのですが。それからそれから、三島敬一郎が「穴」指名した井口62号機が2位タイ! ドリーム組では峰の出足に目を奪われて気づかなかったけど、外からのスリットぶち込み一撃まくりがあるかも??

前検ワースト5
①寺田 祥 6.85
②赤岩善生 6.82
③茅原悠紀 6.81
④池田浩二 6.80
 枝尾 賢

 5人ともに悪いと断言できませんが、すべて目立たなかったのは確かではあります。テラショーはたまにワースト時計を出すことがあって、そんな節は初日から這うケースが多いような……基本的に速い時計は出ないタイプなんですが、明日も展示タイムと足色に注目したいと思います。(photos/黒須田守、text/畠山)