BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門オーシャンカップTOPICS 初日

交換ラッシュ!!

 いやぁ、ここ15年ほど、ほぼすべてのSGを現場で観戦してきたが、これほど初日に大きな部品をバカスカ交換したシリーズはちょっと記憶にないぞ。羅列しておこう。

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2R④長田頼宗=ピストン2個・リング4本・シリンダーケース→2着
4R②新田雄史=クランクシャフト・ギヤケース→5着
5R①寺田 祥=ギヤケース→6着
6R②枝尾 賢=ピストン2個・リング4本・シリンダーケース→2着
  ⑥毒島 誠=ピストン2個・リング4本・シリンダーケース・ギヤケース・キャリアボデー→1着
7R③大上卓人=ギヤケース・キャリアボデー→6着
  ★⑤茅原悠紀=キャリアボデー→1着
9R★④今垣光太郎=ピストン2個・リング4本・シリンダーケース→4着
12R②田村隆信=ピストン2個・リング4本・シリンダーケース・ギヤケース・キャリアボデー→ドリーム1着!!

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 ハァハァ、書くだけで息切れしてまうな。上記の★印は1走した後の交換で、他の7人はすべて初戦を走る前に“大手術”に踏みきっている。裏を返せば、今節はそれだけ前検の段階で「箸にも棒にもかからない低調パワー」が多かったと見ていいだろう。

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 で、大きな部品の交換は一大ギャンブルだからして、当たる選手あれば外れる選手も存在する。端的に「当たり」と見て取れるのは、6Rの毒島誠と枝尾賢だ。両者の昨日のコメントは、毒島が「出てないです」で枝尾が「ひどいです」。第一声がコレなのだから、前検の自己診断はともにワースト級だったはず。今日の6Rでは、そんなダメダメな2人が大乱戦の道中から力強く抜け出したのだから、それなりのパワー上昇があったと見て間違いないだろう。私の勝手な見立てとしては、【ワースト級から中堅に毛が生えた程度】とやや辛口ではあるのだが。

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 続く7Rでキャリアボデーを換えたふたりは、明暗(当たりハズレ?)がはっきり分かれた。5コースの茅原悠紀は内4艇の小競り合いを横目に、最内をシャープに差し抜けて1着ゲット。一方、3コースから握った大上卓人は、外・池永太の2段ツケマイを浴びる形で大差の6着に敗れた。もちろん、展開のアヤがあっての1・6着なのだが、ターンするごとにズルズル置き去りにされた大上の足色は悲惨と呼ぶしかない。

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 そしてそして、今日の部品交換ラッシュでもっとも全国の注目を浴びたのは、言うまでもなく12Rドリーム戦の田村隆信だ。半世紀に渡ってついぞ実現できなかった「地元レーサーの参戦する鳴門SG」。やっとやっと、ただひとりの地元レーサーがその権利を勝ち取ったのに、引いてしまったモーターは2連率27%の低調機……。
 前検の気配もパッとしなかった鳴門の勝負師は、おそらく早い段階で決断したはずだ。6Rの毒島と同じ【セット交換+ギヤケース+キャリアボデー】!! どんな部品が採用されたか定かではないが、地元の絶対エースに劣悪なパーツを授けるはずもなし。部品交換の情報を知ったあるモーターオタクの知人は「それって、前年度のエース50号機の部品をそっくり移植したに決まってるじゃんっ!」と断言していたが(はい、あくまで都市伝説に近い妄想ですw)、ボートレース鳴門の悲願を思えばそれくらいの荒業を使ってもバチは当たらないだろう。

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 そして、いざ実戦。田村は2コースから素晴らしいレース足でズッポリと差し抜けた。その足色は、迷子のように頼りなかった昨日とはまったくの別物だった。毒島同様、この勝利をもって「超抜パワーに変身」などと言うつもりはないが、第一関門のドリーム戦2号艇で12ポイント加算は非常にでかい。確かな機力の増幅も込み込みで、有力な優勝候補と言わせてもらおう。明日からの、文字通りの孤軍奮闘が本当に楽しみだ。
 最後に、初日の全レースを観ての独断パワー番付を記しておきたい。
S級(抜群)
★★丸野一樹79号機

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 このモーターがどうしてこんなに噴くのか謎ではあるが、スリット足が強力だわ、4Rでまくり差した出足&ターン系統も良さげだわ、展示タイムも今日イチの6秒67を弾き出すわ(2位は田村の6秒68)、今日のトップ足だと思っている。ただ、そのトップ時計を出した後半9Rは道中で何度かキャビるシーンもあり、伸びに寄せすぎた可能性もある。もちろん、明日からも随所に舟券に絡めるつもりではあるが、どこかのタイミングで「79号機の底力のあるなし」が問われる時が来るかも?

A級(上位)
★篠崎元志27号機、木下翔太32号機、山口剛28号機、岡崎恭裕73号機、平本真之51号機、峰竜太25号機、魚谷智之18号機、田村隆信14号機

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 前検の推奨パワーから菊地孝平78号機(今日は道中でキャビキャビ)と須藤博倫13号機(今日はターンで滑りまくり、回転がまったく合ってなかったはず><)がアウト、代わって回り足が軽快な魚谷と部品交換で大化けした田村がイン。遠藤エミ11号機と安河内将29号機はまだまだ本調子ではなさそうだが、半端ない底力は常に警戒しておきたい。平本は11Rの転覆が気になるが、他艇との接触のない横転だったため大きな影響はないものと考えている。(photos/黒須田守、text/畠山)