BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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多摩川レディチャンTOPICS 4日目

THE勝負駆け①予選トップ争い
最終アンカーの強み

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 昨日の段階で「トップはほぼほぼ守屋美穂!」と決めつけていたらば、いざ現実は多くの選手に自力チャンスがリレーする戦国模様となった。その経緯については随時速報でお伝えしたので、後半戦の流れを簡潔にまとめておこう。

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8R以降の自力トップ権利の推移
★8R⑤平山智加が1着でトップ→3着で10Rにリレー
★10R⑤遠藤エミ&⑥佐々木裕美が1着でトップ→それぞれ3、4着で12Rにリレー
★12R①守屋美穂が2着以内でトップ
 この他、前半戦まで含めると日高逸子(5・2着)や細川裕子(4・3着)にも自力チャンスが発生しており、大本命の守屋にとっては背筋の寒い1日だったことだろう。

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 さて、巡り巡って自力の権利がブーメランのように還ってきた最終12R。通常、予選大トリのレースは「6人全員が何らかの勝負駆け!?」みたいな混戦ケースが多いのだが、今節のそれは意外とシンプルではあった。
12R
①守屋美穂…2着以内でトップ
②香川素子…1着で6・00
③山川美由紀…完走当確
④川野芽唯…完走当確
⑤細川裕子…完走当確
⑥堀之内紀代子…圏外
 つまりはトップ&準優が懸かったガチの勝負駆けは内2艇のみ。これはもちろん守屋にとって有利な材料なのだが、私の脳裏には妙なもやもやが立ち込めていた。

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 表面には現れない、山川美由紀の密かな勝負駆け。
 見た目には予選トップの可能性も準優アウトの危険性もない山川だが、もしも得意のスタート攻勢でインの守屋を攻め潰せば、ふたつの事象が発生した。山川自身の準優1号艇と、同県・平山のトップ当選だ。で、こういう何かしらが懸かったときの山川の怖さは、何度も何度も痛いほど目の当たりにしている。私は順当なパワー予想の1=5という舟券を買いつつ、密かに3-45-245などという助兵衛な穴舟券を買ってレースを凝視したのだった。
 そして……そんな私のエロい妄想は、まったくの的外れだった。3コースの山川はコンマ14のトップタイまで踏み込んだがさほど伸びず、インの守屋がコンマ18で仁王立ち。山川はじめ他艇の攻撃を寄せつけずに逃げきった。さすがの強さだ。

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 1日を振り返れば「遠回りのトップ当選」ではあったが、他のリレー選手たちが外枠(コース)の不利を克服できなかった中、「最後の最後まで残していた1号艇を活かしきった」という意味では極めて順当なトップ当選とも言えるだろう。
 ただ、今日の守屋で少し気になったのは、相棒の26号機の機嫌があまり良くないように見えた点だ。前半戦から回転がぴったり合わずに、ターンで上滑りしている印象があった。昨日までには微塵も感じなかった不安ポイントだ。それもあって12Rでエロい舟券を買ったりもしたのだが、勝つには勝ったものの、やはりちょっと不機嫌だったような……?
 ってなわけで、予選を終えての勝手な守屋のV確率は、昨日と同じ50%に留めておきたい。明日の12Rまでに26号機が本来の機嫌に戻っているようなら、その数字はレース前に70%前後まで跳ね上がるだろう。

THE勝負駆け②準優ボーダー争い
不気味なサクセスガールズ

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 今日の「ゴボー抜き賞」はもちろん2連勝の渡邉優美。1Rはインからしっかり逃げきり、6Rは4カドから③大山千広のまくり(フライング)に連動して的確な差しハンドルを捩じ込んだ。決まり手は「恵まれ」だが、ターン出口からのレース足はキラリ光るものを感じさせた。運を味方につけての20ポイント加算で、昨日の24位→一気に11位までランクアップ。2戦で14人のゴボー抜きには素直に拍手を送りたい。

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 相棒の36号機は三島敬一郎の11傑(←モーター抽選欄参照)にもAランクとして名を連ね、私も初日の好脚を見て4番手に抜擢していた。2日目の6着は案外だったが、今日の連勝の足色はAかそれ以上と見ていいだろう。もちろん準優に入ってもそのパワーは上位の部類。さすがに滑り込みの6号艇ではハードルが高かったかも知れないが、今日の連勝で4枠まで昇格したのは大きなプラス材料だ。枠なりの4カドならば、今日と同じような展開からのズッポリ差し抜け=優出もありえるパワーとお伝えしておきたい。

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 それからもうひとり、ギリギリ18位で滑り込んだ深川麻奈美には「ハナ差のスーパーラッキー」賞を贈りたい。昨日まで準優ボーダー付近の暫定17位だった深川は、今日も2R2号艇3着&11R5号艇3着と中間着を取るのがやっとこさ。レースそのものに強調すべき部分はなかったのだが、走り終わってみたらば天国と地獄の境界線が待ち受けていた。これだ。
暫定18位・深川麻奈美 5・83 総着順123346 最速タイム1分49秒7
暫定19位・長嶋万記  5・83 総着順123346 最速タイム1分49秒8

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 節間ポイントも着順もまったく同じで、決め手となったのは持ち時計のコンマ1差!! こうしたギリギリの接戦はさほど珍しくもないのだが、雌雄を分かつ予選18位での「ハナ差」はそれなりにレアケースと言っていいだろう。まあ、コンマ1秒とはいえ立派なタイム差だからして「スーパーラッキー」ではなくて実力の勝利と言うべきか。だとするなら、逆にコンマ1秒差で次点となった長嶋は、その僅差の重みを噛みしめていることだろう。
 昨日のあの勝ちレースで、もうほんの少しだけ時計を縮められなかったか!?
 と。長嶋24号機も深川51号機も前検から唾を付けたモーターだけに(24号機はやや買い被りではあった)どっちも準優に乗ってほしかったが、コンマ01の分水嶺を突破した深川51機を明日もこっそり応援するつもりではある。モーターのみならず、深川には長嶋の分まで頑張ってもらいたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)