BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――3連勝と試運転

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 9R発売中、ゲリラ豪雨とまではいかないが、土砂降りの雨が降り出した。展示のころはほとんど降っていなかったから、9R出走組は浮かない顔で水面に目を凝らしていた。10Rを走る選手たちも、展示があるからだろう、準備をしながら渋面を作る。10R1号艇の上條暢嵩は露骨に嫌そうな顔で空を見上げた。1号艇だから、水面は荒れないほうがいい。

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 今節、JLCで勝利者インタビューをしている犬丸さんが「雨男は誰だろうなあ? 磯部さんかなあ?」と笑った。なるほど、初日はドリーム戦だけ雨の中での戦いとなり、今日も9R発売中にいきなり降り出したのだ。両方を走っているのは磯部誠のみ。その磯部も、憂鬱な顔つきで屋根のない場所に打ちつける雨を見ていたわけだが、あなたが怪しいという説があります(笑)。
 レースが始まる頃には雨は小降りになっていて、10R以降も同様だったから、やはり磯部が雨男? そんな悪天候の中での戦いも、しっかり3着にまとめているのだから、仮に雨男でも何ら問題はなさそうだ(笑)。

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 その雨中の決戦を制したのは、関浩哉! これで負けなしの3連勝だ。この快進撃に、ピットもにわかにざわついた。5コースからの突き抜けだったから、なおざわつきは大きくなる。凱旋した関には、まず金子賢志が関のヒジをポンと叩いて祝福を浴びせる。さらに同期の野中一平も、笑顔で快走を称えていた。当の関はやっぱり飄々としたものだが、2年ぶりのVへ手応えを掴んだことだろう。

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 同様のざわつきが起こったのは11Rだ。このレースは、藤山翔大がスタート展示でインを奪い、本番でも前付け敢行で2コースをゲット。ただ、これ自体はそれほどピットをざわつかせてはいなかった。果敢な前付けを見せた藤山に対しては、ここでは拍手を送っておきたい。

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 ただ、これで上田龍星が3コース、しかも内が深くなった隊形での3コースになったことで、ピットにはある予感が蠢いていたように思う。龍星も無傷の3連勝か!? スリットを超えて一気に内を呑み込んだ瞬間、おぉっというどよめきが小さく湧いていたのだった。10Rでは上條が逃げ切っており、これで大阪支部が連勝。いろいろな意味で大阪勢が水面を席巻した終盤戦ということになるわけで、出迎えた木下翔太らがやはりニコニコ顔なのだった。上田も先輩たちの言葉に頬を緩めて勝利を噛みしめる。上田は明日は6号艇。連勝キープはともかく、優勝争いにおいてもカギを握る一日となろう。ここも勝ってしまったら、2走の関はその後に走るだけに、上田が主導権を握ることになる。

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 この11R、1号艇は羽野直也だった。深いインを克服できずに上田の連勝を許すかたちで、激しく3番手に迫ったが結局4着。浮かない顔でピットに戻った。うつむき加減でヘルメットを磨く羽野の背中に歩み寄ったのは、春園功太。そっと両肩に手を置き、ごくろうだったね、とばかりに肩を揉み始めた。突如肩を抱かれるような形となった羽野はびっくりした表情を浮かべたが、それが先輩の労いと慰めとすぐに感じ取ったか、にっこりと微笑んだ。1号艇で敗れる悔しさはよくわかる、でも前付けがあったんだから仕方ないさ、といわんばかりの春園の優しさは、羽野を癒したことだろう。正直、春園はピットでも表情の変化などがあまり見えないタイプと思っていたので、今朝の大山千広への気遣いといい、この羽野への気遣いといい、少々ギャップを感じた次第。なんか俄然、応援したくなってきたぞ。

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 その春園は、10Rに出走。その発売中、苦戦を強いられている豊田健士郎が試運転からあがってきている。すると、待機していた春園はダッシュでリフトに駆け寄ってエンジン吊りのヘルプ。なるほどなあ、と改めて思う。それはともかく、豊田のペラ調整からの試運転からのペラ調整からの……は長く続いたということだ。いちど野中一平との足合わせをスタンドの記者席から見かけたが、少し上向いたような? 先述したように9R発売中には大雨になっており、それでも作業をやめることがなかったのだから、なんとか少しでも報われてほしい。

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 豊田より遅くまで走ったのは、やはり苦戦している川原祐明だ。こちらは11R発売中まで試運転。豊田同様、なんとかゴンロク街道から脱け出したいところだ。川原も豊田も、明日は1号艇1回乗り! 気合の走りを見せてくれ!(黒須田)