BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――格上組

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 後半の時間帯で沸いたのは、やはり10Rだ。中田達也、GⅠ初勝利! 3年越しの1着は、やはり福岡勢をおおいに沸き立たせていた。中田も、ピットに戻るや安堵の表情。足的には不安が残るなかで逃げ切れたこともそうだっただろうし、ようやくGⅠで先頭ゴールを果たせたことに対してもホッとしていたことだろう。おめでとう!

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 その後、競走会の職員さんとともに、水神祭のタイミングの打ち合わせ。中田と福岡勢、さらには選手班長の木村仁紀も交えて相談をしていたのだが、11Rにも何人か候補者がいたことから、その後でということになった。これに残念がったのは仲谷颯仁だ。12R1号艇だから、水神祭に加わるわけにはいかない。二人は福岡支部の中でも北九州組だから、本来なら仲谷も一緒に飛び込みたかっただろう。まあ、10R終了後に即敢行となっても、展示準備がある仲谷が飛び込むわけにはいかなかったのだが、輪の外から拍手を送るしかなかった仲谷は残念そうに、「了解です」と敬礼をするのだった。

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 で、悔し紛れに中田に歩み寄ったのは、2コース差し及ばずの磯部誠だ。喜ぶ中田の顔を覗き込んで、「誰のおかげだ!?」と恫喝(?)。中田はニコニコで、「磯部さんです!」と敬意を表するのであった。まあ、言わされた感じですけどね。磯部は水神祭にもわざわざやってきて、「達也、誰のおかげだ!?」。中田はやはり磯部さんですと言っていたが、僕は中田達也自身のおかげだと思います(笑)。まあ磯部はそういうかたちで、自分を負かした中田を祝ったというわけだ。

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 磯部は第1回からヤングダービーに参戦、その前に新鋭王座にも3回出ているから、若武者バトルの重鎮と言ってもいい存在だ。あるいはガキ大将というか(笑)。ついに先輩が金子賢志と藤山翔大のみとなった今回、ムードメーカーのように後輩をイジったりする場面もちょいちょい見かける…………って、一昨年あたりからずっとそんな感じではあるが(笑)。11Rを逃げ切った大上卓人に対しても、やっぱり声をかける磯部。スタートについて話しかけたのか、大上はニッコリ笑って「怖かった!」と返した。コンマ06の踏み込みだったわけだが、それも含めて、磯部流の祝福があったということだろう。

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 それにしても、大上だけでなく、9Rで木下翔太が今節初勝利、12Rでも仲谷颯仁が逃げ切り快勝でやはり今節初勝利と、実績上位勢がしっかりとポイントを積み重ねてきたという印象だ。木下は磯部と話し込む場面も少なくなく、SG常連の二人がこの舞台で並べば、やはり存在感がケタ違いとなる。彼らだからこそ通じ合う言葉もあるだろう。

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 8Rでは羽野直也も今節初勝利で、明日は勝負駆けに持ち込んだ。まだまだパワー的に不満がありそうで、その後もペラ調整に励んではいるが、こちらも意地を見せてきたと言っていいだろう。

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 そして、やはりドリーム組の一人である大山千広も明日は勝負駆け。今日は川原祐明、前田篤哉とともに、最後の最後までペラ調整と試運転を続けていた。何度、ペラ室と係留所の間を走っているところを見かけたことか(これは川原と前田も同様ではあった)。今節の大山は、レース前もまさにギリペラで、展示ピットにボートを着けなくてはならない時間ギリギリまでペラ室にこもって、ダッシュで係留所に向かっている。健気というよりは、SGで毒島誠らに見られるような“格上感”もそこには漂う。明日は5号艇1回乗りと楽な勝負駆けではないが、意地を感じさせる走りは見せてくれるだろう。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)