BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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びわこヤンダビTOPICS 4日目

THE勝負駆け①準優ボーダー争い
韋駄天マアコ

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 今日も書かねばなりますまい。総勢7人の女子レーサーの中で、ただひとり準優にステップアップしたのは……出口舞有子!! しかも、ギリギリ滑り込みではなく、堂々の8位で準優3号艇を鷲掴みにした。
 6R2号艇で④着条件だった舞有子は、⑥春園功太の前付けを受け入れての3コース発進。で、インの高田ひかるが起こしで溜め過ぎてコンマ36のドカ遅れとなったのだが、一方の舞有子は唯我独尊のコンマ02でスリットを通過! これはスゴイ。2コースの春園はコンマ12だったから、隊形的には同じスロー起こしでさらに1艇身近く突出するのはメチャクチャ気持ちが悪かったはずだ。Fも持ってるし。どんだけクソ度胸がある女子なのか、今節はコンマ11・08・14・09ときてさらなる沸騰点まで突き進んだわけだ。
 内3艇がここまで段々畑になれば一撃まくり、としたものだが、春園の伸び返しがなかなかに素晴らしい。1マーク手前までまくる気満々だった舞有子は、内からの殺気を察して咄嗟に減速。春園を行かせてから機敏な差しハンドルを捩じ込んで、あっと驚く節間3勝目=準優好枠へと突き進んだ。見た目には消極的なまくり差しではあったが、結果的に大正解の作戦変更と言えるだろう。節間15141着で7・20、8位で予選突破! 嗚呼、戦前に誰が「女子の中で予選突破するのは出口舞有子のみ」などと予測できただろうか。

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 明日の舞有子は11R3号艇に配分された。もちろん強敵揃いだが、今節の平均コンマ08という猛烈なスタート勘は、もちろん百戦錬磨の猛者どもを脅かすに十二分な武器となるだろう。4日前にGI水神祭をやらかしたばかりのシンデレラガールが、プレミアムGIの優勝戦まで昇り詰めるのか。はたまた、最終日の夕方に今節2度目の水神祭、などという超サプライズな偉業まで成し遂げるのか。相棒51号機のパワーと無双のスタート力を踏まえれば、あながち御伽噺とは思えないのだが、どうだろうか。
 一方、女子の大将格・大山千広は【8R5号艇で③着当確】という勝負駆け条件をクリアできず、6着大敗で4日間を終えた。その8Rは5コースからスピーディーな差しハンドルでバック2着争いに。ほぼ準優当確かというポジションに見えたのだが、2マークの全速握りマイがまったくサイドが掛からずに大外までぶん流れた。パワー云々とは無縁の、肩に力が入り過ぎたミスターンだったか。千広も人の子、「3着死守!」の強い思いが両手の操作をチグハグにした気がしてならない。

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 男子レーサーの勝負駆けMVP候補は、野中一平、宮之原輝紀、松山将吾あたりか。昨日の野中は「直前の整備に失敗してひどい足になった」と反省していたらしいが、今日はかなりしっかりした足取りで5号艇3着~1号艇1着=節間5・83でギリギリ18位に滑り込み。前検でワースト候補と見ていただけに、パワーも成績もよくぞここまで上積みできたものだ。さすがに準優6号艇では険しい機力だと感じているが、スリットモンスターらしい強烈な踏み込みで大穴を狙ってもらいたい。

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 宮之原は2日目までスタートがまったく届かず2・4・5着と停滞。3日目に出足系統を仕上げてからはスタートの不安も解消して1・3・3着にまとめ、準優ノルマの6・00をキープした。とにかく、昨日のカミソリのような3コースまくり差し10点が大きな決め手になったし、今日も前半4Rの道中では前方の吉田裕平に火の出るようなツケマイを浴びせて逆転。後半12Rは同じ③着勝負駆けの村上遼の猛追を冷静的確なハンドルでシャットアウト。つまりは天性のターンセンスが宮之原を準優まで導いた、と言っていいだろう。明日の宮之原も6号艇での険しい戦いを強いられるが、やまとチャンプ決定戦で主席=1号艇ながら「6コースから優勝する」とアウトを選択した若武者(結果は5着)の度胸満点の攻撃を侮ってはならない。

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 最後は、丸野一樹と並ぶ地元の若きエース、松山将吾の奮闘を称えておきたい。今日の松山は2号艇&6号艇で②③着というタイトな条件を突きつけられたが、2R2号艇はジカまくりでイン喜多須杏奈を付け回り、最低ノルマと呼ぶべき2着を取りきった。予選ラストの8Rは6号艇だけに「地元の気合で前付けがあるか」と見ていたが、威風堂々の枠なり6コース勝負。前出・大山千広らが揉み合いへし合いしている間にスルスルと2番手に浮上し、ノルマを2点上回る6・33=14位で地元ファンの期待にしっかりと応えきった。 相棒の44号機は、優秀なびわこ整備士チームが中間整備を施した上昇機。節イチ級には及ばないパワーではあるが、明日以降も整備士さんはただひとり準優に生き残った可愛い地元の“息子”にあれこれと素晴らしいアイデアを授けることだろう。現状でも32%という数字をはるかに凌駕するパワーが、もう一丁上積みできれば準優5号艇でも勝ち負けできる抜群機になることだろう。明日の松山44号機に関しては、他の選手よりもさらに注意深く足色や直前情報に目を光らせるつもりである。

THE勝負駆け②予選トップ争い
龍星、圧勝!

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 一方、V戦線に多大な影響を及ぼす予選トップ争いは、速報で伝えたとおり昨日まで暫定トップの上田龍星が危なげなくリードを守りきった。とにかく4R5号艇での鮮やかすぎる5コースまくり差しが値千金! 暫定2位の関浩哉との差を広げるとともに、多くのランキング上位選手のトップの可能性を消滅させた。

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 予選ラストランは11R3号艇。④着で暫定2位の磯部誠に引導を渡し、12Rの春園功太の可能性も奪うという条件だったが、枠なり3コースから冷静に差して捌いて2番手をキープしたまま予選トップのゴールを通過した。節間成績は111312着。非の打ちどころのないトップ当選と言っていいだろう。
 相棒の38号機は初日から「全部の足が強めのバランス型」という評価で一貫している。正直、着順ほどのパンチ力は感じないものの(龍星の力量、成長度が加味されていると思う)、さしたる欠点が見当たらず、イン戦にもってこいのパワーだ。怖いのはスリットからバカ伸びする敵が出現したときだが、同期の小池修平や井上忠政(落水後の整備からモンスター級に!?)が予選落ちしたのも龍星にとっては好材料となるだろう。

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 パワー以外で不安材料を探すなら、ソコソコ慎重なスタートか。ゼロ台がないのはともかく、初日にコンマ23、3日目に22、今日の4Rも28とコンマ20台が3回もあるのはちょいと心配なところ。まあ、それでいてこの成績なのだから杞憂に過ぎないのかも知れないが、準優のイン戦で20台は出し抜けを喰う可能性もあるだろう。明日の龍星は相棒の調整よりも、スタート特訓がより重要になるかも?

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 それから、予選トップとは無縁なのだが、龍星の同期ライバル・吉田裕平が今日は4・6着という凡走で昨日の3位から15位まで暴落した。前半3Rは道中で前出・宮之原の強烈なツケマイを浴びるわ、後半10Rもターン回りで滑り加減だったわ、気温がかなり低下した今日はまったく回転が合っていなかった印象を受けた。一方、初日から「節イチパワー候補の双璧」と見ていた吉川貴仁は文句なしの超抜ムードで、今日に限っては吉川21号機の圧勝と見ていいだろう。裕平のスタートはすべてコンマ10台と安定しているので、明日はしっかりパートナー47号機と対話してパワーの引き戻しに努めてもらいたい。(photos/チャーリー池上、text/畠山)