BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――忙しい前検!

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 今回も取材は厳戒態勢で、写真撮影が許されているのはピットの端っこのごく一区画のみ。どういう場所かというと、モーター架台の置き場付近であり、僕はというと、スポーツ紙の屈強カメラマンに気圧されて、架台置き場のもろ隣のスペースを確保することしかできなかった。だが、これが今日に関しては当たりで、モーターを装着した選手が次々とここに架台を運んでくるので、選手を間近で撮影できたりするのであった。割と気安い関係の磯部誠は、こちらの顔を見るや一声掛けていったりして。もちろんこちらはフェイスシールドとマスクで感染対策しております。磯部が何を言ったかって? それは「今節は終わったわー」。早っ(笑)。機歴が芳しくないモーターを引き当ててしまったようで、あまりテンションは上がっていないようだった。もちろん諦めることなどあるわけもなく、明日からも必死に調整を続けることになるだろう。

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 モーター装着は単独で行なうものではなく(かなりの重量があるので)、周りの人間がヘルプするのが当然。そうなると、やはり若手が率先して動くのであって、その流れでその若手選手が架台を置き場まで運ぶということもけっこう多い。たとえば、今節は登番が下から2番目の永井彪也は関東地区の先輩のヘルプを積極的に行なっているので、何度も架台にやってきた一人。

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 いちばんピットと置き場の往復をした選手は、やはり登番が抜けて若い仲谷颯仁。また九州地区の選手が多数参戦しているとあって、ヘルプの回数も当然多くなるわけだ。何度も何度も僕の目の前にやってきて、会釈をして去っていく仲谷。何回目かのときには、苦笑交じりに「はぁ」と一息ついて、装着場のほうへと駆け出して行った。お疲れ様! 一息ついたら、自分の仕事もしっかり行なってくださいね。

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 この場所はまた、装着場からボートリフトへと向かう途上(あるいはリフトから装着場へと戻る途上)の近くでもあって、装着を終えた選手が次々とボートをリフトへと運んでいく姿が間近で目に入る。その界隈の写真が多くなるのは畢竟……というのはともかく、その続々っぷりや急ぎリフトへと向かう様子に、前検日の慌ただしさが感じ取れるのであった。今日の着水一番乗りは江口晃生。これに毒島誠が続いた。この二人といえば、昨年ダービーでの毒島の涙と、愛弟子の優勝に感慨深そうな江口の姿が思い出される。今年も二人の絡みは随所で見られることだろう。

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 スポーツ紙のカメラマンが、着水の様子を撮影しようとして最も激しく動いたのは、松井繁がリフトへと向かったときだった。近況を見れば、峰竜太が頂点に立ちつつあるということになるわけだが、それでも松井の放つオーラはカメラマンを動かす。そのたたずまいは今でも王者のそれである。しばらく離れているSG優勝戦、そろそろその舞台で王者の勇姿が見たい。

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 さて、ドリーム1号艇は峰竜太なわけだが、記者会見では白井英治、上平真二が「峰くんが良かった」と証言している。好モーターを手にした最強の男が、早くも好気配を見せているわけだ。峰自身、今日のタイム測定とスタート練習でいい感触を得たようだ。それもあってか、あるいはそうでなくともなのか、会見ではやけに「期待に応えたい」「期待を背負う」というような文言を数多く口にしたのだった。先の丸亀周年Vで今年13度目の優勝、これまでのレコードである野中和夫さんの16優勝を超える可能性が出てきた。ダービー、チャレンジ、さらにグランプリまで制せば、獲得賞金3億円超えも可能性はある。などなど、歴史を塗り替える可能性に満ちている今、峰は自身が置かれている立場を実に冷静に、また確固として、理解している、そして覚悟もしているわけである。これまでにはあまり見られなかった峰竜太、とも言える。一昨年のグランプリを制した際、「ナンバーワンになりたい。ボートレースといえば峰竜太と言われるような」と口にした。そこに非常に近づいているということを感じさせる、峰の雰囲気なのであった。ドリームは逆らいにくいね、これは。(黒須田)