BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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大村ダービーTOPICS 初日3日目

戦国ダービー『大村事変』

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――外枠の誰かがオラオラすれば穴、しなければイン鉄板。
 昨日、こんな当たり前のセオリーを鼻高々に書いたらば、今日はほぼほぼ枠なり3対3だったのにインがコケて荒れるわ荒れるわ!! 逆に、唯一のオラオラ前付け(⑥西島が2コース奪取)があった2Rは、①江口晃生がすんなり逃げて本命決着ってあなた。
「何かしらの法則や定説を偉そうに書くと、その翌日はテキメンで崩壊する」という私の特殊能力は、一生変わることはないだろう(苦笑)。真に受けて損をした読者さんがおられたら、心の底からお詫びします><
 今日の枠なり万舟をおさらいしておこう。まず、3Rは昨日の転覆で人気を落とした②萩原秀人が2コースから差し抜け、さらに初日のF2で人気が下落した⑤石野貴之が凄まじいレース足で2着に食い込み3連単44310円。6号艇ながらしっかり人気を背負っていた毒島誠の6着大敗も特大万舟に貢献してしまった。
 続く4Rは、直線系がいい感じに仕上がった④湯川浩司が4カドから伸びなり絞めまくり。この攻めにアウト6コースから鮮やかに連動した⑥新田雄史がアタマまで突き抜けて66350円の節イチ配当に!

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 6Rは人気の①上平真二がインからキッチリ押しきったが、やや人気の盲点だった③西山貴浩が2着、昨日まで6・6着で超人気薄だった⑥西村拓也が3着に突っ込んで10290円の“ピンマン”決着。
 続く7Rは②馬場貴也が小回りで差し抜け、2-1で決まりかと思いきや人気薄の④市橋卓士が2着、さらにはアウトからまたまたF2持ちの⑥石野が抜群のレース足で3着まで押し上げて18030円。今日の石野61号機はマジでヤバイほど噴いていて、節イチ候補のひとりと見ていいだろう。フライングが悔やまれる超抜パワーだ。

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 9Rは①平尾崇典=③峰竜太に人気が集中したところ、人気の盲点だった⑤枝尾賢が十八番の5コースまくり差しでバック先頭に。そのまま人気の2艇を引き連れて20910円の大穴を演出した。
 さらに補足するなら、万舟ではなかったが11Rは③今垣光太郎が3カドから嬉々として絞めまくったものの痛恨のフライング(②江夏満も)。その猛アタックを浴びた圧倒的人気の①池田浩二は舟券の圏外へと消え去っている。

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 全12レースが終わってみれば、11回の枠なり3対3のうち1号艇=インコースはわずか3勝のみ(他1勝)、対して102倍~663倍の色とりどりの万舟は5発に及んだ。
「ほとんど無風で穏やかな枠なりばっかだったんに、なんでこんなに荒れたんじゃあ!?」
 はい、こう問い詰められても、昨日「大村の枠なりはイン天国!」などと胸を張って一席ぶった私には答える資格もありませぬ。あえてコジツケの理由を挙げるなら、こんな感じだろうか。
①昨日より気圧と気温が大幅ダウン、逆に湿気は大幅アップという激変により、各選手の調整がすこぶる難しかった。つまり、昨日まで出ていた選手の多くがパワーダウンし、相対的に昨日まで劣勢だった選手が活躍しやすいパワー相場になった。
②今節は3日目にしてオール3連対の選手が消滅したのだが、毒島や峰などの舟券バキュームレーサーの取りこぼしがまんま万舟に直結した。
 確信はないが、こんなあたりが原因ではなかろうか。

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 さてさて、昨日からの大波乱の頻発は、V戦線にも多大な影響を及ぼしている。今しがた書いたばかりの事変。
【3日目にしてオール3連対の選手が消滅!!】
 これは極めて珍しい事態だ。そもそも昨日の終了時点でオール3連対=すべて舟券に絡んでいる選手は金子龍介、佐藤翼、池田浩二、江夏満の4人のみ! その4人にしても、今日は6Rの②翼がスタートで後手を踏んで4着、7Rは⑤江夏が石野の猛追を浴びて4着(さらに11RでF)、10Rの⑥金子が枠の遠さを克服できずに4着、11Rを逃げきれば予選トップだった①池田も光太郎のコンマ+04Fのとばっちりで4着……。
 そして、誰もいなくなった。なのである。
 今年のSGを調べてみたらば、3日目までオール3連対で突っ走った選手は
★平和島クラシック=石野貴之、稲田浩二、坂口周、永井彪也の4人
★住之江オールスター=徳増秀樹、毒島誠、新田雄史の3人
★宮島グラチャン=徳増、上野真之介、峰竜太、桐生順平、新田、坪井康晴の6人
★鳴門オーシャン=茅原悠紀、枝尾賢、桐生の3人
★下関メモリアル=寺田祥、新田、菊地孝平、峰の4人
 そう、少なくとも3人くらいは「おお、ガンガン突っ走ってるなぁ、このまま天辺まで一直線か!?」などと思わせるリーダー候補が存在するとしたものだが、今節はドリーム組の全員が5着または6着を喫するなどでランクダウン。現時点で暫定トップに立った井口佳典(金子と同着順でタイム差)にしても、明日の2走で⑤⑤着=6・00という勝負駆けが残っている。

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 この混沌とした流れを一言で表すなら、やはり超ベタながら「戦国ダービー」が相応しい。そして、今日まで妙に荒れている大村とは言え、本来のイン天国水面を思えば明日の段階でトップを獲った選手が断然有利になることだろう。それは誰か。暫定6位までの明日のレースは、こんな塩梅だ。
①井口佳典 8・00 3R3号艇・8R4号艇
②金子龍介 8・00 11R4号艇
③上平真二 7・80 11R5号艇
④深谷知博 7・50 6R1号艇・10R3号艇
⑤前本泰和 7・25 4R5号艇・9R1号艇
⑥毒島 誠 7・20 11R1号艇
 うーーん、それぞれの得点率と枠番のハンデを掛け合わせると、まさに群雄割拠の戦国模様と言うしかない。井口がピンピン連勝で8Rの段階でトップ当選を決めるのか、はたまた3人の直接対決となる11Rまで持ち越されるのか??

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 その可能性はそれなりに高いと思うのだが、もっとも不気味な選手は4位の深谷だろう。初戦からゴルフで言うなら「バーディー・イーグル・イーグル・アルバトロス」と枠番を上回る着順でまとめ、明日は絶好の1号艇&3号艇。オラオラ前付けの展開を利したり、フライングの恵まれがあったり、節間を通じての強運も見逃せないところ。競馬のダービーは「もっとも運の強い馬が勝つ」と言われているが、今節のボートレースダービーも運がモノを言う気がしてならない。(photos/チャーリー池上、text/畠山)