BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――4人がSG初優出!

9R 思いを乗せて

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 金子龍介がコンマ01の踏み込みで快勝!「全速で行きたかった。だから、申し訳ないんですけど、全速で行きました」と決意の超絶スタートだ。お見事! SG初優出!
 出迎えた近畿勢のテンションが上がっていた。王者が、石野貴之が、もちろん吉川元浩ら兵庫勢も、とびきりの笑顔で出迎えたのだ。松井繁は「リュー!」と声をかけて称える。リューって呼ばれてるのね。石野は、1号艇のプレートをそのままつけっぱなしにしようとしていた。明日も1号艇になりますように! 結果的には外して正解だったが(笑)、このまま初優勝まで突っ走ることを誰もが願っているということだろう。

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 会見では、神妙になる場面もあった。3月のクラシックで吉川が優勝し、今年は兵庫勢にとって特別な1年では、という質問が投げかけられたときだ。まだ記憶に鮮明な、2月の松本勝也さんの事故。同じグループだった金子にとって、松本さんのことを忘れた日はなかっただろう。マスターズ優勝戦のピットに、松本さんのSGジャンパーがかけられていたのを思い出す。もちろん明日はまず己の優勝のために全力を尽くす。その結果、松本さんにいい報告ができれば最高だ。

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 2着は佐藤翼。いやー、あの追い上げには痺れた。3周1マークで切り返し気味に先マイして逆転した場面も震えた。こちらもSG初優出! 2度目のSGでファイナルに駒を進めたのだから立派なものだ。桐生先輩はこの9Rで戦った相手だから、出迎えたのは他の関東勢だったが、なにしろ若手選手たちが沸いていた。レース中も、特に佐藤が逆転した瞬間は声をあげ、拍手も起こっていたのだ。祝福の声に、佐藤は笑顔で、またときに頭を下げながら応えていた。

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 佐藤といえば、つい先だって発表された土屋南との結婚が大きなトピックである。艇界のアイドルを伴侶に得て、まあ、いろんな声が耳に届いたことだろう。佐藤自身、「周りの目が気になる」と会見で語っている。だが、それに続けて「納得させるには、結果を出すことだと思ってます」と力強く語っている。ということはつまり、この結婚は精神的に佐藤を強くしていると言っていいだろう。また、ダービーというタイトルは師匠の滝沢芳行が獲得しているタイトルだ。佐藤はそのことを意識しているといった。愛妻に師匠に思いを込めて、佐藤は明日、大きく翼を広げようと奮闘する。足的には抜群だから、6コースでも侮れないぞ。

10R 完璧

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 毒島誠が逃げ切り! 非の打ちどころのない逃走で、毒島自身「完璧なレース運びだったと思います」とてらうことなく自画自賛した。やっぱり強いなー。こうした修羅場は何度も経験している毒島だ、怯むこともなかっただろう。しかも、もともと前評判の高かった相棒は今日、今節で最高に仕上がったそうだ。もちろん明日も手を緩めないだろうが、機力には不安はないはずである。

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 今日、12R発売中に今村豊さんが水面に登場し、セレモニー的な挨拶を行なっている。レスキューに乗っての登場ということは、もちろんピットを訪問しており、毒島もわずかだが会話を交わしたそうだ。もし毒島が優勝すれば、これまで今村さんだけが達成しているダービー連覇を果たすことになる。ミスターに並ぶのだ。で、毒島は今村さんにサインをもらったそうです(笑)。家に飾るんだとか。その今村さんに肩を並べることができるかどうか、明日のひとつの焦点となる。

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 2着は上平真二。とにかくニッコリニコニコとしていたのが印象的だった。それほど感情を見せるタイプではないのに、やけに笑顔が目立っていたのだ。やはりSG初優出は嬉しいことだ!
 今節、上平のSGジャンパーには大きく「YouTube ボートレーサー上平真二ch」と縫い付けられている。ご存じの方も多いであろう、上平はボートレーサーユーチューバーのパイオニア的存在! そして上平いわく「たくさんのコメントをもらっている。それが本当にありがたい」。自身にとっての力となっていることを嬉しそうに語っているのだ。いやー、ダービー後の更新が楽しみだよなー。優勝戦について何を語ってくれるのか、必見ですぞ。

11R 悲願へ!

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 予選トップ通過の深谷知博が危なげない逃げ切り! 吉川元浩の2コースツケマイもきっちり受け止めて、優勝戦1号艇を勝ち取った。
 ピットでは、徳増秀樹が「よくやった」と絶賛している。徳増自身、6月グラチャンで同様の軌跡を経験しており、それがどれだけ重大なことかを理解しているだろう。ましてや、深谷はこれがSG初優出となるわけで、明日はさらに大きなプレッシャーが襲い掛かってくることが考えられる。まあ、その徳増先輩や菊地先輩がさまざまな言葉をかけてくれることだろう。己との戦いに勝つ条件はそろっている。

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 深谷自身はレース後、なんとも穏やかな微笑を振りまいている。やはりいろいろな選手から声をかけられ(先に優出を決めた佐藤翼も!)、爽快な表情を見せていたのだ。緊張感が高まってくるのはまさにこれから。この笑顔を明日の日中も保ちたいところだ。

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 2着は枝尾賢。昨年GⅠ初優勝を果たしてからの充実度は強烈である。7月オーシャンカップでSG初優出、それにつづくSGファイナリストとなった。こちらは深谷以上に笑顔笑顔! 出迎えた同県同期の江夏満が嬉しそうに声をかけ、西山貴浩はグータッチで祝福。特に江夏はまさに苦楽をともにした間柄だけに、喜びをこの場で共有できることは最高の瞬間のひとつとなったことだろう。深谷と挨拶を交わすときには、さらに笑みが深くなった。深谷を称える思いも込められていたのかも。
 ちなみに、我々が配信しておりますYouTube『週刊BOATBoy』の第1回では「ダービー展望特集」で担当Gが「5コース得意」の注目選手として枝尾をあげていました。実際に予選では5コースから1着、そして明日も5号艇! 一発あっても不思議じゃないぞ。(PHOTO/池上一摩 TEXT/黒須田)