BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――気温上昇

f:id:boatrace-g-report:20201206162450j:plain

 1R発売中、係留所で調整をしていた田村隆信。2Rの展示が終わると、ボートをゆっくりとリフトに移動させ、いったん陸に上がった。モーターを見ると白い調整用のプロペラ。これは共用のもので、おそらく回転調整をしていたものと思われる。田村はさらにギアケースを外して整備室へ。着々と調整を進めているというところか。

f:id:boatrace-g-report:20201206162511j:plain

 エンジン吊りやモーター格納のヘルプ以外では姿が見られなかったが、毒島誠のボートは係留所にあった。ということは当然、プロペラ調整中。序盤の時間帯は水面に出て行ってはいないが、ようするにいつでも試運転を行なえる態勢にあるということだ。この人の行動形態のなかには、のんびり過ごすという要素はないのだろう。レースまでのすべての時間は、調整のために費やされると言っていい。

f:id:boatrace-g-report:20201206162552j:plain

 他の選手は、動き出しはまだ先のようだった。1号艇の寺田祥は、朝のスタート特訓にも出てこなかった(他の5艇は参加しており、すべて枠なり。田村も2コースあたりの位置から発進していた)。調整も特には行なっていない様子。

f:id:boatrace-g-report:20201206162615j:plain

 原田幸哉はエンジン吊りのあとは控室へ。ただ、3R発売中には今日は使用しないプロペラゲージを片付けていて、ペラ調整の準備には入っているようだった。ゲージを片付けたのは、帰郷の準備だ。

f:id:boatrace-g-report:20201206162640j:plain

 吉川元浩も控室で過ごしている時間が長いようだった。3Rで金子龍介が2マークで転覆しているが、吉川は控室から飛び出して、レスキューの発着地点へと駆け付けている。完璧に視認できたわけではないが、モーターにはプロペラが着いたままのようでもあった。

f:id:boatrace-g-report:20201206162817j:plain

 そうそう、金子は先頭を走りながら、2マークで大きくキャビって転覆。これに小野生奈が乗り上げるかたちで、相当に危険な事故と見えた。選手たちは次々に水面に出てきて2マークを注視。やがて、「1番3番、異常なし」とのアナウンスが流れたときには、安堵の溜息とともに、あれで異常なしなのかという驚きの声さえあがっていた。ともかく、何よりではあった。金子の振り込みについて、丸野一樹が「今日は暖かいから、回ってなかったのかもしれない」とポツリ。そう、今日は気温が上がっていて、回転が上がらない条件。ペラを合わせるのが難しくなっているのだろう。
 というわけで、夜8時40分過ぎに走る決勝組は序盤とはまるで違う気象条件で走ることになる。ならば、もう少し日が落ちてから調整を始めようというのも、ひとつの考え方に違いない。もちろん、毒島のように、条件の変化を見据えて早くから調整するというのも個々のやり方ということになるだろう。

f:id:boatrace-g-report:20201206162845j:plain

 金子の事故のとき、守屋美穂はプロペラ調整室から水面に飛び出し、心配そうに2マーク方向を眺めていた。巻き込まれたかたちになったのが女子仲間の小野生奈だったことも気がかりだったか。守屋も早くから着々と準備を進めながら、仲間の様子を気遣いつつ、ビッグアプセットを虎視眈々と狙う。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)