BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――早い!

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 これぞトライアル。1R展示前から、グランプリ組の動きがあちらこちらで視界に入る。1st出場者は11Rか12Rの1回乗り。しかし、のんびりなどしていられない。たった2戦で運命が決まる過酷なトライアル1stにおいては、時間がたっぷりあるのではなく、むしろ残されていないのだ。係留所に目をやれば、松井繁が厳しい顔つきでモーター音に聞き入っている。1R展示終了後にはすぐに水面に飛び出し、何人かの選手と足合わせを行なっていた。

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 松井と足合わせをしていた一人が井口で、赤ランプが点灯(試運転中断の合図。試運転OKの合図が青ランプ)すると松井とともにいったんボートを陸にあげた。松井との情報交換は真剣そのもの。井口がここ一番で見せる鋭い刃のような表情が早くも見えている。

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 普段は割とゆっくりめの動き出しという印象がある岡崎恭裕も早々にペラと向き合っていた。1R発売中には整備室に向かっているが、その際には難しい顔つき。思索にふける、そんな表情だ。

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 白井英治も、姿をあらわすのは早かった。この人も比較的ゆったりと動き出すのがパターンだが、こと勝負が懸かった局面では朝から精力的に動くことも少なくない。トライアル1stというのはまさにそうした局面であり、自然と始動も早くなるのだろう。

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 1号艇に入る瓜生正義、菊地孝平も抜かりなく準備を進める。瓜生は1R発売中には丁寧に丁寧に装着作業。穏やかな人格者である瓜生が、今日はかなり緊張感が高い雰囲気で作業を進める。その様子は岡崎同様、何かを考えこみながらの作業というふうにも見えた。

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 菊地は何度か整備室を出入りしており、今回はその内部を確認することができないのだが、おそらくは外回りの調整、または点検だと思われる。前検の感触は悪くなかったようで、まずは大きな作業よりルーティンと言える外回りの作業ということではないだろうか。

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 西山貴浩が、1R発売中にプロペラを外し、調整所に向かっている。その途上にいたこちらに、明るく「おはようございまっすー!」。一見、いつものニッシーニャのようにも思えるが、そこにはどうしたって緊張感が見え隠れしていた。口数も少なく、すぐに笑顔は消えて、調整所の片隅を陣取る。これまでの戦いとは違う舞台なのだから、いつもと違う西山貴浩でいいのだと思う。

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 始動が早いのは、何も1st組だけではない。2nd組もすでに動き出している! 松井、井口がボートを引き上げたとき、同じリフトに乗っていたのは峰竜太だった。賞金ランク1位、2nd1号艇とアドバンテージを手にしているはずの峰が、初日の朝から水面を駆けていたのだ。

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 同じく2nd1号艇の毒島誠も同様だ。この人の辞書にはやはり、のんびりという言葉はない。試運転、プロペラ調整所の往復は、レースがない今日も朝から繰り返されているのだ。チャレンジカップ優勝戦の日とも、その動きに違いはない。西山はいつもと違っていいと書いたが、毒島の場合はいつもと同じだから素晴らしいと言うしかない。

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 吉川元浩も試運転を精力的に行なっており、2R発売中には桑原悠と話し込んでいた。足合わせの情報交換と思われるが、グランプリ組、シリーズ組にこだわらず、多くの相手と合わせているわけだ。
 2nd組は、1st組とは逆に時間はたっぷりある。今日明日、レースをせずに調整できるのは実に大きく、仮に今日失敗しても大きな着をとる心配がなく、改めて立て直せるというアドバンテージがあるわけだ。だから、この2日間を無為に過ごそうと考えるわけがなく、これだけたっぷりと時間があるからこそそれを目いっぱい使おうということなのだろう。2ステージ制になってすでに6回行なわれてきたが、2nd発進組が有利なのは当然だと、改めて思わされる次第である。

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 シリーズ。こちらもSGには違いなく、グランプリ組ほどピリピリしていなかったとしても、モチベーションが低いわけではない。目を惹いたのは上野真之介。ダービー、チャレンジとこの人は、本当によくプロペラ調整をし、試運転もし、そして陸の上を走り回っていた。今回も同様! 今日は10Rシリーズ特別戦1回乗りだが、やはり朝から懸命の調整と試運転に走り回っているのである。グランプリで峰、そしてシリーズで上野と師弟W優勝できたら最高っすね!

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 オープニング1Rは佐藤翼が3コースからのツケマイ一撃! 爽快な勝利を桐生順平先輩に称えられて、佐藤の顔がほころんだ。ダービーでは大暴れしてみせたわけだが、このシリーズでもおおいに攻めてほしい。今日はこの1回乗りだが、これでのんびり過ごすつもりはなさそうで、遅い時間まで動きまくる姿が見られそうだ。(黒須田)