BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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GPシリーズ戦 準優ダイジェスト

英悟のストレートパンチ

8R
①深川真二(佐賀)11
②秦 英悟(大阪)12
③茅原悠紀(岡山)17
④村田修次(東京)14
⑤久田敏之(群馬)16
⑥井口佳典(三重)08

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 穏やかな枠なり3対3の隊形から、豪快に飛び出したのは最アウト6コースの井口! さすがの勝負師、ここ一番の勝負所でズドンとぶち込んだ。今節の井口14号機は伸び仕様なので、スリット後の迫力も半端ない。内4艇を軽々と飛び越え、さらに伸びなりインの深川をも握り潰そうとした。

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 が、トップ級の出足を誇る深川も強めに握って応戦。ぴったりと艇を合わせて井口の進軍を食い止めた。鮮やかな迎撃ミサイル。これで完全に1-6態勢かと思いきや、最後にまくられた秦がゾンビのように蘇って井口ににじり寄る。さらに内から茅原もじわじわ艇を伸ばし、2マークはくるり小回りで差し粘ろうとしたが、ターンマークに追突してくるり横転した。トライアル戦からのリズムの悪さを象徴する転覆だった。

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 2周ホームの2着争いで、出口から力強く抜け出したのは秦だ。今日の秦58号機は強めのストレート足に加えて、ターン回りもゴキゲンだった。伸び一辺倒の井口との差が、ファイナル×脱落の分岐点になったと思う。

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 1着・深川、2着・秦。
 正直、前検から秦のストレート足だけを期待していた私は、初日からさほどパンチの利かない足取りにちょいと失望したまま今に至っている(←病的な直線フェチ)。それでも今日の行き足あたりはかなり軽快だったし、外枠確定の明日はどんな方向にシフトするのか、気持ちをリセットしつつ改めて注目したい。

周のサプライズパンチ

9R 並び順
①前本泰和(広島) 08
②坂口 周(三重)    07
③上野真之介(佐賀)13
⑥守田俊介(滋賀)   15
④磯部 誠(愛知)   14
⑤長田頼宗(東京)   19

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 まず、このレースの前に驚いたのは坂口の展示タイムだった。6秒55!!?? 昨日までそこまで伸びてる印象はなかったし、前夜のコメントは「伸びが落ちてもピット離れを付けたい」みたいな感じだった。そんなコメントから、何をどうしてどうなったらこんなタイムが飛び出すのか。

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 分からないまま予想通りの1-6なんぞを買って観戦したらば、いざ実戦でも坂口のストレート足は半端ないものだった。2コース差しのハンドルを入れ、ターン出口あたりから出て行く出て行く! その行き足~伸びは、まさに展示タイムまんまの鬼足だった。

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「直前でバチッと来ました」
 レース後のインタビューで坂口は顔をほころばせたが、ことストレート足に関しては展示タイムの重要さを痛感した次第だ。もちろん、明日もバチッと来たままの鬼足ならば、かなり怖い3号艇と言えるだろう。展示タイムにご用心!

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 イン戦で差されたものの、前本の足は2日目から高いレベルで整っている。まずは前本らしく出足系統がアップし、そこからじわじわと行き足の部分が底上げされた。今日の2着で明日は4号艇に押し出されたが、案外「坂口の外」になったことが怪我の功名になり得るかも??

池田の無敵パンチ

10R
①池田浩二(愛知)10
②石渡鉄兵(東京)11
③馬場貴也(滋賀)16
④徳増秀樹(静岡)15
⑤桑原 悠(長崎)15
⑥山口 剛(広島)14

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 池田、強し!
 そう言うに十分なイン逃げだった。選手が強いのはもちろんとして、今節は相棒の10号機もブイブイ唸っている。今日の1マークは地元の石渡が乾坤一擲の素晴らしい差しハンドルをぶっこみ、舳先が入っても不思議じゃない勢いで逃げる池田に迫った。

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 内寄りコースの「平和島の花道」でさらに伸びるか、
 と見ていたのだが、スリット裏から出て行ったのは逆に池田の方だった。そう、今節の池田の強みはここだ。ここ数年の池田の足色はB+【出A・直B】のように手前が優勢になることが多く、もちろんそれは捌きのアーティストたる池田に適した感じではある。「ま、直線は一息だけど仕方ないよなぁ」的な。

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 ところが今節は、その【直】が気持ちいいほど出て行くのだな。昨日も書いたが、これぞ「鬼に金棒」。選手が強くて、その強さを存分に引き出す出足系統があって、さらに直線の後半までトップレベルときたら、どこに弱点を見出せばいいのか。

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 逆に、バック直線で突き放された石渡は、明日の6号艇は明らかに厳しすぎる枠番と言えるだろう。今までゴリゴリ前付けする石渡を見たことがないのだが(ホームが江戸川だしw)、明日はただひとり地元で生き残った身の上、外からの潔い攻撃とは一味違う鉄兵が見られるかも? 今ごろ、宿舎で同期の俊介あたりが空気を入れてる気もするのだが、どうだろうか。(photos/チャーリー池上、text/畠山)