BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――それぞれの笑顔、それぞれの落胆

●11R

f:id:boatrace-g-report:20201229191509j:plain

 大山千広が逃げ切り。ピット離れで後手を踏みかけ、あわや小野生奈に叩かれるところだった。スタート展示からズッていたので、もし本番でやられても回り込んでインを獲り返すつもりだった、100mでも仕方ない、と腹を括ってはいたようだが、なんとかインを主張して先マイ逃走。安堵が大きい一戦ではなかったか。ただ、そのピット離れも含めて、課題は多いようで、レース後には師と仰ぐ川野芽唯と真剣な顔つきで話し込んでいる。それは勝利後の様子には見えないものだったから、その課題をふまえて、すでに明日の勝負駆けに意識を持って行っているのかもしれない。

f:id:boatrace-g-report:20201229191553j:plain

 最も表情が明るかったのは遠藤エミだったように思う。4着かと思われたものを、猛然と追い上げて小野生奈を逆転しての3着浮上。足色も素晴らしく見えたし、何より怒涛の追い込みが奏功したのだから、気分が高ぶって当然だ。明日の勝負駆けで少しでも楽になった、という意味でもだ。

f:id:boatrace-g-report:20201229191620j:plain

 だから対照的に小野生奈の表情が微妙となる。結果論だが、3着なら得点は17。ボーダーを21点とするなら、明日は無事故完走でファイナル当確ということになっていた。それが5着条件となっただけ、という考え方もできるわけだが、しかしあの着順の下げ方はかなり悔しいものには違いない。

f:id:boatrace-g-report:20201229191648j:plain

f:id:boatrace-g-report:20201229191710j:plain

 後方では、細川裕子と寺田千恵が5、6番手を争うようなかたちになったが、初戦も大敗だった二人は、実質上ここでファイナル行きがほぼ絶たれることになってしまった。細川はもう笑うしかないといった感じで、むしろにこやかではあったが、本音はまったく別のところにあるはずだ。寺田は他の5名よりもだいぶ遅れて控室へと歩み出しているが、それが孤独感というか寂寞というか、なんだか実に物悲しい光景に見えてしまった。枠番抽選で白を引き、歓喜をあらわにはしたが……。明日は意地を見せる1号艇となる。

●12R

f:id:boatrace-g-report:20201229191738j:plain

 レース後、田口節子が実に朗らかであった。3着でファイナル行きの希望を残す結果となったことに、だろうか。それとも、全員に抵抗されて6コーススローに留まったものの、前付けでしっかりと勝負の意思を見せられたことに、だろうか。まあ前者、あるいは前付けに関して笑い合っていただけかもしれないが、気持ちが伝わるコース獲りを見せたことに対する充実感はあるのではないかと推測する。

f:id:boatrace-g-report:20201229191800j:plain

 逃げ切った守屋美穂に対しては、出迎えた寺田千恵がかなり興奮していて、問いかけに守屋が言葉を返すと、「そうよね! そうよね!」と我が意を得たりと声を弾ませていた。守屋のスタートタイミングは驚異のコンマ01! それに関しての会話だったのだろうか。寺田の様子に守屋も目を細くして、けらけらと笑っていた。

f:id:boatrace-g-report:20201229191825j:plain

 それにしても香川素子が駆る12号機のパワーは完全に戻っているのではないか!? あるいは別物になってる!? 前節の転覆で完全に足落ちしていると伝えられた12号機、しかし昨日のセット交換の効果があるようにしか見えない走りであった。3着2着と上々の2走に、香川の表情は明るい。明日は追い風が強くなるという予報のようだが、そうした環境の変化にもこの百戦錬磨はきっちり対応すると思われる。

f:id:boatrace-g-report:20201229191853j:plain

f:id:boatrace-g-report:20201229191908j:plain

 こちらのレースでは、やはり大敗の松本晶恵、岩崎芳美がほぼファイナル行き絶望となってしまっている。岩崎は10R発売中にも電気回りの調整をしていて、足が仕上がらないままの第2戦となってしまったか。松本は今日もギリペラ、それも本当にギリギリのギリに展示ピットにボートを入れるという、粘りの調整を行なっていたが、報われず。明日もやはり、とことん調整を続けて最終戦に臨むことになるだろうか。

●シリーズ

f:id:boatrace-g-report:20201229191958j:plain

 山川か、山下か、それとも竹井か、などと見ていた予選トップ争いは、なんと海野ゆかりが逆転! 9Rで竹井奈美が大敗したことで決定した。そのエンジン吊り、状況を知ってか知らずか、海野は岸恵子と神妙な表情で話し合い。あれを見ると、どう考えてもトップに立ったと認識しているようには見えなかった。
 10Rが終わって、谷川里江が2号艇のプレートと1号艇のプレートを手に海野に接近。海野にそっと1号艇のプレートを手渡した(谷川は準優2号艇)。それは予選トップの先輩からの敬意に見え、海野は一瞬だけ照れ笑いして、それを受け取った。10R発売中にトップ通過を知らされてはいたんだろうなあ。海野はそのプレートをにこやかに自分のボートにセットしている。

f:id:boatrace-g-report:20201229192204j:plain

 一方のボーダー争いは、角ひとみが10Rで4着に敗れたことで、8Rをカドまくり一撃で次点にまで上昇していた高田ひかるが18位に滑り込むこととなった。高田もそれを知ってか知らずか、10R後はてきぱきとエンジン吊りなどに勤しんでいた。その後、スポーツ紙の記者さんが声をかけたとき、一瞬だけ目が丸くなったので、それで準優行きを知ったのではないかと思われる。6号艇とはいえ、今日みせた伸びは魅力だなあ。おそらく6コース発進、大外から何を魅せてくれるか楽しみだ。(PHOTO/池上一摩 黒須田 TEXT/黒須田)