BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

シリーズ戦 準優ダイジェスト

夜叉の逃亡

8R
①山川美由紀(香川)07
②谷川里江(愛知) 05
③塩崎桐加(三重)   03
④三浦永理(静岡)   21
⑤金田幸子(岡山)   19
⑥樋口由加里(岡山)20

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 山川19号機がしっかりすっきり第一関門を突破した。スタートは難しい風にもめげず、理想的なコンマ07発進。外の2艇がさらに踏み込んでいたが、自慢の行き足で伸び返して先攻めを封印。1マークは百戦錬磨のまくらせい差させない、ターンマークを舐めるような激辛旋回でバック独走態勢に持ち込んだ。文句なしのイチ抜け決定。

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 2番手は回り足が素晴らしい2コース谷川がガッチリ取りきり、大ベテランの行った行ったワンツー決着が濃厚だったが、2周2マークで痛恨のキャビテーション。強風もあって「大事に回ろう」という思いが強すぎたが、減速で推進力を失ったところを山川の引き波に乗り上げてしまった。

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 道中4番手から大逆転の2着をもぎ取ったのは塩崎。今日の風を考慮して、まくり差し仕様で手前に寄せていたか。昨日までよりサイドの掛かりがしっかりしていて、それが2周2マークの逆転を生み出した。
 私が前検から期待してきた三浦59号機は、スタートで踏み遅れ。それでもしぶとい回り足で2着争いまで持ち込んだものの、塩崎との直線勝負で完敗。日々劣化している感があったストレート足が、今日はいちばん衰えていた。残念!

お家芸の早業

9R
①山下友貴(静岡)  11
②竹井奈美(福岡)       09
③渡邉優美(福岡)       08
④水野望美(愛知)       11
⑤堀之内紀代子(岡山)14
⑥富樫麗加(東京)       22

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 竹井が得意のジカまくりで地元のイン山下を斬り捨てた。この戦法は私にとっても想定内だったが「風の味方もあって山下がブロック、逆に仕掛けた竹井は流れる」と見ていた。実際は絵に描いたようなツケマイ一撃。その初動の早さは半端なく、山下がターンマークに寄りはじめた瞬間にはもうレバーを握り込んでいた。山下としては、もう少し敵の得意戦法を警戒して面倒を見るべきだったかもしれない。

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 2着争いは、インから残した山下×3コースから竹井マーク差し優美の一騎打ち。これがすこぶる迫力があって、足色的に甲乙つけ難い激闘となった。明暗を分けたのは2周1マークの攻防か。小回りの優美を全速の握りマイでケリを付けようとした山下の艇が強風で真横に流れ、そこで優美がガッチリと主導権を握りしめた。

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 終わってみれば、まくって差しての「福岡ライン」のワンツー決着。作戦会議があったとは思わないが、それぞれの持ち味と今節のパワーを十二分に生かしきった同県決着ではあった。初日から「全部の足が強い理想的なバランス型」と評価している優美54号機は外枠の明日も要注意。今節、6コースから勝ちきった唯一の人機なのだから。

ひかる散る。

10R
①海野ゆかり(広島)09
②池田浩美(静岡)    08
③長嶋万記(静岡)    12
④平田さやか(東京)15
⑤大瀧明日香(愛知)17
⑥高田ひかる(三重)10

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 いやあ、惜しかった!! はい、ここだけは私的回顧っぽい書き出しになってしまうが、高田ひかるの6コースまくりは惜しくも届かなかった。今日も展示タイムは断トツの6秒72。37号機を伸びだけに特化し、コンマ10で飛び出した瞬間から絞める絞める!
 大瀧が舳先ひとつで抵抗しても、委細構わず握りっぱなし。大瀧~平田あたりが玉突きで大きくバランスを崩したが、高田の進軍は止まらない(レース後に不良航法で賞典除外)。

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 内艇を蹴散らしながら握り続けた高田はついにインの海野まで届きかけたが、抵抗を浴びたロス、追い風のロスが響いて突き抜けるほどのスビートは枯渇していた。やはり、幅員の長い浜名湖の6コースはあまりにも遠かった。

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 1着は、高田まくりの脅威をくぐり抜けた海野。ゼロ台までしっかり踏み込んだ海野は、何事もなかったかのようにさらりと逃げきった。ファイナル1号艇、確定!

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 2着は高田にまくられつつ、すぐに態勢を立て直してブイ際を差した長嶋。賞金13位=優先順位1位で浜名湖に乗り込んだ地元のエースが、最低限のノルマをクリアした。長嶋より成績上位だった池田浩美は、高田の猛攻に抵抗する形で圏外へと飛び去った。8Rの三浦永理、9Rの山下友貴、そしてこの浩美の無念は、長嶋の胸の中で熱い灯になることだろう。(photos/チャーリー池上、text/畠山)