BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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児島バトルトーナメントTOPICS 2日目

(ほぼ)時系列レポート
セミファイナル・ダイジェスト

マー君、確変突入!!

9R
①小坂宗司(大阪)08
②片岡雅裕(香川)17
③渡邉優美(福岡)18
④吉田裕平(愛知)19
⑤坪井康晴(静岡)21
⑥森高一真(香川)18

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 ピットアウトから森高が動いたが、内5艇がすべて抵抗して最終隊形はほぼ横一線の枠なりオールスロー。こうなっては、私の◎森高もさすがに遠すぎる。100m起こしからインの小坂だけがゼロ台まで突っ込み、1マークの手前で必勝形を築いた。

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 が、ターンの出口でやや舳先が浮いたところ、2コースから小さく回った片岡がスパンッと小気味よく差し抜けてバック先頭に立った。旋回のキレは抜群だったし、ぴったり反応した18号機の回り足も上々。さらに付け加えるなら、暮れの鳴門で6号艇から優勝(年間6V)→クラシック勝負駆けをラストチャンスで成功させたマー君の勢いが、まんま水面に反映された1着にも見えた。12レース後の抽選結果はまだわからないが、直近の流れ的にはこのお祭りの頂点に立っても不思議じゃないだろう。

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 差されながらも、2着はインから残した小坂。ファイナル5号艇は「2着選手の中で昨日のトーナメントの最上位着順」という規定があり、昨日は3着だった小坂にとっては険しい“負け残り”となってしまった。
 ファイナルとは無縁だが、しぶといレース足で3着に食い込んだ渡邉優美44号機は明日も警戒しておきたい。前半4Rの6号艇4着といいこのレースといい、引き波を難なく超えて行く力強さを感じた。今節の女子では回り足の軽快な櫻本あゆみと双璧の優良パワーとお伝えしておく。

一柳、連チャンZONE突入!!

10R
①一柳和孝(埼玉)05
②赤岩善生(愛知)07
③守田俊介(滋賀)11
④井口佳典(三重)09
⑤赤羽克也(埼玉)10
⑥葛原大陽(徳島)12

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 こちらは非常に穏やかな枠なり3対3で落ち着いたが、1マークは大混戦!! インの一柳がややターンマークを外した内フトコロに、2コース差しの赤岩、3コースまくり差しの守田、4カドから二番差しの井口が横並びで殺到。誰が勝っても不思議じゃない“再スタート状態”となった。
 で、大外に押し出された一柳がもっとも不利かと思いきや、スリット裏から伸びる伸びる! 昨日今日で断トツの展示タイム6秒59を叩き出した13号機が唸りをあげて、2マークまでに内のSGレーサー3艇を蹴散らしてしまった。
 うーーーん、昨日から薄々予感はしていたが、この13号機、マジでヤバイぞ。バック直線の伸び~2マークで3艇を突き放したレース足は、私が勝手に節イチと決めつけている柳沢34号機をも脅かす力強さだった。とりあえず、山口剛48号機も含めた3基が今節のTOP3だと思っているのだか、どうだろうか。

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 とにもかくにも、超抜ムードの新モーター&1号艇2連発という無類の抽選運を発揮し、しかもそのアドバンテージを余すところなく生かしきっている一柳13号。マー君が去年の暮れから確変突入とするなら、こっちは今シリーズの連チャン王と呼ぶべきか。そしてそして、12R後にまたまたまたしてもアミダくじで1号艇を引くようなら、超ダークホース的存在だった一柳の優勝→暮れのプレミアムGI・BBCトーナメントの権利獲得という青写真ができあがる。果たして、おとといまでの一柳本人はこのビッグな初夢の絵図を脳裏に描いていただろうか?
 2着は3人のSGレーサーによる熾烈な接戦から、もっともSGタイトルの多い井口が抜け出した。貫禄の差と言うより、道中の足色で明らかに守田より優勢だったし、赤岩にもストレートで分が良かった分の2着に見えた。井口42号機もなかなかの好脚だ。そして、井口は昨日のトーナメントで2着だったから、9R2着(昨日3着)の小坂を踏み越えて暫定のファイナル5号艇候補に浮上。残る2個レースの結果を待つ身となった。

3カド不発なり。

11R
①渡邉和将(岡山) 07
②山田康二(佐賀) 16
③今垣光太郎(福井)15
④山口 剛(広島) 11
⑤吉田拡郎(岡山) 15
⑥櫻本あゆみ(東京)13

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 最近、3号艇でも4号艇でもなかなかカドに引かせてもらえない今垣(昨日の4号艇も③向所が3カドに)。直前のスタート展示でも12/4356という妙な並びでカドを奪われたが、いざ本番は枠なりの流れからついに大好物の3カドをGET!
 おお、これはゼロ台全速で唯我独尊のしゃくりまくりなのかっ!?
 と期待に胸を膨らませたが、残念ながらコンマ15で不発。カド受け山田の伸び返しに四苦八苦している間に、インからトップスタートの和将がすいすいと逃げきった。ターンの出口で3番目のファイナルチケットがほぼ確定に。

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 一方、ファイナル5号艇を巡る2着争いは、10Rに続いて今垣×山口×拡郎のSG戴冠トリオが横一線の大接戦。昨日のトーナメントで1着だった今垣か山口が抜け出せば待機中の井口に引導を渡す2着になったのだが、2周2マークを先取りしたのは昨日も2着だった拡郎。地元の意地を感じさせるレースっぷりだったし、今日の拡郎33号機も前半2Rからなかなかに秀逸なレース足でもあった。拡郎は井口と同じ立場で12Rを待つ身の上に。12Rの勝負駆け状況をまとめておくと、昨日1着だった柳沢一か中田元泰が2着ならその選手。昨日2着だった西山貴浩か山本隆幸が今日も2着なら、井口・拡郎も含めた3者の抽選となる。
 最後の最後まで猛追した山口は一歩及ばず3着まで。私が勝手に決めつけたパワーTOP3から、まずは2日目にツヨポン48号がV戦線から離脱した。非常に残念だが、明日の敗者戦で思う存分暴れてもらうとしよう。

ラッシュは続く!

12R
①柳沢 一(愛知)13
②川原正明(福井)12
③西山貴浩(福岡)08
④中田元泰(香川)09
⑤松江秀徳(佐賀)11
⑥山本隆幸(兵庫)18

 9Rの同期・森高に続いて6号艇の山本も動くか、と見ていたが悠然と艇を引いて穏やかな枠なり3対3。

※と、ここまで書いところでレース観戦→ファイナル抽選会場へ直行!(抽選の模様は後述)

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 スリットから西山・中田のセンター勢がニョキッと飛び出したように見えたが、内2艇の伸び返しも素晴らしい。1マークの手前で舳先が揃うほどになり、私が節イチパワーと鑑定している柳沢34号機が西山のツケマイをチャッと振り払うようにターンマークを先取り。出口ではや後続を2艇身以上も突き放していた。
 これで初日の一般戦も含めて無傷の3連勝。2年前の多摩川大会で同県の赤岩が4戦全勝のパーフェクトVを成し遂げているが、勢い的にはほぼ互角か。ただ、レース後の抽選結果を踏まえるなら、大きな違いは赤岩のファイナル1号艇に対して柳沢は3号艇。内の2枠を『確変マー君』と『連チャン一柳』に譲った格好で(笑)、このあたりの微妙な流れは気になるところではある。まあ、34号機が今年の児島の新エースに足る超抜パワーだとするなら、このハンデを跳ね返しても不思議はないだろう。初下ろし節にして、エース候補の底力を問うファイナルになりそうだ。

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 2着争いは、一番差し川原(昨日3着)vs二番差し中田(昨日1着)のほぼ一騎打ち。ちなみに、明日のファイナル5号艇については「川原2着なら井口×拡郎による抽選、中田2着なら中田」という水面下の勝負駆け。つまり、川原は2着でもファイナル圏外なのだが、闘志を剥き出しにして2周目からのわずかな優位を保ち続けている。
 一方、「2着ならファイナル5号艇」と自覚しているであろう中田も、鬼気迫るターンで川原から離れない。そして3周1マークは、2艇身後方の中田が内から外へと見せかけ、再び舳先を内にねじ込んでターンマークを先取り! 「これぞ切り返し」と教科書に載せたいような鮮やかな奇襲で、ファイナル5号艇をつかみ取った。昨日も少しだけ触れたが、中田32号機はスリット足がなかなか軽快で、今日も4カドからスーーッと音もたてずに伸びて行くようなムードを感じさせた。人気の盲点になるであろう5号艇でも軽視は禁物、とお伝えしておきたい。

抽選会のMVPは一柳!?

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 さてさて、久々に現場に入れたので、「スーパーあみだマシーン」による優勝戦1~4号艇の抽選についても触れておこう。もちろん、このご時世だからして、会場に集まった4選手はほぼほぼ無言で淡々と作業を進めていた。作業は、こんな塩梅だ。

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①今節の成績上位の順番(柳沢・一柳・片岡・和将)に、枠番がシールで隠されたプレートを1枚ずつ掴んで好きな場所(あみだのゴール地点)に貼り付ける。だから、この時点ではどこにどのプレートを貼っても枠番はまったくわからない。
②各選手が1本ずつあみだの下駄を減らすのだが、この詳細はややこしいので割愛(笑)。

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③いざ抽選開始! まずは柳沢のスタート地点から電飾のあみだラインが走り、勝手にずんずん進んでゴール地点へ。スタッフがプレートのシールをはがして枠番が確定する。
 そんな手順で、柳沢が引き当てたのは「3号艇」。ポーカーフェイスなのか、柳沢の表情から喜怒哀楽はわからなかった。

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 いちばん表情が豊かだったのは、成績2位の一柳だ。少し戸惑いつつ、一連の作業を目をキラキラさせながら興味深そうに推し進め、プレートを貼りつける瞬間などは

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「エヘヘ、また①を引いちゃうんじゃないかなぁ」みたいな茶目っ気たっぷりな笑顔を浮かべたりもしていた。その笑みは「2号艇」のゴールで苦笑いに変わったが、人間味溢れるさまざまな表情にじんわり感動してしまった。

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 そしてそして、破顔一笑、目元がかまぼこ型になったのは3番目に引いたマー君だ。シールの奥から「①号艇」の文字が飛び出し、とりあえず明日の“主役”の座となったわけだ。

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 やはり、去年の暮れのクラシック勝負駆け=6号艇からミラクル突破の流れは続いているのか。はたまた、パワー的により強力と見ている一柳や柳沢がその流れを最後に遮断するのか。私個人としては、舟券的にもなかなか面白い1~3号艇だと思っている。
 あ、最後にあみだをスタートさせた渡邉和将は、当然ながら淡々と「④号艇」という文字を眺めておりましたとさ。(photos/チャーリー池上、text/畠山)