今節は登番5000番台が５人参戦しており、レディースオールスターに5000番台が登場するのはこれが初めてのことだ。来田衣織、柴田百恵、上田紗奈、山崎小葉音、山川波乙。この５人が、自身のレースが終わっても試運転に励んでいたのだった。機力向上をはかる意味はもちろんあるだろうが、同時に操縦練習の意味もあったものと思われる。試運転終了後に、海野ゆかりが上田の頭をナデナデしていた場面を見ているが、錚々たる先輩方に教えを請うチャンスでもあるわけだから、遅くまで乗らない手はないのである。
この５人が11Ｒ発売中に一斉に試運転を切り上げた。さらに、薮内瑞希、勝浦真帆、瀧川千依らも同じタイミングで試運転終了。というわけで、ボートリフト周辺は大混雑に。なにしろ８艇が上がってきたわけで、ということはレース終了後よりも陸に戻ってきた艇が多かったことになる。レース後は手の空いている選手はボートリフトに駆け付けるが、このタイミングでは調整作業をしている選手も多々なので、エンジン吊りの陣容は手薄に。たまたま近くにいた選手がおおいに奮闘して、てきぱきと８艇のエンジン吊りは進むのだった。参加していた一人が川野芽唯で、若手たちは先輩の手を煩わして恐縮。いやあ、川野もまだまだ若手という感覚なのだが、こんなにもたくさんの後輩が同じレースに参戦しているのだなあ、と感慨深くなりますな。
モーターをいったん整備室に運んだ上田紗奈と山崎小葉音が、笑顔で足合わせを振り返り合いながら控室へ。すると、カメラマンたちのレンズが一斉に向けられ、シャッター音が鳴り響いた。それを見た山崎が、ヘルメットで顔を隠す。その様子を見て、上田が爆笑。山崎がヘルメットをそっと下ろすと、悪戯っ子の笑顔が浮かんでいた。あれは10数年前のことだったか。多摩川で横西奏恵さんのトークショーがあり、僕も出演させていただいた。そのとき、奏恵さんは小葉音ちゃんを同伴。まだ小学生だったはずの小葉音ちゃんは、たくさんの大人に囲まれてちょっと表情が硬く、でもそんな様子が実にかわいらしかった。あの小葉音ちゃんがこんなに立派にレーサーになったんだもんなあ。そしてオッサンカメラマンたち（失礼）にもまるで怯まずに振舞うんだもんなあ。めちゃくちゃ感慨深いですわ。
で、若手たちとともに、元気に試運転をしていたのが海野ゆかりなのだから、凄いの一語。４月のマスターズチャンピオンにも出場するように、すっかりベテランになった海野なのだが、ほんと、若すぎっす！ 海野には20数年前、一般誌の仕事でインタビューをしており、期待の若手女子レーサーという取り上げ方だった。それがもうマスターズ出場かあ、とやはり感慨深くなりつつ、しかしレースぶりも陸の上も変わらぬ若々しさに感服するしかないのである。
なお、いちばん最後まで試運転をしたのは竹井奈美。12Ｒ発売中にエンジン音が聞こえたので、水面を見たら竹井が走っていた。５着２本と不本意な初日。今節の取材規制線からは整備室の様子がまったく見えないのだが、もしかしたら本体整備をして、その感覚を確かめるための試運転だったかも!? 明日の直前情報は要チェックだ。
10Ｒは鎌倉涼が逃げ切り快勝。ピットに戻って、ヘルメットを脱ぐと爽やかな笑顔が浮かんだ。最近の鎌倉はまさに充実一途。今年に入ってからの勝率は８点を超え、すでに３度の優勝を果たしている。長い産休があったが、ついに完全復活！ 強い鎌倉が帰ってきたと感じさせる。平成生まれ初のＧⅠ優出と騒がれた下関レディースチャンピオンがもう11年も前ですか……と、今日はやけにピットでしみじみと感慨深くなるのでありました。（ＰＨＯＴＯ／池上一摩 黒須田 ＴＥＸＴ／黒須田）
４Ｒ１周２マークで消波装置に激突して失格となった瀧川千依は元気に試運転。同じく富樫麗加もケガなく、ペラ調整に励んでいました。あと５Ｒで転覆失格の細川裕子も、10Ｒ発売中まで試運転。みなケガなくよかった！ 明日も頑張れ！
展示ピットにボートを移動させるのを待つドリーム戦香川コンビ。並んで腰かけ話し込んでました。
