BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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芦屋レディースオールスターTOPICS 初日

快速美女

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 初日の1号艇=インコースは8勝。その中でもっとも強いインパクトを感じたイン逃げは、7Rの浜田亜理沙だった。スリットはコンマ09まで踏み込んだものの、外の2・3コースが03・01の猛ラップ。半艇身ほど覗かれて大ピンチの隊形に見えたが、ゴキゲンな伸び返しから瞬く間に舳先を揃えて1マークを先制。ターンの出口で後続を一気に突き放し、そのまま唯我独尊の一人旅を決め込んだ。で、2着の寺田千恵を1秒7ほど千切り捨てた走破タイムは……
 1分46秒3!!

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 うーーん、速いぞ。もちろん今日のベストタイムで、この7Rよりも静水面でイン逃げ圧勝した10Rの鎌倉涼(47秒1)、11Rの遠藤エミ(46秒8)、12Rの大山千広(47秒4)をもはるかに凌ぐ数字でもあった。

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 この猛時計を見て、すぐに思い出したのが3週間ほど前の「とこなめレディースvsルーキーズバトル」だ。2日目10R、亜理沙は3コースから1分46秒6という節間レコードで駆け抜けたのだが、2着・宮之原輝紀とのタイム差はあっと驚く4秒1! 大雑把に1秒20mとして、80mもの大差をつける独走劇だった。
 まあ、このシリーズの亜理沙の相棒は超快速エース47号機だからして「節イチのパワー逃げ」と納得したものだが、今日の1分46秒3はそれでは片づけられない。いくつか類推してみよう。
①亜理沙のターンスピードが実は艇界トップ級に速い?
②今節の相棒29号機(38%)が実は超抜パワー?
③亜理沙のプロペラ調整が当たりまくっている?
 今年に入ってからの亜理沙の勝率=6・58(昨日まで)を踏まえれば③が妥当かも知れないが、デビュー3年ほどでA1昇級した才媛だけに①の線も捨てがたい時計ではある。とにもかくにも、初日から凄まじい実戦タイムを叩き出した浜田亜理沙29号機は「絶対に軽視禁物!」と肝に銘じておきたい。明日の亜理沙は11R6号艇。枠番的に“勝ちタイム”はいささか難しいとしても、舟券的に美味しい枠番であることは間違いない。

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 そんな流れから、今日の全レースを観て気になったモーターをピックアップしておきたい。まず、実に不気味なストレート足を披露したのが4Rの瀧川千依53号機。そう、このレースは1周2マークで瀧川vs富樫麗加が大競り→2艇とも消波装置に激突してエンスト失格(富樫のみ減点15)。

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 残念な事故レースになってしまったのだが、瀧川53号機の半端ない伸び足が火付け役だった、と私は思っている。バック直線で伸びて伸びて、先行していた富樫を圧迫して、絶対にまくられたくない富樫が猛反発しての大競り……伸びる艇と伸びない艇の差があまりにも明白で、そのギャップが生み出した悲劇と言えるだろう。

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 展示タイムでも今日イチの6秒65(12R平山智加とトップタイ)を叩き出した瀧川の明日は、2R6号艇と8R3号艇。舟券に絡むだけで穴が約束される2Rも楽しみだし、やはりスリット足~伸びがゴキゲンな来田衣織38号機が5号艇に控える8R「チヨリ・イオリ対決」も実に興味深い。
 他でストレート足が目立ったのは清水沙樹と出口舞有子のふたりだが、ともに今日の2走で舟券に絡んだために配当的な妙味は薄そうだ。

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 そして、伸び足でいちばん怖いのは、もちろん「三重のまくり女王」高田ひかる。初日の今日はいつもほどの迫力はなかったが、初戦より2戦目のほうが明らかに直線足に磨きがかかって見えた。F2持ちで狙いにくいのは当然として、逆にF2持ちだからこそ穴のチャンスが湧き出ることもあり。明日からも特訓やスタート展示をしっかりチェックしつつ、私なりのある基準を超えたらセンター枠で狙ってみたい。大雑把に言うと、「内の選手より展示タイムがコンマ10以上速くなったとき」だ。

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 それから、昨日の前検で「このままでは厳しそう」と危惧していた選手たちが、今日の実戦ではそれなりにしっかりした足色を見せてくれた。ダンディ三島のイチ推し=土屋千明39号機は余裕ある足色で後続の追撃を断ち切っていた。長嶋万記に至っては、初戦の前にピストン2・リング4・シリンダケースのセット交換に踏みきり、昨日のワースト級の気配から中堅上位あたりまでパワーアップ! 迅速な手術で致命的な危機を回避したであろう万記3号機は、もちろん明日から別物の怖いモーターとして取り扱わなければならない。
 逆に、昨日は出足系統に惚れ込んでA指名した細川裕子が、5Rの1マークをぶん回した直後にバランスを崩してよもやの転覆。昨日、「足はいいけど舳先が向かない」と不安視していた“弱点”が露呈してしまったのか。転覆整備の変化も含め、そのあたりの出足系統をできる限り正確に把握したい。

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 あ、最後に……妙に気になる山崎小葉音ちゃんは、今日の7Rで5コースから「あわや2着か!?」という絶品のまくり差しを見せたが、道中で揉まれに揉まれて最後は6着大敗。残念な結果となったが、明日への光がしっかりと見て取れる6着でもあった。4R4号艇に注目!(photos/チャーリー池上、text/畠山)