BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――珍しい!

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 いやはや9Rは熱かった。外枠に西島義則、田頭実がいて、3号艇に内を譲らない吉川昭男。スタート展示は1435/26で、本番は2号艇の立間充宏も主張したことから、1234/65という並びになった。西島がコース獲れず! 田頭がダッシュ6号艇! なかなか珍しいものを見ることができたというわけだ。ちなみに田頭の6コースは、今年1月の鳴門マスターズリーグ。百戦錬磨の猛者たちは、たとえ田頭と言えども、一筋縄ではいかないわけだ。

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 それにしても、このメンバーでの1号艇はなかなかキツい。昨年の名人・村田修次にとってはまさに試練の白カポック。そして、スタ展と本番では並びが変わったにもかかわらず、逃げ切った村田には拍手を送りたい。ただし、残念ながら待機行動違反をとられている。前付けに抵抗しようとふところを開けたとき、西島が後付けの構えを見せたことで、慌てて内を締めに行った。そのとき、すでに舳先はスタートライン方向に向いていたわけだが、目測を誤ったか、2マークに接触しそうになり(少し接触した?)、方向を変えるために右転舵するしかなかったのだ。西島の見せた駆け引きはルール通り、それでも焦りを引き出された格好の村田はやや不運だったか。

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 勝利者インタビューを終え、村田は競技本部に呼び出された。そこで待機行動違反を伝えられたと思われるが、競技本部からピットに戻ると、展示を終えた石渡鉄兵や展示準備を終えた濱野谷憲吾、整備室から控室へ戻る途中だった一瀬明と、同僚の東京支部勢が偶然にも集結するかたちになった。その直後、待機行動違反のアナウンスがあったため、立て続けに村田には慰めの声が集まったのだった。ガチンコ勝負の結果なのだ、選手仲間にはその心境がよく理解できるわけだ。その後、整備室に足を踏み入れると、寺田千恵らも村田に声をかけた。決して時間稼ぎの右転舵ではないとわかっているから、同情の言葉をかけたくなるのだろう。

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 で、村田はそれから本体を外し、整備に取り掛かっている。それを眺めながら周囲に目をやると、本体整備中の選手が目白押しなのであった。その9Rでシンガリに敗れてしまった吉川昭男が一足先に本体をバラしていた。整備士さんと相談しながらの整備で、部品交換にまで及ぶのかはそのときにはわからなかった。

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 9R組の立間充宏も、本体を分解し始めていた。そうか、9Rの大敗組が、レース後即座に本体整備に取り掛かったというわけだ。そして、赤岩善生がピストンを両手にひとつずつ持って、部品室の窓口に向かう姿も。交換した可能性が高いので、明日の直前情報には注意していただきたい(明日は12R1回乗り。試運転して芳しくなければ、それまでに戻す可能性もある)。

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 赤岩といえば、見てしまいました、新兵の姿を。終盤の時間帯、登番の若い選手が行なう鉄くず集め。プロペラ装着時、あるいは外すときに装着場に落とされる鉄くずを、マグネットで拾い歩く作業だ。登番が最も若い赤岩がやらなければならない仕事なわけだが、いやー、赤岩がこれをやるとはなんとも新鮮。前回のクラシックでやってたのは仲谷颯仁だからなー。赤岩は装着場の隅々までマグネットを手に歩き回っており、こういった仕事に対しても妥協なし、なのであった。

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 さてさて、初日連勝発進! 濱野谷憲吾だ。唐津で全24場優勝を成し遂げ、直前の大村ではGⅠ制覇。近況好調のファンタジスタが、その勢いを下関にもしっかり持ち込んだかたちだ。11R後は、江口晃生に声をかけられたときにはヘルメットの奥で目を細めていたが、勝利者インタビューに向かうときには涼しい表情。初日ピンピンにも浮かれた様子は見られなかった。明日は9R5号艇1回乗り。ここを上位着で切り抜ければ、一気に突っ走るかも!?(PHOTO/中尾茂幸 黒須田 TEXT/黒須田)