整備室を覗き込むと、坂元浩仁、丹下将の姿が。
芦屋整備室は、手前がモーターの格納などをするスペースで、
その奥のほうに整備用のテーブルがあるため、
作業の細かい内容までは見極めることが難しいのだが、
二人とも本体をいじっているのは確認できた。
初日を走り終え、その手応えをもとに大きな整備に
取り組む選手が出てくる2日目である。
出走表をチェックすると、坂元は11R1回乗りだが、
丹下は4Rに出番がある。時間はもうほとんど残されていないのに、
丹下はモーターと向き合っていたわけだ
(ピストンリング、ピストン、シリンダーケースを交換して出走!
そして1着!)。
SGや名人戦では、トップレーサーやベテランの徹底して整備をする姿勢に感心させられることが多いが、それは新鋭世代でも変わらない。
この舞台にやって来るような選手はなおさらだろう。
その様子を眺めていたら、背後からカチャカチャという音が。
振り返ると、秦英悟が本体のみを外して、
整備室へと持ち込むところだった。「おはようございまーすっ!」と
快活に挨拶をしながら、えっさえっさと本体を運ぶ秦であった。
手前のほうでは、渡邉和将が一心不乱にペラを磨いていた。
真剣な表情でペラの翼面を見つめ、かなり集中していたが、
太ったおっさんの圧迫感を覚えたのだろうか、
ふとこちらに視線を向けて、かわいらしい笑顔でペコリと挨拶。
集中しているところをごめんなさい。それにしても、渡邉、童顔だな。
さて、今日は朝からGⅠ初1着ラッシュ。
1Rで松崎祐太郎が、2Rで上野真之介が、3Rで磯部誠が、
4Rで丹下将が、立て続けに初勝利をあげている。
松崎を祝福する様子は、なかなか壮観。
大挙参戦の福岡勢がズラリと揃うのだから、
実に大きな輪ができあがるのだ。
「水神祭、今やれ! 黒須田さんがいるから、
今やったらBOATBoyのトップで扱ってもらえるぞ!」と西山。
実際どうなるかは来月号をお楽しみに、であるが、
とりあえず後でNiftyに水神祭記事はアップします。
上野真之介は、今節はとにかく走り回っている姿が印象的。
ピット内を移動している姿を見かけるとき、
9割方は走っているように思う。
芦屋のピットは広大だから、少しでも時間を
有効に使おうということなのかもしれない。整備室からペラ室へ。
ペラ室から控室へ。控室から係留所へ。
とにかく、上野はピット内を疾駆するのだ。
そんな姿勢が報われての1着なら、こちらも嬉しくなろうというもの。
エンジン吊りを終え、先輩たちに頭を下げて回った上野は、
やっぱり控室へと走り出した。勝とうが負けようが関係なく、
上野はこうしてピットを走り続ける。
あ、そうそう、その2Rで岩瀬裕亮が3番手争いを演じ、
3周1マークで切り返し気味に逆転差しを決めている。
なかなか鮮やかな航跡で、同時に不思議な航跡でもあった。
その瞬間、ピット内記者席に隣接している選手控室から
大声が聞こえてきた。「これがVモンキーや!」
そう何度も繰り返して大はしゃぎしていたのは誰かというと、
やっぱり西山貴浩なのでありました。
リプレイご覧になれる環境にある方はぜひチェックして、
西山の言うとおりVモンキーかどうか確認してみてください。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)