本日は朝にちょいと野暮用がございまして、
多摩川に到着したのはちょうど2Rが終了した頃。
電投で買っておいた舟券が外れているのを確認して、
さっそくピットに駆け込むと、カメラマン軍団が
喜色満面で報告してくる。「平田選手が泣いてましたよ~」
1R、平田さやかがGⅠ初1着。僕は南武線の車内で
携帯動画をチェックしており、その事実は知っていたものの、
うがぁ~、そうですか。それは名場面を見逃してしまった。
無念である。
ということでカメラーズの証言を総合してお伝えします。
ピットに戻ってきたとき、平田はすでに声をあげて泣いており、
それを出迎えた仲間たちは大爆笑だったと。
なぜ大爆笑(笑)。平田の姿はとっても可憐だったとのことで、
それはそれは感動的だったとも。いや~、平田選手おめでとう!
ほんと、見逃しちゃって残念っす……。
さて、本日は準優勝戦。
ピットに入ってすぐに感じたのは、
まるで初日のような慌ただしさだということ。
3~5R発売中には準優出選手の公開インタビューがあり、
ベスト18はその準備をしなくてはならない
ということもあったのだろうが、準優組だけでなく一般戦組も、
とにかく忙しそうに動いている。試運転に出ている選手も多いし、
整備室を除けば選手の数が非常に多いことに驚かされたり。
今日はまたまた天候が一変し、晴天で気温も上昇。
そのための調整に忙殺されているというわけである。
準優組も早め早めの動きを見せており、
それらがピットの空気を撹拌しているということだろう。
そんななかで選手の表情を見ていると、
昨日までに比べてピリピリしているように思えた。
忙しく動いているのだから当然という見方もあるが、
準優の朝だからという見方もできるだろう。
昨日までは余裕綽々だった横西奏恵の表情も
グッと引き締まっているし、田口節子の表情も真剣そのものだ。
田口の様子については、少し注目していた。
というのは、昨年の児島周年で準優1号艇の際に
とてつもなく緊張したと語っていたから。
混合GⅠと女子王座という違いはあるが、今回は予選1位である。
果たして今日は……第一印象では、カタくなっている印象はなかった。弟子の樋口由加里とも自然体で話していたし、
足合わせのあとの情報交換時には
山下友貴と香川素子にいつもどおりの笑顔を見せてもいた。
もっとも、レースが近づけばどうなるのかはまた別の話だが。
少なくとも、早い時間からプレッシャーを感じていることは
なさそうであった。
それでも、やはり全体的には緊張感が伝わってくるピットであり、
それを自覚しながら眺めてみれば、
やはり準優組の表情は誰もが凛々しくなっているのであった。
少しカタくなっているように見えたのは、藤崎小百合。
女子王座初準優で、やはり特別な思いが生まれているか。
今日も今日とて笑顔は素敵だが、昨日のレース後に見せていたものに比べると力弱く見える。少し気にはなったが、緊張するのはまあ当然であろう。同じ意味で、山下友貴もやや緊張気味と映った。
佐々木裕美に感じたのは、むしろ闘志。
ベストスマイルはやや影をひそめ、
しかし瞳に力強さが増しているように思える。
昨日まではわりと気楽に声をかけることができ、
その笑顔に何度もノックアウトされそうになったものだが、
今日はちょっとだけ近寄りがたさを感じたものだった。
そうしたなかで昨日までと変わらぬ様子に見えるのは、香川素子。
そして向井美鈴だ。
特に向井は実にさわやかな笑顔を見せており、
プレッシャーをかけらも感じさせていない。
周囲には片岡恵里、永井聖美ら準優組かつ同世代の面々も多く、
それも心を軽やかにしているのかもしれないが、
一昨年に地元女子王座で優出を果たしている向井には、
もはや準優が平常心を奪うものにはなりえないのではないか。
表情のやわらかさでいえば、ベスト18のなかでは
節一ではないかと思った。
超抜パワーの池田明美も、重圧に苛まれているとは思えなかった。
係留所からパドルを漕いでエッチラオッチラと
ボートリフトに向かっている姿を見かけたが
(すぐ隣の係留所にボートがあった)、
その様子に妙な緊張は感じられない。
ボートを陸に上げると、ステアリングバーの角度を
入念にチェックしていたが、チャーリー池上情報によれば、
最近流行の整備であるマフラー洗浄を考えているとか。
明らかに節イチパワーである池田が、
さらにパワーアップを考えているのだ。
その飽くなき闘争心には脱帽の一言。準優でどんな快パワーを
見せてくれるのか、おおいに楽しみだ。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)