BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――偉人たちの肖像

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 9R、逃げた西島義則、まくり差した山口博司、差して残した亀本勇樹が接戦。結果、亀本が2マークで抜け出して先頭に立っている。2着には西島で、師弟ワンツー。激戦であり、興味深い結果となった。

 レース後、カポック脱ぎ場で西島は大きな声でレースを回顧していた。そこに山口があらわれ、笑顔で感想を交わし合う。バック、西島はグイグイと伸びて、内の山口を抑え込みにかかっている。「コカしたらいけんけ、どう攻めたらいいか……」西島はそんなふうに言って顔をほころばせ、山口もうんうんと頷きながら、笑顔を返していた。

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 勝った亀本は、もっとも遅れてカポック脱ぎ場にやって来ている。西島との会話を終えた山口が、亀本の腰のあたりに軽く手を回すようにして健闘をたたえた。「たいしたもんじゃ~」。山口の賛辞に、亀本は3度4度と首を振って謙遜。ぺこりと頭を下げて、敗者への礼を尽くしてもいた。

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 さあ、師弟の顔合わせ。上位独占の2人は何を語り合うか……と思いきや、西島と亀本は特に会話もせず、よくある「すみませんでした」「ありがとう」的なやり取りもなかったのだった。西島は、報道陣の質問に応えて「カメ」という言葉を何度か口にしてもいたのだが、亀本はそれが耳に入っているのかどうなのか、まったく反応しない。ただ黙々と西島の横でカポックを脱ぐだけだったのだから、不思議なものである。会話を交わさなくとも、伝わるもの、通じ合うものがあるということだろうか。案外こんなものかもしれないな、と思ったりもして。

 

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 亀本は朝から本体を整備して(ピストンリングを交換してましたね)結果を出したわけだが、午後の時間帯はさまざまな選手が、レースを終えたあとに本体に手を付け始めている。成績がもうひとつ上向かない荘林幸輝も、黙々と本体を調整しており、パワーアップをはかっている。西田靖は、誰かに話しかけられれば笑顔で返して、しかし会話が終われば真剣な目つきになって本体と向き合っていた。西田は部品を交換したりしているわけではなく、ハマリ具合というのか接地の仕方というのか、それを調整しているようだった。たとえばシリンダ部分を柔らかく指先で撫で、その感触を確かめているのだ。 実に繊細な指の動きで、ほんのわずかな違和感を感じ取ろうとしている。そして、鉄の棒を押し当てて、木槌で優しくトントンと数度叩いて調整。その手つきからは、コンマ何ミリ、いや、それよりももっと小さな単位での調整をしているようにしか見えなかった。集中力と、とびきり鋭い感覚が必要とされる整備だ。キャリアを重ね、職人としてのノウハウを蓄積してきたベテランならではの姿だと思った

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 なお、10R後には山室展弘も本体整備を始めていた。これまでSGでも何度か山室を見ているけれども、本体に手をつけた場面は記憶にない。

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 倉谷和信が、遅くまで試運転を続けている様子も印象に残った。SGなどでも、終盤レースの時間帯に試運転をしている選手は多くはなく、木村光宏やよほど機力に苦しんでいる選手以外は、おおむね若手が走っていることが多い。すなわち、倉谷のようなベテランたちは、早々に切り上げるケースが多いわけだ。ま、今節の倉谷は“若手”なんですけどね。しかしそれが倉谷和信なのだから、外野から見ればちょっとした異常事態。倉谷は、もちろん普通の試運転と同じく、水面をぐいぐいと疾走してもいたが、他に試運転している選手がいないこともあってか、スロー水域からの起こしを確認するような動きも見せていた。明日は2R6号艇という出走があるが、動くんじゃないかなー。

 

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 今日はハプニングも起きているぞ。昨年の名人戦で、松野京吾にボラが激突し、松野が途中帰郷してしまったことは記憶に新しいし、松野自身、開会式で「ボラにKOされてしまいました」とネタにしていたわけだが、ここ下関でもボラ・ボンバーが! 

襲撃を受けたのは瀬尾達也。試運転中にボラが水面を跳ね、これが体にぶち当たったらしい。ただし、KOは免れている。当たり所がよかったのだ。瀬尾いわく「右太もものあたりにうろこがついていた。ここに当たって、水中に落ちたんじゃないか」。ウェアのズボンは履き替えるハメになったが、体には特に影響はなかったようだ。瀬尾、ボラをKO!? 瀬尾は12Rに出走、敗れているが、ボラよりも大嶋一也のほうがはるかに強敵だったわけですね。

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 これはハプニングと言っていいのかどうか……。10R、“ミスター競艇”今村豊と“ミス競艇”鵜飼菜穂子が対戦! ボートレースの歴史において象徴的な選手、象徴的な女子選手という偉人2人が激突したのだから、刺激的な戦いだった。しかも、この2人は同期! 48期は、ボートレース史に絶対欠かせない巨人を男女ともに輩出しているわけである。で、鵜飼が「記念に写真撮って!」と中尾カメラマンにリクエスト。緊急撮影会となった次第なのだ。今村は、JLCの勝ち上がりインタビューを受けていたのだが、それが終わって控室に戻られたらたまらん、とばかりに、カメラに映らないところで今村の袖をがっしりとつかまえていた。夜の展望番組をご覧のみなさん、青山登さんの後ろでは鵜飼さんが今村さんをホールドしているのですよ、実は。インタビューが終わり、キョトンとする今村を引っ張っていって、撮影したのがこの写真。腕を組んでご満悦の“ミス”となされるがままの“ミスター”。これは歴史的ツーショットだ! 中尾カメラマン、鵜飼さんにちゃんと送ってあげてくださいね!

 

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 さてさて、我々がセクシー番長と呼んで、ひそかに敬慕している岡孝。今日の午後、リードバルブの調整をしている姿を見かけた。すると、その隣に高橋淳美が座り込み、さらに日高逸子もその隣に! 岡にいろいろと話しかけているのだ。もちろん岡は調整の手を止めずに、しかし笑顔を向けて言葉を返す。番長、モッテモテっすね! グレートマザーにも淳ちゃんにも、やっぱりセクシーさは伝わりますか~。今日は2着とリズムアップした岡。明日は快勝してとびきりの笑顔を見せてください!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)