BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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下関・名人戦TOPICS 4日目

THE勝負駆け①ボーダー争いたったひとりの交代劇

 

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 昨日とはうって変わって、穏やかな風がそよいだ下関水面。スタートもバチッと揃い、イン選手が9勝という本命サイドの1日になった。外枠で厳しい勝負駆け条件だったレーサーたちは、ほぼ全滅。②着条件の高橋淳美、古場輝義も、③③条件の川名稔も、②②条件だった篠原俊夫、占部彰二も、コースの遠さを克服できなかった。「勝負駆けの気合より、コースの優劣」が、最近の記念4日目の傾向だと思う。各レーサーの気合がSに反映される→スタートが揃う→内コースが有利になる。そんな流れを、静水面がさらに後押しした。

 

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 では、誰が勝負駆けを決めたのか? 昨日の19位以下の選手で、準優18ピットに成り上がった選手は……たったひとり、中村裕将だけ!! その中村の枠番はといえば、1号艇と2号艇。6Rの1号艇できっちり逃げきり、④着条件の11Rでぴったりの4着。好枠をそれなりに生かしきったわけで、劇的な大逆転の予選突破といった選手は皆無だった。これほど穏やかな勝負駆け、ちょっと記憶にないな。

 

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 で、浮かぶ者あれば、沈む者あり。昨日の準優圏内から唯一転落したのが、④④条件の藤井定美だ。4号艇6着、5号艇5着……藤井もまた、内枠断然有利の水面&スリットに抗えなかったひとりだった。A1返り咲き(ほぼ確定)に花を添えたい藤井だったが、惜しかった!

 

THE勝負駆け②予選トップ争い50歳トリオの“熾烈な間接対決”

 

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 一方、第13代名人襲名への最短距離を目指す予選トップ争いは、それなりに激戦だった。「それなりに」というのは、レースを経るたびに明解に候補者が絞られてゆく、そんな流れで紛れが少なかったのだ。

 

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 まず、5Rは井川正人(前日まで2位)VS西島義則(同4位)の直接対決。しかも、どちらも1回走。この一発勝負は、待機行動で「勝負あった」と言っていい。西島がピットアウトからスーーーッと流れるように井川の外へ回り込み、あっという間にインを強奪したのだ。田上晋六のチルト1・5まくりを難なくブロックした西島は、バック半ばで独走態勢に。差して応戦した井川だが、節イチの足をもってしても2着が精一杯だった。

 1着・西島 8・80→9・00

 2着・井川 9・00→8・80

 コース同様、ふたりの順位がきっちり入れ替わった。この勝利で西島の3位以内が確定した。西島を超える可能性がある選手は、前日までトップの今村豊と同3位の山室展弘のふたりのみ!

 

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 続く6R、今村豊の予選トップがいきなり消滅してしまう。2回走の今村は、①②着以上で他者に関係なくトップ当選。つまり、このレースで2着以内なら、後半12Rまでトップの可能性が残される。が、4コースに構えた今村のまくり差しは、虚しく空を切った。痛恨の3着……数字の残酷さよ、この3着によって、もはや今村は12Rで何をどうやっても西島9・00を超えられない身の上となってしまった。つまり、6Rにしてトップ争いは西島と山室、ふたりに絞られたわけだ。

 

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 そして、雌雄を決する11R、山室はいとも簡単に逃げきった。それぞれ別のレースではあったが、今村、西島との50歳ポールポジション対決に終止符を打った。予選勝率は9・00トップタイ……ドリーム組の西島より、ひとつだけ多い勝ち星が決め手となった。もちろん、この1勝差でVが確定したわけではないが、初の名人へ一歩も二歩も前進する1勝差だったことは間違いない。

 

集中連載『今日の万谷親ビン』3着…節間勝率5・00

 

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 68歳99Vの名人戦アタックは、惜しくも準優に届かなかった。今日の4Rは、2コースから差して2番手追走。一縷の望みを託して先頭の岡孝を追ったが、逆に岡本慎治に捌かれて3着に終わった。予選5走、健闘した、と思う。激しく競り合った相手は今村豊、西島義則、そして今日の岡本などなど。ドリーム軍団を全身全霊全速で攻め潰そうとした68歳に、拍手を贈りたい。

 

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「区切り(通算100V)はなぁ、やっぱそらぁしたいわ。その思いで走ってるっちゅう部分も、あるにはあるなぁ」 これはもう、5年ほど前に聞いた親ビンの言葉だ。今も同じ思いなら、これからも親ビンの挑戦は続く。あしたも、あさっても、来年も……ずっと応援し続けまっせ、万谷親ビン!(Photos/中尾茂幸、text/H)

 

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