BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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浜名湖・笹川賞TOPICS 初日

スロー12連勝!?

 新ペラ制度になって最初のSG、笹川賞の初日が終わった。できる限り「新制度」を縦軸に据えながら振り返ってみたい。

 

今日のイン成績

⑥①②①④①F②③①②⑤

1着率33% 2連率58% 3連率67%

 

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 今までのSG初日の平均値よりやや低い気もするが、想定内というか、驚くほどの変化はなかった。7Rのイン白井英治(+06のF)も入っていれば勝っていた可能性は高く、むしろ「インの強さは、今までと同じ」と言ったほうが潔いだろう。

 みんな、新制度のエンジン+プロペラに慣れてきた(克服しはじめた)。

 これが最大の理由だと思う。新制度になってから、どの場でも初日、2日目あたりはスタートがバラけてポンポン穴が飛び出した。特にスロー水域の選手たちが、回転の上がらないパワー機関に戸惑い、スタートの遅れが目立ったものだ。

 

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 だが、艇界のトップレーサーたちは、3、4節ほど新制度を体験しただけで、回転不足な どの違和感を「こういうもの」として身体に染みこませ、スタート勘も補正させてしまったのだろう。コンマ02まで踏み込んだ横西奏恵のイン逃げなど、天晴れという他ない。

 

 同時に、プロペラ調整の技術も瞬く間に発達した(自分に見合ったゲージを持参して早々に整備する、など)。持ちペラ制度時代の「先鋭的なプロペラ戦争」同様、トップレーサーたちはこの新制度で生き抜くべき方法を早くも見出した。そうとしか思えないほど、今日はスロー勢がバチバチとスタートを揃えていた。

 次のデータを見てもらえば、さらに明解だろう。

 

今日の勝利コース

③①③①②①②③③①②⑤

1~3コースの1着率92%

 

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 インが負けたときには、必ずと言っていいほど2、3コースが勝った。1~11レースまで、4~6コース(ダッシュ勢)アタマの舟券はすべて紙屑と化したわけだ。新制度がはじまって間もなくの「スロー勢の誰かしらが凹み、ダッシュ勢がまくって穴だらけ」という初日パターンは、ひとつも生まれなかったわけだ。

 

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 皮肉と言えば皮肉だが、スロー勢のスタートが凸凹になってアウト勢が飛んできた唯一のレースが、最高峰の12Rドリーム戦だった。愛弟子・白井のFに責任を感じたわけではなかろうが、3コース今村豊がコンマ37のドカ遅れ。コンマ19の4コース松井繁が嬉々として絞り、コンマ11で連動した菊地孝平が豪快にまくり差した。松井も菊地もスローではあったが、このドリーム戦こそが「新ペラ制度の初日パターン」なのだ。これが、わずか1回した出現しなかったことは、驚愕に値する。みんな、適応能力が凄すぎるって。 

 

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 とにもかくにも、スロー発進が12連勝……初日からこの有様では、さらにスタート勘が合う2日目以降も、ダッシュ勢の苦戦が続きそうだ。この流れが崩れるとすれば、

 

①強い風が吹いてスタート勘が難解になる。

 

②井口などの行き足抜群の選手が4カドあたりから攻める。

 

③イン屋と好枠レーサーがやり合いスロー勢が深くなる。

 

 このどれかの要因が必要だと思うのだが、これって以前までのSGとまったく同じじゃないですか?? 断言するのはまだ早計だが、「持ちペラ制度→新ペラ制度の変化によって、SGの何かが変わる(極端に荒れる、とか)」という希望的観測は、もはや棄てたほうがよさそうだな(はい、ボー誌などで「劇的に変わる!」と書いてきたのは私です、すいませんっ!!><)

 

評判機、苦戦??

 

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 では、新制度の最大の特徴である「過去からのパワーの引き継ぎ」に関しては、どうだったか。4月の初下ろしから私が注目していたモーターの成績は

 

★★2号機(56%)…寺田千恵⑤

★★3号機(65%)…西島義則①

★★1号機(42%)…茅原悠紀⑤

★16号機(42%)…秋山直之③②

★9号機(30%)…笠原亮④

★8号機(32%)…坪井康晴②

★40号機(33%)…魚谷智之②⑤

★35号機(59%)…原田幸哉④②

★43号機(39%)…山崎智也④②

★27号機(56%)…勝野竜司②

 

 う~ん、昨日記した「重い着順を並べる選手はいないはず」というのは当たっているけど、勝ったのが西島のイン逃げ一発では威張れたものではないな。笠原も坪井も勝野もインで負けてるし。私の見立てが甘い(古い?)のか、今日はたまたまなのか……実戦を見る限り、「悲観すべき選手はいない」という見立ては変わっていない。明日以降に期待する。 そしてそして、これとは別に昨日客観的に見立てた前検番付の選手たちは……。

 

SS級(節イチ候補)

★★★松井繁…DR②

★★★山口剛…④④(減点-7)

 

S級(超抜候補)

★★白井英治…F①

★★坪井康晴…②

★★西島義則…①

★★寺田祥…①

 

A級(上位候補)

★井口佳典…②①

★寺田千恵…⑤

★平山智加…⑤

 

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 うむ、女子レーサーはご愛嬌として、こっちの方が断然の好成績を残した。男子で唯一の期待倒れは、例によって山口剛。この選手を何度か節イチ候補に指名してきたが、成功例は一度もない。今日も引き波でモッサリ重く、とても「抜群の出足」とは言いがたい気配だったなぁ。とりあえず、この9選手は明日も据え置きにし、井口と山口の番付を入れ替えることにしよう。

 まぁ、今節に限っては前検番付レーサーよりも、前評判の高い超抜機たちに活躍してもらいたいのだが……そうじゃないと、「持ちペラ→新ペラ制度は、ファンにとって何も変わらなかった」なんてことになってしまうような気がするのだが……どうか。

(Photos/中尾茂幸、text/H)