抽選会場のミーティングルームに入った瞬間、異質なものを感じた。
タバコの匂いだ。最近は日本国中どこもかしこも
禁煙スペースだらけだが、ここ尼崎のミーティングルームは
喫煙OKなのだな。ヘビースモーカーの私は、
もちろんこの匂い(臭い、ではない)は大歓迎。
ガラポン抽選のことをしばし忘れて、
タバコをくゆらす選手たちに魅入ってしまった。
ぱっと目に飛び込んできたのが、
今村豊と白井英治の師弟コンビだ。隣り合わせのふたりは、
それぞれ半身で向かい合うような姿勢で、
同時にスパァーーー。師匠が笑いながら
弟子に二言三言告げてから、またまた同時にスパァーーー。
阿吽の呼吸というのか、鏡のようなシンメトリー状態での
「スパァーーー」が見ていて心地よかった。
そのすぐ後ろでは、椅子に座った服部幸男と大嶋一也が窓の外を見つめながら、うまそうにタバコを吸っている。窓の外は、水面。大嶋はやや前傾姿勢で、静かにタバコを口に運ぶ。どこか遠い目で水面を見つめるるダンディと、右指のタバコ。ハードボイルドすぎる。これが本当の『カサブランカ・ダンディ』ってヤツですか、ハイ。
で、その左、背もたれに深く腰掛けているのが服部だ。
左の人差し指と中指の根っこの部分にタバコを挟み、
大嶋に何事かを真剣に話し続けている。
熱が入るたびに、タバコを挟んだ指が前後上下に激しく揺れ、
時に八の字を描いたりしてから、スッと服部の唇に入っていく。
うーーん、静の大嶋、動の服部。どちらのタバコもカッコいい。
で、そのふたりからすこし離れた席で、
前方のどこか一点を見つめながら
紫煙をくゆらせていたのは重成一人。
深く思いつめているような、そうでもないような、
腹に一物あるようなないような、そんな妖しい瞳と紫煙が、
これまたいい感じのハードボイルドになっている。
「オッサン、背中が煤けてるぜ」 で有名な、
『哭きの竜』という劇画を思い出した。
はいっ、てなわけで、好成績のモーターを
いくつかピックアップしておこう(笑) 初下ろしが4月22日、
それからまだ3、4節しか走っていないエンジンとあって、
過信は禁物とお伝えしておく。
★50号機(65%)…平尾崇典
★3号機(57%)…田村隆信
★53号機(53%)…白井英治
★54号機(51%)…峰竜太
★26号機(50%)…吉永則雄
50号機と3号機のトップ2は、
ほぼA1レーサーばかりという印象。
コストパフォーマンスとしては、
53号機と26号機の方が上だと思うぞ。
それから、前節で矢後剛が伸びを中心に超抜に仕上げた
18号機=辻栄蔵も要注意!
(photos/シギー中尾、text/H)