BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――準優組より……

 

今日の終盤ピットで、もっとも姿を見かけたのは、なんと萩原秀人なのであった。ふと背中に気配を感じると、萩原が追い越して行ったり、なんとなく整備室のほうに目をやると、萩原が出てくるところだったり。11R前だったか、艇番を丁寧に整理整頓する姿もあった。それは新兵の仕事のはずだが、萩原は実に美しく並べている。そりゃ新兵じゃなくとも気づいた人がやればいいというのは道理だが、ちょっと奇妙な光景としてそれを眺めたのである。

 

 

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「りょーちゃん! ロッカー前のくっさい荷物、片付けろや!」 

中村亮太に、そんなふうに声をかけたりもしていた。

「えっ、片付けてくれたの?」「だぁ~れが片付けるかっ!」 

憎まれ口を叩いて歩き去る萩原。  

 

 

 

 

 

 

 

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最後まで試運転をしていた齊藤仁と中野次郎が陸に上がったときには、小走りにエンジン吊りにも参加していた。モーターを格納して仁ちゃんと次郎が控室に向かおうとすると、萩原がちょうど控室から出てくるところ。「ありがとう!」と仁ちゃんが言うと、「ありがとうございました!」と萩原。

 

 

 

 

 

 

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続いて次郎が、「ありがとう!」と言うと、ありゃりゃ。

「ごめんなさい。架台を運んだだけですから!」 

なぜ同期には憎まれ口を叩くのですか、あなたは(笑)。  

 

 

 

 

 

 

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そんな萩原を追って、もう一人の同期、吉田俊彦が

「ハギ、頑張ろう!」と言いながら併走し始めた。

二人が向かった先はペラ室。こっそり後をついていくと、

トシと萩原は熱心にペラを叩き始め、やがて次郎が合流すると、

同期3人で延々とペラ調整をしているのだった。 

というわけで、萩原選手、お疲れ様! あなたの姿を追うのは、

なかなか楽しゅうございました。  

 

 

 

 

 

 

 

 

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で、今節、今日でその姿を見るのが最後となるのが二人。

池田浩二と白井英治が途中帰郷となった。

池田は右腕の打撲、白井は大腿部の打撲。

池田はドリーム失格後は怒濤の4連勝だったし、

白井も今日は1着を獲っているだけに、実に残念。

早く傷を癒してほしいと願う。 

白井がスーツに着替えて帰郷準備をしているところを目撃したが、

やはり難しい顔をしていた。唇がとがってもいた。

一節を途中で投げ出すことが面白いことのわけがないのだ。帰りの新幹線のなかでは、やるせない思いにも苛まれることだろう。  

 

 

 

 

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一方の池田は、こんなときでもおちゃめな姿を振りまいたりしている。ペラゲージを峰竜太と三井所尊春に持たせて、

自分は三井所の肩に寄りかかる感じで歩いていた。

池田選手、こんな言い方をしてすみませんが、

えっと、孫の手を借りるお年寄りのように見えちゃいました、はい。

そんな恰好をして見せて、周囲を楽しませているわけなのだが。

平本真之が駆けつけたことによって、

様相は“お年寄りの大名行列”に。

そんなふうに尼崎を後にした最強戦士、

次のSGでは優勝戦での美しいレースで楽しませてくださいね!

 

 

 

 

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とまあ、準優に出られない選手のことばかり書いたわけだが、

準優組をピットで見かける機会は少なかったというしかない。

いや、見かけていても、ボーダーが混迷していて、

その時点では予選突破できるのか判然としない選手も多かった。

もちろん、選手たちもボーダー付近の選手は

自分がどういう状況なのか把握していない選手も多く、

ボーダーよりやや下にいた笠原亮は、

レースが終わるごとに得点率の状況を尋ねに来たものだった。  

 

 

 

 

 

 

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レースが終わったあとでさえ、自分の立場が

ハッキリとは見えないのだ。11Rで5着に敗れた今井貴士は、

どうやら18位に自分がいないということを

なんとなくは理解していたようだった。だが、本当にそうなのか、

確信がもてない。ましてや、今井に歩み寄った篠崎元志は

もっとわかっていない。二人はなんとなく

あやふやな言葉を交わしながら、

「そうかあ、今の4着5着が大きかったんですね」。

今井は道中4番手を走りながら抜かれてしまっており、

そう、実は4着をキープできていれば、

晴れて予選突破をしていたのであった。 

 

 

 

 

 

 

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というわけで、準優組。予選トップは重成一人である。

11R3着で8・00、12Rの石野貴之が1着ならやはり8・00となって、

上位着順差で石野がトップだったが、

石野の2着で重成のトップが決まった。  

森高一真と話している重成に1位であることを伝えると、

二人ともすでに知っていたようだった。「一度は経験しなきゃ」と

微笑んだ重成に、森高が「2回逃げたら優勝や!」とハッパ。

重成はおどけてかわしていたが、当然それを意識しているはずで

ある。その時点では準優番組を確認していなかったのだが、

12Rは4号艇に森高。「2回逃げたら」を許さないのは

森高になるのかも。SGで初めて予選トップを経験する重成には

重圧もかかるだろうし、森高が先輩相手に手を緩めるわけがないし、

この讃岐真っ向勝負はおおいに楽しみである。  

 

 

 

 

 

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……って、結局準優組で書いたのはこの二人だけ? 

つまり、午後のピットで目立った動きは予選突破組ではなく、

明日一般戦に回る選手たちだった、というのが

4日目の真実だったということにしておきたい。

準優はもちろん楽しみだが、1~9Rでもおおいに

舟券勝負させていただこう。

 

 

 

(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)