BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――強者

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3日目を終えて予選トップ、もちろん準優は当確の山川美由紀が、早い時間から試運転と調整に励んでいる。1R前から足合わせを繰り返していたし、1R発売中の試運転を終えてからも、係留所に留まって回転調整を延々と続けていた。もっとも余裕をもって勝負駆けデーを迎えているはずなのに、決して手を緩めようとしないその姿勢に、この人の強さの一端を見たような気分になる。弛むことなく戦い続ける姿は、堂々たる強者のそれだろう。  

 

 

 

 

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一方で、必ずしも安泰とは言い切れないながらも、自然体でいられる横西奏恵にも唸らされる。山川は5Rに登場、横西は11R1回乗りと、時間的な余裕の違いでもあるのだろうが(しかも山川は外枠で、横西は1号艇)、決して慌てず騒がず、己の行く道を貫いているのもまた、絶対女王の風格だ。SGでも女子王座でも、予選最終日の横西はこんな感じで前半を過ごすことが多いような気がする。それが圧倒的強者のふるまいなのだ。  

 

 

 

 

 

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では、3連覇を狙う女王・田口節子はというと……チャーリー池上と楽しそうにお話していた。ももクロ話ですね。確認したわけではないけど、チャーリーのムカつく表情と田口の弾んだ表情を見れば、そうに決まってる。それもまた、強者の雰囲気。ここまであげた3人のなかではもっとも早い登場ながら(4R)、少しの気負いも感じさせないたたずまい。三者三様ではありながらも、そこには強いナデシコのオーラが充満しているのであった。

 

 

 

 

 

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険しい表情を見せていたのは、海野ゆかりだ。昨日の12Rは見事な4カドまくりを決めているが、道中は宇野弥生に差を詰められている。宇野は日高逸子との2番手争いを演じながら、海野との差を縮めたのだから、明らかに海野の機力は万全とは言い難い。6・00へは4着条件となっているが、枠番は6。実力者のなかではもっとも厳しい立場にあると言えるのかもしれない。  その海野は、本体整備に着手している。1R発売中には整備を終えて、モーターを装着していたが、そのときの表情が厳しいものだったのだ。1Rが終わった後には、寺田千恵と長く話し込んでいた。寺田の顔つきも険しかったが、海野もまた眉間にシワが寄っている。それは現状への懸念をあらわすものでもあり、またレースへの闘志のようにも見えていた。 

 

 

 

 

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勝負駆けの条件を言うなら、寺田は海野以上に厳しい条件である。3着勝負だ。海野の4着にしろ、寺田の3着にしろ、実力的にはさほど難しいものには思えないが、本人たちの感触では安穏としていられないということだろう。2Rのエンジン吊りに、寺田はひとり遅れて参加している。森岡真希のボートがリフトに乗り、岡山勢が陸に上がって来るのを待ち構えているとき、ようやく選手の輪の最後尾に取りついたのだ。どうやら、寺田はギリギリまでペラ調整を続けていた様子。一秒でも二秒でも、寺田は時間がほしいのだろう。 海野や寺田のように徹底的にパワーアップをはかり、プライドにかけても予選落ちという失態を演じるまいと燃える姿も、やっぱり強者のそれである。勝負駆けの午後イチ、ピットで目立っていたのは、女王たちの強さの発露なのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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さてさて、2R1号艇で登場した浜田亜理沙は、水神祭の絶好のチャンスをモノにできなかった。細川裕子のまくりを浴びてしまったのだ。レースが終わり、ボートを装着場の空いているスペースに移動。先輩らにお礼を言って、ヘルメットを取った浜田の顔は……泣き顔に見えた。実際に泣いていたとかはむしろどうでもよく(さすがに本当に泣いているようには思えなかった)、せつなさいっぱいの顔つきになっていたのが印象的だったのだ。昨日、守屋美穂の水神祭を見て、1号艇が回ってきた今日は浜田自身も強く意識して臨んだはずである。それがかなわなかったことは、やはり悔しいことだったに違いない。もちろん、あと2日、水神祭のチャンスは残されている! その2日間を全力で戦い、いつか山川や横西や田口や寺田や、師匠の海野のような強者になるであろう片鱗を見せてほしいぞ。(PHOTO/中尾茂幸=山川、横西 池上一摩=田口、海野、寺田、浜田 TEXT/黒須田)