BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――静かです

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1Rで東本勝利が転覆。

レスキュー上でスタンドに頭を下げていたから、

まず大丈夫だろうとは思われたが、ピットでも元気な姿を見せている。転覆後には当然、モーターの転覆整備をすることになるわけだが、

井口佳典もヘルプしながら、てきぱきと作業を進めていた。

初めてのSGで手痛い失敗をしてしまったわけだが、

まだまだ折れてはいないようだ。東本よ、転覆は水神祭ではないぞ。自力で1着をモノにして、嬉しいずぶ濡れの儀式を

実現させてください! 

 

 

 

 

 

 

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それにしても、

早い時間帯のピットはわりと閑散としていて、

2日目にしては少し異質な光景と見えた。整備室には、

東本のほかには、赤岩善生がいつもの“自分の調整”をしている姿があるだけで、装着場も選手の姿があまり見かけられない。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そんななかで、山崎智也と馬袋義則が、たまたま隣同士にボートが置かれていたこともあって、

艇のへりに座って話しこんでいる姿があった。

そして、よく目立っていた。この二人は、71期の同期生。

SGで一緒になる機会はそれほど多くなかったが、

 

 

 

 

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馬袋が総理杯以降

SGの常連となっている今年、仲良さそうに話す様子は

何度も見かけている。本栖を卒業して何年も経過したとしても、

久々に顔を合わせたとしても、同期の絆は実に強い。

馬袋はすでに賞金王出場にかなり近い位置にいるわけだが、

ならば智也も続かねばなるまい。次は聖戦の舞台で

二人の仲の良い様子を見たくなったぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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閑散としているとはいっても、

ペラ調整室だけは様子がまるで違う。もちろん満員御礼だ。

新プロペラ制度が導入され、前検からペラ調整所はすし詰めになるという推測があって、しかし実際はそこまでの混雑ぶりは

見せていなかったわけだが、今節はやけにペラ叩きが多いなあ、

という気がする。ペラ室の外には、ゴム板を敷いて臨時の調整所も

設置されており、そこにも選手の姿が鈴なり。

艇庫の隅に設けられた調整所では、山崎智也がペラを叩いていて、

地元ということで他地区の選手に調整室を譲っているようにも見える。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その隣には福岡軍団がいる。

瓜生正義を取り囲むように、川上剛、郷原章平、西山貴浩、

前田将太、篠崎元志が叩いていて、その全員が揃っているのは、

レースなどの関係でまだ見ていないが、この6人のうち

2~3人の姿がいつもここに見られるという状況になっている。

それにしても、今さらだけど、福岡のメンバーは若いっすね。

瓜生以外はやまと世代ではないか。瓜生隊長とヤングソルジャーってな感じで、強い結束力を感じずにはいられない。

記者室に帰ってきたら、H記者が「前田将太が急に良くなってたぞ!」と興奮気味に報告してきたが(舟券獲ったらしい。けっ)、

前田は身近に瓜生の存在を感じながら、調整のアドバイスももらって、気配を上昇させたのだろう。瓜生がそばにいるってのは、

それほどまでにパワーを与えるものだ。特に、若手にとっては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さてさて、3Rでは3番手争いが接戦となった。

2周2マークで今村豊が内から突進するようなかたちになって

守田俊介を逆転。今村にしては珍しいシーンであった。

結局、3周2マークで守田がツケマイで再逆転。

ちなみに守田の今日の体重は51.3kgで、

たった2日で4kg以上の減量に成功! 

 

 

 

 

 

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レース後のカポック脱ぎ場では、

今村が笑いながら「きもりや~ん(と言ったように聞こえた)、

ごめ~~~~~ん!」と苦笑いを浮かべながら

守田に頭を下げていた。実は今村にとっても想定外の展開だったようで、それでも接触は不本意だったから、素直に詫びを入れたわけだ。しかし、守田に言わせれば、「あの位置関係では仕方ないですよ~。今村さんも当てたくないだろうと思いましたけど、あのまま行くしかなかった」とのこと。二人に禍根はまったく残っていないのだ。

選手たちは、接触などなくクリーンにレースが終わるのが理想。

しかし、セパレートコースではなく、しかも水面で、二つのブイの間を

周回するボートレースという競技では、流れによっては

接触がなければかえっておかしい。そうしたとき、

あの今村豊でも後輩に素直に頭を下げ、後輩も事情を斟酌する。

これを本当のクリーンファイトと言うのである。

ま、時にはけんか腰になるような激しい戦いも見たいよな~と

思ったりもするわけだが、こうした清々しい戦いを見るのは

もちろんボートレースの醍醐味なのである。

 

(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)