1R前にピットに入ると、昨日以上に静寂が漂っている。
今日はペラ室にもあまり人影はなく、ざっと眺めても
選手の姿がほとんど見当たらない。 整備室では、
山口剛が本体整備中。大きな整備というよりは点検、
組み直しの類いに見えたが、H記者の見立てでは
節イチ級の山口のパワー、さらなる上昇を目指しての整備か。
奥のほうでは峰竜太が神妙な顔でキャブレターを調整していた。
峰といえばペラ巧者のイメージだが、
もちろん本体整備も苦手ではない。
峰の豪快なレースを裏打ちするのは、陸の上での追求心だ。
リードバルブ調整用のテーブルで、
ペラにゲージを当てていたのは瓜生正義。
今節、ここはペラゲージ調整にも使われていて、
瓜生もその作業をしていたようだ。その瓜生を、川上剛が呼びにきた。川上に請われて、瓜生はペラ調整所へ。
川上は瓜生にいろいろと相談しながら、ペラを叩く。
静かなピットに響く、カーンカーンという澄んだ音……といったあたりが、早い時間帯のピットで目立った動きなのであった。
とにかく、静かなのだ。
ところが、レースはどえらい荒れ模様である。
1R、5コース森高一真のまくりに乗って、
6コース熊谷直樹がまくり差して1着。6-5コースの決着である。
レース後の熊谷はとにかく、ニコニコ!
実に気持ちのいいベア・スマイルを見せていた。
黙っていると迫力ある容貌の熊谷は、笑うと本当に優しい!
その笑顔は、猛暑に吹く清涼剤であった。
2Rもまた6-5コース決着! 今度は馬袋義則が突き抜けた。
ただ、このレースは事故があった。バックストレッチの中間あたりで
中野次郎が転覆したのだ。これによって平尾崇典は
妨害失格をとられている。中野は足を打撲したようで、
大事をとってレスキューから担架で運ばれている。
レスキューを出迎えたのはもちろん東京勢だが、
田中信一郎も心配そうに駆けつけている。田中といえば、
僕の中でのイメージは「男気」。事故があれば
我がことのように心配し、気遣いを見せるし、
さまざまな場面で他者のために動いている姿を見かけるものだ。
だから、田中が血相を変えてレスキューに駆け寄ったのも、
担架を持ち上げる輪に加わったのも、ちっとも不思議なことではない。こういう姿を見ると、田中を応援したくなるというものだろう。
医務室に運ばれた中野に東京勢が付き添ったため、
転覆艇の引き上げが手薄になっていた。
もちろん田中は駆けつけているわけだが、
真っ先に水面際に陣取っていたのは瓜生正義だ。
こんなにも強くて、こんなにも優しい瓜生正義に勝てる男はいるのか!?ほんと、ミスター・パーフェクトですな、瓜生は。
で、3Rでは原田篤志が転覆して、重野哲之が妨害失格。
今度は5-6コース決着である。何たる大荒れ!
で、ひとつ気になるのは、ここまでレース中の事故に見舞われたのは、東本勝利、中村亮太、中野次郎、原田篤志と、田村隆信以外は
86期ばかりなのだ。今節、86期は5人が参戦。
ここまで大挙してSGに参戦するのは初めてだろう
(しかも吉田トシがいないのだ)。銀河系の一つ下ということで、
どうしても影が薄くなってしまう期なのだが、
それだけに頑張ってほしかったし、
また相次いで事故に見舞われているとは嫌な流れだ。
もう一人の86期は萩原秀人。事故には本当に気をつけて!
(もちろん萩原以外の全選手も!)
今日は横西奏恵、田口節子と“両手に花足合わせ”をしており、
横西が「良くなったじゃない!?」と萩原のパワーを評価していた。
7R1号艇、同期の思いも背負い、嫌なムードをぶった切る走りを
期待するぞ!
最後に、日経平均株価……じゃなくて守田俊介の本日の体重です。
またまた減って50.7kg。株価は上がったほうがいいけど、
守田の体重は順調に好転しているようです。
(PHOTO/中尾茂幸 池上一摩 TEXT/黒須田)