以前の福岡SGでも書いたが、福岡ピットには
3カ所のプロペラ調整所がある。まず整備室の奥のペラ調整室。
整備室の入口に設けられたペラ調整所。
そして、装着場の隅に設けられた屋外ペラ調整所である。
いつぞやは「ペラの泉」だとか妙なネーミングをつけたりしたものだが、ばかばかしいので「奥」「入口」「屋外」とシンプルに呼ぶことにしよう。 それぞれの調整所に集う面々はほぼ固まっており、
その顔ぶれを見るのもなかなか楽しい。 「奥」はまず瓜生正義。
地元エースがここに陣取っている。石川真二もここにいるが、
現住所・福岡でも愛知支部。また、今村豊の顔もあって、
ということは白井英治もここである。で、このペラ室は装着場からは
死角になっている部分があって、そこにいる選手の顔は
残念ながら見ることができない。
「入口」は静岡支部が集っている。
服部幸男や坪井康晴は、テーブルに叩き台を置いて立ったまま
木槌を振るっていることが多く、横澤剛治はテーブルの脇に座り込んで叩いている。昨日はここで辻栄蔵も見たな。
とにかく、覗くといつも服部と坪井と横澤がいるという印象があったりする。
「屋外」がもっとも大勢力。まず目に付くのは王者で、
その隣で古賀繁輝が叩いていて、お互いに会話を交わしてもいて、
不思議な感覚になったりもした。王者とSG初出場の若武者という
組み合わせは新鮮ですな。
古賀がそこにいるように、若手は支部問わず屋外で調整している。
篠 崎元志、岡崎恭裕の地元勢に峰竜太、赤坂俊輔の九州勢。
茅原悠紀、桐生順平もここにいて、吉田拡郎の顔も見える。
あ、茅原と吉田は岡山支部というくくり方もできるか。
川﨑智幸もここの住人だ。あと、濱野谷憲吾もここで姿を見る。
三嶌誠司もここか。あ、深川真二、江口晃生、山崎智也も……と
あげていくとキリがないほど、屋外に陣取る選手は多い。
10月の爽やかな風に吹かれながら作業をするってのも、
なかなか気持ちのいいものかもしれませんね。
そうだ。今日はここで烏野賢太の姿も見たんだった。
何が目を惹いたかといえば、烏野の着ていたウェア。
前のバージョンの賞金王ジャンパーだったのだ。
いやはや、懐かしいウェアだなあ。今のももちろんいいが、
前のバージョンは重みを感じさせるものがありますな。
長く見慣れてきたからそう感じるのかもしれないが、
烏野が賞金王で活躍したことも含めて、
うっとりと回想にふけってしまった次第であります。
あ、そうそう。古賀繁輝のSGジャンパー姿を初めて見ました。
「似合ってる!」と声をかけたら、顔をくしゃくしゃにして喜んでました。
ここにたどり着くまでには回り道も多かった古賀だけに、
このウェアに身を包む感慨を深く感じているのだろう。
さてさて、今日は本体整備(点検)をしている選手も
けっこう見かけていて、その代表格といえばやっぱり赤岩善生だ。
いつもの作業ではあるわけだが、赤岩が置かれている立場を思えば、深読みをしたくなるというもの。賞金ランク20位、勝負駆け、
そして昨日は不良航法をとられて大きく後退。
ここ数年は賞金王圏内にいて追われる立場だった赤岩だが、
今年はここから一気に巻き返していかねばならない状況にいる。
そのためにも整備の手にも力が入る……というのは
きっとこちらの考えすぎだが、その鋭い表情を見ていると、
そうした言葉のひとつも出てくるというものだ。
少なくとも、昨日の減点で闘志が消えたということは、
絶対にないはずである。
(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)