ウイナーズ・ギャップ
11Rシリーズ優勝戦
①池田浩美(静岡)13
②堀之内紀代子(岡山)11
③平高奈菜(愛媛)19
④金田幸子(岡山)18
⑤武藤綾子(福岡)
⑥長嶋万記(静岡)21
売上4億円強。“一般戦”の優勝戦として、
ありえないほど舟券が売れまくったレースが
スタートした。
1マークの手前でイン池田浩美の艇がバランスを崩した
(本人曰く「サイドが掛かりすぎた」)。 すわ、大波乱か??
と思ったのも束の間、
むしろこのアクシデントで後続艇が失速するなどして、
バック中間ではもはや浩美の独走態勢となった。
浩美のアタマ舟券を一枚も買っていない私は、
道中でぼんやりこんなことを考えていた。
「浩美の嬉しさは、どれくらいだろう?」
今節ほど、ボートレースでヒエラルキーというか、
階層の差みたいなギャップを感じたシリーズはない。
開会式でもレース中でも優出インタビューでも、
私は何度も同じギャップを感じ続けてきた。
賞金女王とシリーズの差。
片や優勝賞金1000万円のGIで、片や70万円の一般戦。
賞金王のダブルSGとは、別格の低い扱いだ。
「絶対数の少ない女子の中で、
12位に入れなかったんだから当然だ」 と思う人もいるだろうが、
それにしても……。今節は、売れに売れた。
先のSGチャレンジカップよりも売れた。
この売上は、トライアルの12選手だけでは
到底成し遂げられる数字ではない。
シリーズ&トライアルの相乗効果があってのものだろう。
このシリーズを“縁の下の力持ち”として
大いに盛り上げた13位以下の選手たちに、
より大きな褒賞を期待したい。せめてもGⅢ。
可能なら、より賞金王&シリーズに近い形のGⅡ
(もちろん総理杯のキップ付き)を。
表彰式で、最後に池田浩美が何かを言おうとして、やめた。
そして「次の優勝戦もあるので、いっぱい買ってください」という
コメントで締めた。何を言おうとしたのはわからない。
わからないが、わかる気がした。
私自身も、心の底から「おめでとう」という言葉を
言えずにいたから。
(photos/シギー中尾、text/H)