BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――勝者と敗者

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「先輩出すぎ~」

 星野政彦が鵜飼菜穂子に、まいりました~、てな具合で語りかけた。

 1R、二人は3番手争いになって、鵜飼が先着している。星野が完全に足負けしたようなかたちだったようだ。

「そぉお~?」

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 嬉しそうに鵜飼が笑う。二人は並んで、装着場のモニターを見上げた。リプレイが流れ始めたのだ。万谷章もこれに合流。鵜飼がそこにあらわれる前、星野と万谷は「あれは出てますよね~」と鵜飼の“噂話”をしていたのだが、リプレイを見ながらあらためて、鵜飼のパワーを確認したはずだ。

 というわけで、皆様、鵜飼菜穂子、出てるみたいです!

「今朝、鵜飼がわざわざ来て、ペラ叩いたら良くなった、言うてましたわ」

 と長嶺豊さんも証言している。明日からも要注意ですぞ!

 

 こうした番手争いを繰り広げた選手はレース後に笑顔(苦笑まじりも含めて)で感想戦を行なったりしているが、では勝った選手はどうかというと、意外と淡々としているものである。もちろん、歓喜の笑顔もよく見られるものであるが、予選道中は実はそれほど多く目撃できるものではない。勝った選手はむしろ表情を変えずにピットに帰ってくることも多いのである。

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 2R、快勝した倉谷和信も同様。ボートリフトに乗って引き揚げられるのを待つ間、ついに笑顔は浮かばなかったのだった。余韻を噛み締めているというよりは、ホッとした表情といったほうが近いか。そうか、人気を背負って勝った選手は、歓喜よりも安堵のほうが強いのかもしれないな。もちろんレースでの感触を思い起こしてもいるだろう。かつて赤岩善生は「自分が勝てなかったときの悔しさを考えれば、勝ったときにはしゃいだりしたら戦った相手に失礼」と言っていたが、そうした思いも共通して選手にあるものなのかもしれない。

 では、勝った選手はひたすら淡々としているかというと、そうでもない。なぜなら、エンジン吊りで出迎えた仲間が嬉しそうに笑っていることもあるからだ。そうなれば、選手も自然と笑顔が出る。びわこのピットはなかなか広く、レースを終えたボートは三々五々、空いている場所に運ばれる。それだけに、それぞれのエンジン吊りの輪は離れており、勝者たちが歓喜に沸いていても、それは遠いところの話に聞こえるかもしれない。

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 1Rで勝った今村暢孝を出迎えた福岡勢は、やけに皆が笑っていた。声を立てて笑う日高逸子の声は、キャッキャキャッキャと聞こえてきたくらいだ。これにつられて、ノブさんも笑う! 今節はなんともリラックスした様子が目立つ今村だが、今日の勝利はさらにその気分を高めてくれるだろうか。(PHOTO/中尾茂幸=鵜飼 黒須田 TEXT/黒須田)

 

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北川幸典はエンジン吊りを待つ間、いつもここにいます。同じ態勢で。実はこの“北川ポジション”、レースが見やすい場所なのですが、レースが終わると速攻で離れるようにしています。北川さんが来る前に。

 

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井川正人連勝! SGジャンパーが良く似合っておりますぞ!