BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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びわこ名人戦 3日目

今日の前付け状況

★枠なり…7レース

★非枠なり…5レース

※うち1号艇以外がインコース…ゼロ

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 大嶋一也や西島義則が外枠だったりした割に、非枠なりレースが少なかった。そのせいか、3連単の三桁配当が2本(ともに枠なりレース)飛び出すなど、今日も全体的に堅かったなぁ。

 私のような穴党にとっては、もちろん外枠が激しく動けば動くほど歓迎すべき展開になるわけだが、もうひとつ待ちわびているものがある。強い追い風だ。

「びわこ水面は追い風が強くなればなるほど、1マークに厄介なうねりが発生します。しかもこの時期は雪解け水が入り込んで水位が高いので、選手にとっては乗りにくいことこの上ない。可哀想ではありますが、多くの選手たちが1マークでうまく握れず、いきなりとんでもない人気薄が差し抜けたりするんです。狙って大穴を召し捕るなら、やはりそんな強い追い風が吹く日でしょうね」(スポーツ報知の関西担当・藤原記者)

 昨日も今日も穏やかなベタ水面だった。選手にとっては願ってもない環境だと思うのだが、節間に1日くらいは思わぬ伏兵たちが暗躍して万シューだらけという水面になってくれないかなぁ。

 

「やりやりのやらず」

 

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 枠なり>非枠なりとなった今日。この不等号に一役買ったのが、10R4号艇の西島義則だった。まずはスタート展示、西島は1号艇の落合敬一をゴリゴリ責めたてた。

「本気でインを獲りに行くけど、さあ、どうする敬一?」

 スタ展では、往々にして1号艇とイン屋の間でこんな駆け引きが行われる。もしも落合が折れて2コースに回れば、西島は「じゃあ本番も行くからな」といった仮手形を手にすることになる。落合は、徹底抗戦を宣言した。そそくさと西島の内に潜り込み、くるりと舳先をスタート方面に向けた。

「どんなに深くなっても、このインは譲りませんよ、西島さん」

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 そう態度で示した。ふたりのスタート展示の起こしは、80mを切るくらい深かった。このとき西島が何を考えたか、本番はどうするのか。これを推理するのが、スタート展示政権下では重要なファクターになる。一発勝負なら「やりか、やらずか」二者択一だが、スタ展という駆け引きが、この選択肢を複雑化させるのである。

①やらずのやらず…スタ展で動かず、本番も動かない。ほとんどの選手がこれ。

②やらずのやり…スタ展では動かなかったのに、本番でいきなり前付けに出る。敵が油断している分だけ成功率が高まる。ただ、他の選手からも一部のファンからも「姑息な手段だ」と白い目で見られることも……。

③やりのやり…スタ展でもしっかり意思表示し、本番も同じように動く。すでに敵に警戒されている分だけ、成功率は低くなる。それでも、「ファンの進入予想を困惑させたくない」という思いから、この律儀な手法を選ぶ選手は多い。

④やりのやらず…スタ展で思った以上に抵抗されたとき、「これでは無理心中になる」と判断して動くのをやめる。または、スタ展で完全に「やりのやり」と敵に思わせ、本番では牽制だけしてイン水域を深くするという高等作戦もある。

 以上の4つが基本戦法だが、さらに細分化するなら、⑤スタート展示は本気にインを奪いに行き、本番ではハナから2コースを目指す「やりやりのやり」(人気の作戦?だ)

⑥逆にスタ展は2コース程度に止めつつ、本番では脱兎の如くインを強奪する「やりのやりやり」(大嶋がたまに繰り出す)なんかもあるな。吉野家のつゆだくだくじゃないけれど。

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 さて、10Rに戻ろう。私は西島の本番作戦を「やりやりのやり」と見ていた。落合にキッチリ抵抗されたから、その男気に免じて2コースで我慢してやろう。イン屋からすれば、そんな講和条約というか譲歩作戦だ。そして、西島は頻繁にこの作戦を用いている。だから私は、西島が「2コースから差すか、まくるか」に絞って舟券の予想していた。

 ところが。ピットアウトから西島はまったく動かず、2コースはおろか枠なり4コースのまま颯爽と艇を引いたのだった。

「げ、やりのやらずだったか!?」

 私と黒須田は同時に叫んだ。(より正確には「やりやりのやらず」?また選択肢が増えた) もちろん、別に腹を立てたりはしない。西島はスタ展で激しく抵抗された。だから、前付けそのものをやめたのである。「このレースで自分が勝ちやすいのは4カド」と判断したのである。スタ展に何の拘束力もないのだから、当たり前の作戦変更なのだ。中には

「なんだよ~、スタ展で2コースだったから4-1で勝負したんだよ。これなら4-1は買わねえよ、騙しやがったな」

 なんて逆ギレするおバカさんもいたりするが、西島は何一つとして騙していない。勝手に勘違いした方が悪いのである。我々には上記のような5、6個の選択肢の中から自由に選ぶ権利を有しているのたから。で、結局「やりやりのやり」で2コースだと勘違いした私も、舟券を外しましたとさ、ちゃんちゃん。

 ああ、それにしても、やっぱスタート展示って、面倒くさいなぁ。「やり」か「やらず」だけの一発予想で勝負したーーーーい!!

 

連載企画 今日のアラセブ

 

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走る人間国宝』加藤峻二と『瀬戸内の静かなるドン』万谷章をとことん応援するコーナーなのだが……初日に続き、今日も舟券に絡むことができなかった。

 

'★加藤峻二…2R5号艇④着 節間勝率3・00

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★万谷章…1R5号艇⑥着 節間勝率1・50'

 1Rの万谷親ビンはスタート遅れがすべて。コンマ25のワーストSから強引にぶん回してはみたが、1艇も追い抜くことができなかった。敗因はスタートだけでなく、パワー的にも中堅レベルはなさそうな気配が臭う。2戦連続の大敗で、早くも崖っぷちに立たされた親ビン。準優には残り3戦で①①②着あたりのミラクルショットが必要になったが、明日の2走で元名人の意地を見せてくれ。

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 続く2Rの峻ちゃんは、5号艇ながらアウト6コースの単騎がまし。この潔さが峻ちゃんの大きな魅力でもある。が、スリットから伸び切れずにブイ差し狙い。バック4番手から、2マークで2着争いに加わりかけたが追い上げ届かず4着に甘んじた。ただ、こちらのパワーは十分に戦えるレベルだと思う。残り3戦で②②②ノルマは楽ではないが、このお方に限っては、どんなミラクルがあっても不思議ではない。

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 そしてそして!!! 明日の7Rに名人戦恒例『夢の対決』が組み込まれたぞ。峻ちゃんVSミスター今村豊。枠番は「②峻ちゃんVS③今村」(=3年前の徳山と同じ。このときは峻ちゃんがイン選手をまくり、その上を今村が2段でまくりきった)。もちろん明日も、ミスターは尊敬してやまない大先輩への礼儀を尽くすべく、全速力でまくり潰しに行くだろう。それをブロックして峻ちゃんが先着したりしたら……とんでもない大穴になるんだろうなぁ。頑張れ、峻ちゃん! そして目指せ、奇跡の100V、万谷親ビン!!(photos/シギー中尾、text/畠山)