明らかに風の強くなったピットに足を踏み入れ、何はともあれ整備室を覗き込んだら、腰が抜けそうになった。
加藤峻二&今村豊!
このツーショット、少なくとも僕は、今節ここまでまったく見かけていなかった。昨日、直接対決のレース後に一瞬だけ、言葉を交わしたのを見たのみ。こうして、向かい合ってペラを叩いている姿を目撃したのは初めて! そのあまりの神々しさに僕は、思わずのけ反ったのであった。
加藤が今村にプロペラのアドバイスを得る図、ということのようで、これがまたなんとも貴重な光景。今村にとって加藤は「雲の上の人」とのことだから、ミスター自身、この瞬間はなんとも幸せなものであっただろう。また、自身も認める偉大なる後輩に教えを請う御大も、もしかしたら特別な空気を感じていたかもしれない。
いや~、ええもん見ちゃった!
その後、加藤は試運転へと向かい、今村はひとりプロペラを叩いていた。名人戦で賞金王ジャンパーを見るってのも凄すぎるよな~、などと僕は改めて今村の特別性に思いを馳せ、しばらくその姿を眺めていた。
そしたら、峻ちゃんが小走りで戻ってきた! そして今村の前に座り込み、何かを報告し始めた。神妙に聞き入る今村。峻ちゃんはちょっと上気した感じで駆け寄っており、手応えがかなり良くなったことを報告したのか? あと、身振り手振りで「こ~んなにうねってた!」と水面状況を報告したりもしていたぞ。
風は強い。気温も下がってピットは少し寒い。でも、レジェンド・コンビを見られた。今日はいい日だ!
というわけで、今日は気候が一変しているのである。空は晴れているけれども、強い追い風が吹き、そして水面は荒れている。1Rから安定板を装着してのレースになっているのは、既報のとおりだ。
エンジン吊りなどでピットに出てきた選手が、しきりに水面を気にしている姿が多く見かけられる。
1R前には展示の準備を終えた原田順一が水面際に出てきて、じっと水面や対岸に掲揚されている旗や吹き流しや横断幕などを見つめていた。原田はさまざまなもののはためき方を見て、風の様子を受信しているのだ。2Rの2着は、風を味方にしてのものだった、ということもできるのかもしれない。
山﨑昭生、瀬尾達也の四国コンビも、1R篠原俊夫のエンジン吊りを終えると水面に見入っている。ただ、二人ともなぜか笑顔。荒れ水面、ぜんぜん気にならないってことだろうか? 難水面で知られた鳴門の選手は波に強いという印象はたしかにあるけれども、山﨑昭生はどうだっただろう?
鈴木幸夫のエンジン吊りを終えたあとの鵜飼菜穂子も、額に手を当てて日光を遮りつつ、水面を見つめた。愛知勢って波に弱いっていうイメージがあるんですけど、どうでしょうか? まあ、1Rでは鈴木が勝っているんですけどね。
そうそう、鈴木のエンジン吊りでは、大嶋一也と鵜飼菜穂子が出てきており、ボートをどこに運ぶか迷っている3人の姿がなんとも微笑ましかった。で、よくよく考えてみたら、3人ともイン屋ではありませんか! いろいろな意味で、愛知支部の層の厚さを感じずにはいられませんでした。
さて、昨日、佐藤幸子と落合敬一のツーショットの件を書いたが、今日は島川光男とのツーショット実現! こちらも54期同期です。フライングの翌日ということもあって島川の表情が気にはなっていたのだが、佐藤と会話を交わす様子はなんとも楽しそうで、久々の同期の邂逅を楽しんでいる様子だった。気落ちはなさそうで、だったら6号艇でも怖い存在のような気がするけど、果たして。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=ツーショットもの TEXT/黒須田)