BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――雨!

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 朝から雨模様の2日目。湿度上昇につき、選手も調整に忙しい……なんていうのは固定観念であって、1R後にピットに入ると、意外にも静かな空気なのであった。朝イチから動いて、一息ついていた時間帯だったのかしらん。整備室を覗き込むと、選手の姿が皆無。2つあるペラ室のうち、3畳ほどの小部屋側には湯川浩司の姿があるのみだった。8~10畳くらいの大部屋のほうには桐生順平をはじめとして数人の姿があったが、それでも昨日に比べれば少ないほう。とにかく、選手の姿が少ないのだ。

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 試運転に出ている選手も多くはなかった。目立ったのは丸岡正典で、強めの雨のなか、ずぶ濡れになりながらも、水面を何周も駆け巡っていた。報われるといいなあ、と思う。その丸岡と足合わせをしていたのは吉田俊彦で、やっぱり勝負を投げ出す様子はまったくない。陸に上がって様子を報告し合う二人の髪やウェアは雨に濡れており、やっぱりその努力が実ることを願わずにはいられない。

 2Rが終わった後には、ペラ室には選手が増えだしており、僕がピット入りした時間はたまたま人影が少なかったということになるのかもしれない。それでも、やはり昨日の慌ただしさとは一変した雰囲気なのは間違いなく、だから雨が水面を叩く音がやけにはっきり聞こえるような気がした。

 

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 ペラ叩きをしていた湯川は、4Rに出陣。窓越しに写真を取ろうとしたら気づかれて、おどけた表情を返された。たじろいでしまったのでピンがまったく合っておらず、ここに掲載することはできませんが。いずれにしろ、展示ピットにボートをつけなければならない3R後ギリギリまで、調整を休むつもりはなさそうだった。

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 一方、ゆったりと過ごしていたのは岡崎恭裕だ。常滑ピットは、装着場に出る際にいったん選手の休憩所の前を通らねばならず、これが毎度緊張させられるわけだが、1R後にピット入りしたとき、ちょうどここに岡崎がいた。今井貴士、田村隆信もいた。なんとなく浮かない表情にも見えたので、何かあったんだろうかと訝しく思いながらその前を通過したのだが、岡崎もまた4Rに出陣、ほどなくボートを展示ピットに移動しなければならない時間帯なのであった。戦略でも練っていたのだろうか。

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 で、装着場に足を踏み入れると、「おはようございますっ!」と朗らかな声が。目をやると、笑顔の吉田拡郎なのであった。吉田は係留所から上がってくるところで、調整を終えて控室に戻ろうとしていた様子。で、そういえば吉田は4R1号艇なのであった。

 やがて2Rが締め切られ、出走6人がエンジンを始動。3Rの6人は展示ピットへと向かう。すなわち、ピットに残っている選手の中で、もっとも間近にレースを控えていたのは4R組なのである。それぞれの時を過ごし、それぞれの表情を見せながら、間もなく迎える戦いの時を待っていたのだった。

 

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 ところで、整備室が閑散としていたと書いたが、2R後にはボートが運び込まれている。赤岩善生だ。2Rを戦った赤岩は、ピットに上がるとそのまま、ボートを整備室に入れたのだ。赤岩は2R、ピストン2本、ピストンリング4本、シリンダーケースを交換して臨んだ。やはり朝イチから整備室にこもっていたのだ。そして、レース後、即座にふたたび本体整備に取り掛かる。次は6R。時間がない! それでも整備を行なう赤岩。ピットには、全力疾走で次の動きに向かう赤岩の姿があった。急げ急げ!(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=赤岩 TEXT/黒須田)