BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

鳴門・女子王座TOPICS 初日

灼熱の弥生まくり

 

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 やっぱり、弥生だ。強めの追い風が吹き続けた今日の鳴門水面、ダッシュ勢のまくりは風に煽られてまったく決まらない。そんな中、艇界随一の男前レーサー宇野弥生だけが、4カドから豪快にイン選手までまくりきった。そのスタート、コンマ02!!!! 師匠の『フライング王』上島久男さんのDNAを引き継ぐこの度胸。

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 結果的に5コース山川美由紀のマーク差しを喫したが、弥生のいるレースはなんとスリリングで楽しいことか。鳴門に照りつける真夏の太陽の如く、我々の全身を、心をヒリヒリ焦がす一撃まくりだった。昨日も書いたが、自力で攻めたてる弥生本人はもちろんのこと、「弥生の外選手」は大いに警戒してほしい。スリットから彼女以上に熱く激しく攻める女子レーサーはいないのだから。

 

 

 

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 それからもうひとり、5コースから自力の握りマイで豪快なまくり差しを決めた、7Rの浜田亜理沙・25歳にも拍手を贈りたい。他の面々とはちょっと異質なタイミングでレバーを握る亜理沙ちゃん。このまま優勝戦まで突き抜けるような大番狂わせがあったりしたら、きっと私は『不思議の国のアリサ』などという陳腐なタイトルを付けるんだろうなぁ。男子同様、関東勢がちっと元気がない女子レーサー界。戸田にやってきた亜理沙ちゃんのちょっぴり不思議な全速ターンが、救世主になるかも知れないぞ!?

 

 

 

賞金クイーンの貫禄

 

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『テクニカル・エリー』の真髄を、見せつけた。あの俊敏かつ精緻なハンドル捌きは、女子レーサー界では“神業”と称していいだろう。まずは4R、5コースの三浦永理は全速握りマイのまくり差しを選択する。逃げる角ひとみには届かなかったが、しっかりと2着争いに持ち込んだ。ただ、3艇団子状態のど真ん中。しかも、自分だけがやや中凹みの苦しい隊形だ。勝負の2マーク、エリーは両隣の2艇よりもいち早くレバーを握り込んだ。内にツケマイを浴びせるような全速マイ。この判断の早さが功を奏し、あっという間に2番手を決定付けた。

 後半の8Rは、スリット同体の4カドから今度はうって変わって二番差し。この初動の早いこと速いこと。内の竹井奈美が握るのとほぼ同時か、むしろワンテンポ早いくらいのタイミングでレバーを放りながら差しハンドルを突き入れた。先マイの金田幸子、一番差しの渡辺千草を追い抜いたのは、それから5秒後のことだった。普通、4コースの2番差しは「3コースが握るのを確認してから差す」が常道だろう。今日のエリーは、「若い竹井が握る」と確信し、ヨーイドンで初動を起こしたに違いない。動体視力の早さだけでなく、常にクレバーに立ち回るレーサーでもあるのだな。

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 パワーなのかテクニックなのか、非常にわかりにくい選手。

 私にとって、こういうタイプのレーサーが何人か存在する。男子なら瓜生正義や池田浩二がその典型だ。そして、女子ではこの三浦永理が筆頭格なのである。今日もあの“俊足”が、どこまでパワーでどこまでテクに依るものだったのか。その比重がどれくらいなのか。さっぱりわからない私なのである。

 そういえば……師匠の服部幸男は「目標の賞金王決定戦を獲って、燃え尽き症候群のような状態になってしまった」と吐露したことがある。エリーも、初代の賞金女王に輝いてから、去年までの凄まじい勢いがやや色褪せた感があった。だが、今日のレースを見る限り、エリーは再び確変モードに突入したと言っていいだろう。向こう4カ月、『テクエリ』の季節がやってきた。

 

オバサマパワー全開!

 

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 昨日のモーター抽選からある程度は予想できたが、40代後半を中心とする熟女レーサーが元気いっぱいだ。46歳の谷川里江、44歳の角ひとみの勝率はともに10・00。44歳の寺田千恵は9・00で、45歳の山川美由紀が8・00。水口由紀・岸恵子の不惑コンビも8・00と上位に食い込んでいる。最年長の日高逸子はドリーム4着で7・00だったが、これからさらに勝率を上げることだろう。今日は「全レース枠なり3対3」という穏やか過ぎる進入に終始した。明日以降、ピットアウトからスタンドを興奮させるのも、もちろん百戦錬磨のオバサマたちに違いない。

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 まあ、まだまだ初日で予断は許さないとは知りつつ、このまま熟女軍団には大いに奮闘してもらって、ドリームを勝った平山智加はじめ宇野弥生、浜田亜理沙、遠藤エミら20代の若手軍団と激しい“女の闘い”を見せてもらいたい。うん、今節は拮抗している世代闘争も大いに楽しむとしよう。貴方はギャル派?それとも熟女派??(photos/シギー中尾、text/畠山)

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