BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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鳴門・女子王座TOPICS 2日目

 昨日は40代のオバサマたちが味わい深いレースでファンを魅了したが、2日目は20代の若きナデシコたちが鳴門水面を賑わせた。熟女ファンには申し訳ないけれど、今日は「20代特集」ってことで、ひとつ!

 

まゆゆ、センター一直線!!

 

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「ボート界のまゆゆ」こと滝川真由子が、元気ハツラツのレースを魅せた。まずは3R、2コースの滝川はスリット同体のイン原田佑実を強引にジカまくり。この強ツケマイはさすがに無理筋で、はるか大外へと流れた。バックでは5番手確保がやっとの態勢だ。が、2マークの手前、滝川がまた豪快に握る。委細構わず大外をぶん回して、一気に2着争いまで進出してしまった。さらに、舳先を並べる堀之内紀代子に全速のツケマイを浴びせ続ける滝川。この強襲はことごとくブロックされたが、25歳らしいケレン味のない全速攻撃は観ていて実に気持ちのいいものだった。

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 そして、後半の8Rは4カドから機敏に差して、嬉しい嬉しい水神祭だ。スリットからわずかに覗いたこのレース、前半と同じく「強引に握るか??」というムードだったが、カド受け・新田芳美の伸び返しを察知して瞬時にハンドルを切り替えた。やんちゃな3R、大人びた8R。その両方を持ち合わせていることをファンに知らしめて、鳴門の水面へとざぶんと飛び込んだ。

 この水神祭も含め、昨日から231着で節間8・00、予選5位。AKBのまゆゆは総選挙で3着止まりだったが、我々のまゆゆは一気にセンター=女王まで駆け上るかも??

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 そうそう、この8Rの最終ターンマーク、大逆転のツケマイで2着をもぎ取ったのも24歳の竹井奈美だった。負かした相手がテクニシャンの中谷朋子だっただけに、この逆転は価値が高い。明日は1号艇が控えている奈美ちゃん、この8Rの機力&気力を100%出し切れば、まゆゆに続く水神祭も十分にありえるぞ。

 

智加・磐石。

 

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 安定感抜群のパワー&テクニックで、平山智加が予選トップを驀進している。前述・まゆゆが大暴れした3R、平山だけが別次元の水面を走り続けていた。6コースから一撃のアウトまくり差しで、バック一人旅。展開の利があったとは言え、ハンドルの初動から突き抜けるまでがやたらと早かった。5本の引き波を超えるパワー、そのパワーを全面的に信頼しているメンタル、それを踏まえて狭い間隙にハンドルを入れるテクニック……すべてが充実・成熟の域に達している。そんな勝ちっぷりだった。昨日のドリームから連勝ゴール。

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 そして、無傷の3連勝を狙った9R。このレースは28歳・平山と24歳・鎌倉涼が手に汗握るデッドヒートを演じた。逃げる鎌倉、差した平山でバック並走。ストレートの伸びは、平山が格段に強い。一気に後輩ライバルを1艇身突き放し、3連勝へと続く2マークを先取りした。が、やまとの時代から「天才少女」と謳われた鎌倉のターンが、また凄まじい。内に切り込んだ福島陽子に強ツケマイを浴びせるようなまくり差しで、そのまま平山の喉元に噛み付いた。一瞬の逆転差し。平山は1ミリもターンマークを外していないから、ここでの攻防は鎌倉の超絶ターンを賞賛すべきだろう。

 

 

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 以前、「ターンの魔術師」中道善博さんがこんな言葉を口にしたことがある。

「道中、普通に1対1のマッチレースでターンをしたら、先マイした選手を差しきるのは難しい。でも、もうひとり、後ろの内側に選手がいたら、それを目標にしてターンするんです。そうすると、1対1よりはるかにスピードのあるターンができることがある。それで私は、何度か逆転で大きなレースを勝たせてもらった」

 今日の鎌倉のターンは、まさにそうだったのかもしれない。再び舳先を揃えたふたりは、その後もターンごとに激しい鍔迫り合いを演じた。平山の猛追を振り切った鎌倉の勝ち時計1分47秒4は、2日間のトップタイムだった。一方、平山の1分48秒1は直前のレースを勝ったまゆゆと同タイムで、さらにその前のレースの勝ち時計よりコンマ1秒速かった。お互いに引き波と水しぶきを浴びせ合いながら、この猛時計。それも踏まえて、この2日間でのベストバウトと言い切っていいだろう。

 

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 惜しくも3連勝を逃したものの、平山はかなり余裕のある暫定トップ。2位に付けたのは、25歳の浜田亜理沙。昨日の5コースまくり差しに続き、今日も2コースまくり圧勝&屈強な40代相手に3着と底知れぬ能力を見せつけた。5位に滝川、9位には29歳の西村美智子様も控えている。もちろん、現在23位の鎌倉、まくり不発で27位の宇野弥生(27歳)も巻き返すことだろう。

 パワーの40代VSスピードの20代。

 こんな極端な色合いが漂う今節、世代を超えた女の闘いはこれからさらにヒートアップしてゆく。(photos/シギー中尾、text/畠山)

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