BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――激しい整備

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 SGドリーム戦組は、12R1回乗りなので、時間がたっぷりとあり、大きな作業を始める選手もよく見かける。たとえば瓜生正義は、ドリーム戦インタビューからピットに戻ると、いきなり本体を外して整備をすることが多く、今日もまた同様だった。整備というより、点検を丁寧に隅から隅までということも多いようだが、レースの準備に急ぐ必要がないうちに本体を割ってみよう、ということらしい。瓜生の場合、こうして初日にして上位級にまでもっていくことが多々あるので、僕はひそかに「前検の気配はアテにならない」選手と認識している。

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 今日は平山智加も本体を割っていた。やはり瓜生のように点検なのか……いや、やや様子が違う。平山の周りには、整備士さんが心配そうに見守っている姿があったのだ。しかも、本格的にバラしていて、シリンダーケースがあらわになってテーブルに置かれたりもしていた。そう、平山は整備士さんのアドバイスを受けながら、早くも本体整備に取りかかっていたのだ。

 たしかに、昨日のドリーム会見では景気のいい言葉が聞かれなかった。本体も含めて調整、というようなことを口にしてもいた。やはり今日になっても感触はいまひとつなのか。また、ドリームに選ばれたことへの責任感も平山には芽生えていたか。思えば、好機を手にした女子王座では、ほとんど大きな動きを見せていなかった平山。あれからわずか3週間、今日の平山は実に対照的な様子なのであった。

 ほかに本体整備をしていたのは、田村隆信。ただしこちらは1R前にはモーターを装着し、水面に出る準備をしていた。まさしく点検程度、だったかもしれない。

 あ、あと平石和男はゲージ擦りを始めているようでありました。何度も書いているが、「早い段階でゲージ擦りを始めた選手はエンジン出てる」の法則に照らし合わせれば、昨日の畠山シュー長の見立て通りということか。その横に座り込んだ山崎智也と談笑しながら、柔らかな空気を醸し出しつつの作業であった。

 

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 昨日もペラ叩きの様子を記しているが、今日もまたペラ調整所は密集状態であり、それぞれに調整を進めていた。池田浩二は、かなりガッシンガッシンと叩いており、昨日の谷村一哉状態。よく見ると、ほかにも強力に叩いている選手がけっこう多く、池永太もかなり力を込めて木槌を振り下ろしていた。池田は12R1回乗りだから、一日を通してジックリ作業を進めていくことになるだろうが、池永は3R出走だからあまり時間は残されてもいない。それでも恐れずに力いっぱい叩いているのだから、自分のイメージとはかなり違う形状なのだろう。

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 考えられるのは、まず気候の違いか。今年の猛烈な酷暑から一転、昨日はやけに涼しい一日だった。今日は太陽燦々の好天だが、昨日の気候を引きずってか、まだそれほど暑くはない。猛暑の中で仕上げられてきたペラがこの気候で調子を変えた? その可能性はおおいにあるだろう。

 あと、これは昨日青山登さんに教えてもらったのだが、男子と女子では、ペラの調整が違う、と。女子は体重が軽い分、回転が上がりがちになるので、男子には合わないというか、形もまるっきり変わることがあるというのだ。丸亀の前節はオール女子戦。池田と池永のモーターは使われてはいなかったが、たとえば谷村のモーターは使用されており、前操者・坂田麻衣と谷村の形状はまったく違っていて当然。出走表ではぜひ前操者をチェックしてほしいわけだが、つまりは前節の気配が引き継がれるとは限らないわけだ。

 あと、青山さんは「丸亀は今節から新ボートになった。使っていたモーターと新ボートはセッティングが難しい可能性がある」とも言っていた。舟券予想の際にボートはあまり重視しない人が多いと思うが、実際は影響が大きいとのことだ。

 そんなこんなで、今節は、というか今日明日くらいはペラ調整に忙しい選手が多くなりそうだ。気配の変化には注意しなければならないだろう。

 

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 さてさて、オープニング1Rは齊藤仁が1着。「1日目」「1R」「1号艇」さらには「1号機」を引き当てた仁ちゃんが、「1着」。いきなりピンラッシュである。このあといくつ1を並べられるだろうか。

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 惜しかったのは赤坂俊輔。バックでは川北浩貴と2番手争いを演じ、2マークで赤岩善生と接触して後退、しかし追い上げて赤岩との3番手争いをややリードするかたちでいながら、3周1マークで行き場がなくなり失速。最下位にまで転落してしまった。レース後はさすがに悔しげに顔を歪ませていて、深川真二が慰めるように笑いかけていた。また、競った赤岩や川北が赤坂になんとも丁寧に頭を下げており、このときばかりは赤坂もちょっと恐縮気味。気配は上々と見えただけに、次は勝って赤岩や川北に自ら頭を下げにいきたいところだぞ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=平山整備 TEXT/黒須田)