BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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丸亀MB記念 優勝戦 私的回顧

スリッター毒島

 

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12R優勝戦

①毒島 誠(群馬)02

②平石和男(埼玉)01

③篠崎元志(福岡)F+02

④菊地孝平(静岡)12

⑤中島孝平(福井)07

⑥新田雄史(三重)12

 

 

 

 

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 良くも悪くも、レースを作ったのは元志だった。3コースの起こしから、ぐんぐん進軍する。それを隣ではっきり見て取れる平石も、怯むわけにはいかない。怯んだら、簡単に元志の異次元ターンの餌食になってしまう。で、平石も行くから、毒島も引くに引けない。「気持ち悪かったけど、思いきって行った」毒島のスタートはコンマ02。平石はコンマ01、タッチ。そして、この電撃スリットを演出した元志は……完全にハミ出していた。

 

 

 

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 あるいは、元志はスリットで気づいていたかもしれない。コンマ02といえば、40cmほどのハミ出し。「気持ち悪い」を超越する体感だったに違いない。それでも、元志は攻める。「入っていた」と無理にでも信じて。攻めるしかないのだ。昨日よりも有利な態勢から、昨日と同じような全速のツケマイを平石に照射した。

 そして、平石はキッチリとこれを受け止めた。だが、それを意識した分のロスと元志の引き波が、わずかに自慢のレース足を鈍らせる。最短コースをくるり旋回した毒島が、一気に関東の大先輩を突き放した。毒島の足も、凄かった。優勝タイムの1分47秒1は、今節のシリーズレコードだ。静水面だったとはいえ、似たような環境で逃げきった10Rの太田より1秒3、11Rの瓜生より1秒4も速い。その差は直線にして20mくらいだろうか。

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「正直、どんな気持ちで1マークを回ったか、まったく覚えてません。とにかく3周が長かった」

 本人は真顔でそう振り返ったが、実は、今節でいちばん短い3周だったのだ。無我夢中の只中にあっても震えることなく、完璧なターンを繰り返したのである。怯まなかったスリット、1ミリも漏らさなかった1マーク、そして極上の勝ち時計……あの新田と死闘を繰り広げた新鋭王座から3年半。毒島は確かな心の成長を遂げて、もうひとつ上の舞台の頂点に立った。そう実感させる3周だった。

 

 

 

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ボート界の熱闘甲子園をこの赤城の若者が制し、群馬は前橋育英高校とともに“甲子園2冠”に輝いた。おめでとう、上州の新たなるエース・ブス君!!

 嗚呼、それにしても、元志。賞金ランク3位の身の上で、このスタート。昨夜、私は「何をやらかしてくれるか、もう私にはさっぱりわからない」と記したが、こんなコトをやらかすとは……私は批難も同情もしない。ただ、脳みその襞という襞に「元志は、私の手に負えない規格外の男」だと改めてキッチリ刻み込んでおこう。それが、いつか舟券の役に立つ。大いに反省してから、また心おきなく暴れてほしい。

 最後に……4コースが72連敗って、今までのSGであったのかしらん??(photos/シギー中尾、text/畠山)

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