BOAT RACE ビッグレース現場レポート

BOAT RACE ビッグレースの現場から、精鋭ライター達が最新のレポートをお届けします。

THEピット――本気!

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 機力が足りなかったので、アレしか狙ってなかった、という。1R、バック4番手から2マーク小回りで2番手争いに浮上した江崎一雄だ。ツイてました、と本人は謙遜するが、ツキだけであの芸当ができるものだろうか。スーパールーキーらしいポテンシャルとも言えるし、何かをもってる男だということになるのかもしれない。その後本体整備に取り掛かった様子は前半記事に記したが、リング交換も含めて、やれることはすべてやったそうだ(終盤にはペラ調整に没頭していた)。「遠慮なく先輩をぶっ倒したい」と宣言した開会式。この男、本気である。

「思いっ切り先輩ぶっ倒してね!」

「ボッコボコにしてやりますよ!」

 悪戯っぽく笑った江崎。その意気や良し! ボートレーサーはこうでなくちゃ面白くない。

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 11Rでは同県同期、福岡100期勢の豪快な競り合いが見られた。4カドから伸びてまくりを狙った松尾昂明をイン松崎祐太郎が張り飛ばしたシーンだ。松崎は不良航法をとられてしまったが、ファンからすればまくりを飛ばすのがインの哲学。それでもまくるのがまくり屋の(カドの)哲学。僕は、いいものを見た、と思った。もちろんお互いにケガには気をつけてね。

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 で、レース後の松尾の憮然とした表情も、またカッコ良かった。もちろん松崎が詫びを入れに行っているのだが、松尾は決して笑わなかった。健闘を称え合おうともしなかった。その後、カポック脱ぎ場では対戦相手たちと語り合ってはいたが、朗らかであっても明らかに苛立った様子。ボートレーサーはこうでなくっちゃ! 言うまでもなく、戦いが終わればノーサイド。これで禍根が残ることはない(と思う)。それでも、レース直後に無念をあらわにした松尾は実に凛々しかったことも確かなことで、こうしたガチンコバトルがファンの心を熱くするのである。

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 その松尾に、和田兼輔が「伸びたな! 俺、全速やぞ!」と声をかけている。松尾は「マジ!? 落としたかと思った」と振り返っているが、両者のストレートの足にはそれほどまでの差があったわけだ。「松尾に伸び」はボートレースことわざ辞典には「チョー面白いこと」と書いてある。実際のところは和田もかなり苦しい足色のようだが、いやあ、これは明日からも松尾に注目しないわけにはいかないでしょ! もちろん、痺れるレースを見せてくれた松崎も、減点を巻き返すべく頑張ってほしいぞ。

 

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 さて、唯一の地元戦士・金子賢志。初日はイン逃げを決めて上々の発進。相棒となったエース機14号機の気配も文句なしであった。

 ただ、レース後に金子はペラを叩いている。勝ったのはいいが、どうにも違和感がぬぐえなかったようなのだ。いつもの自分の形と違ったのはともかくとして、足の特徴がストレートに偏っていると感じていたようだ。そのままエース機パワーを信じて乗り続けるか。それとも違和感を取り除くべくペラを叩くか。結局、金子は後者を決意し、少しだけだったそうだが、木槌をふるったわけである。

 結果。「ストレートは少し落ちたかもしれません」。しかし! 「出足は来ました!」。やや落ちた直線系の部分を補うだけの出足をゲットしたというのだ。つまり、思うような仕上がりとなった。もっといえば、エース機がさらにパワーアップしたのだ!

 大先輩の青山登さんによれば、「賢志はネガティブな表情になることも多い」。しかし今日の金子は超ゴキゲン! 去り際に親指を立てて「バッチリバッチリ!」と最高の笑顔を見せたのだから、今日の時点では不安はいっさいなし、であろう。2日目以降も、地元の雄を見逃すわけにはいかないぞ。(PHOTO/中尾茂幸 黒須田=江崎 TEXT/黒須田)

 

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谷川祐一がヤングダービーに出られない、なんて話が開会式でもあったわけですが、実は現在29歳の加藤政彦も来年5月には30歳になってしまうので、出場できない。最初で最後の新鋭王座、思い切り暴れてくださいね! 今日は遅くまでペラを叩いていましたぞ。