BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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桐生・新鋭王座TOPICS 2日目

真打、躍動。

 

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 まあ、これは毎年の決まり事でもあるのだが、同じレースで1~6着を分け合ったドリーム戦士たちが、今日は別々の舞台でその自力を如何なく発揮した。

 特に凄まじかったのは、篠崎仁志と桐生順平か。5Rで仁志が5コースから目の覚めるような超高速まくり差しを決めると、負けじとばかりに6Rの桐生は4カドから針の穴を通すような精緻にして俊敏すぎるまくり差しを突き刺した。どっちの割り差しも、間違いなくSGレベルのそれだった。

 

 

 

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 後半の10R、仁志は3コースのまくり差しをヘグッてしまいバック最後方に。そこから追って追って追って追って、最後はハナ差で3着を奪ってしまった。1マークの失敗は反省に値するが、その後の猛追はやはりSG級だ。一方の桐生は、12Rで2コース差しから危なげなく2着ゲット。インの磯部には完全にパワー負けだったが、2コースから簡単に8点を取りきるあたりはさすがの桐生クンだった。仁志も桐生も、私のパワー診断は中堅ど真ん中。このまま簡単に優勝戦の1・2号艇を分け合うほど楽なパワーではないが、だからこそ明日以降もビギナーからベテラン舟券オヤジまでを唸り感動させるような“腕”を披露してくれるに違いない。

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 そしてそして、ドリーム3着だった前田将太も、今日は1・2号艇の好枠を利して当たり前のようにピンピン連勝。本当に、あっという間に逃げきり、あっと言う間に差し切った、みたいな2連勝だったなぁ。この20点増しで、将太が一躍予選トップに躍り出たことをお伝えしておこう。ちなみに桐生は6位、仁志は13位。明日から、この順位を巡るそれぞれの思惑&攻防が、さらに桐生水面を沸騰させることになる。

 

 

 

 

 

 

 

桐生名物『半周ラップ』考察

 

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 さてさて、桐生といえば1マークを中点としてスリット→スリット裏まで計測される「半周ラップ」だ。出足、回り足、行き足、伸びのすべてが網羅されるこの時計の優秀さは、このコーナーでも何度か記してきた(他場にある「1周タイム」と同じ理屈だが、やはり選手が実戦を意識してガチで走るのは、1マーク側だと私は思う)。

 で、昨日から全24レースの半周ラップをチェックしてきたのだが、「やっぱり、かなーーり秀逸だよなぁ」と改めて実感したものだ。たとえば、昨日はこんなレースがあった。

 

'初日3R   半周ラップ 展示タイム

①岡村慶太 18・24   6・57

②後藤翔之 18・16   6・56

③尾嶋一広 18・87   6・72

④青木玄太 18・21   6・60

⑤高倉孝太 18・56   6・61

⑥荒井翔伍 18・72   6・60'

 

 半周ラップは「①②④の速い組」と「③⑤⑥の遅い組」に完全に二分されている。そして、このレースの結果は4-2-1。速い組が上位を独占したのだが、私が感心したのは結果だけではない。道中を見ていると、ターンマークを回るごとに「速い組」と「遅い組」の距離がどんどんどんどん開いていったのだ。3艇…………3艇ってな感じ。

 これだけタイム差があると、こういう現象が起こるんだなあと妙に感心したわけである。右上に記した展示タイムだけでは、まずはわからない現象でもあるな。

 ではでは、この2日間でやたらと半周ラップの目立った選手を3人だけピックアップしておこう。

'★青木玄太 18・21→18・32→18・26

★宮地元輝 18・42→18・30→18・23

★磯部誠…18・46→18・58→※18・07'

 

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 青木は3走ともに水準(18・50前後あたりか)をはるかに超えている。宮地はレースのたびに少しずつ上昇し、今日はトップ級の時計に仕上がった。そして、磯部誠は今日の断トツのトップ時計18・07を弾き出した。※印は1号艇の意味で、引き波を受けない1号艇が他艇より速いのは当たり前ではある。が、全体的になぜか昨日よりも時計がかかった今日の水面で、1号艇とは言えこの時計は出色だった。この3選手は明日以降も軽視は禁物だぞ~!

 中には、昨日~今日でかなり変動した選手もいる。これも何人か見ておこう。

'★上昇型・大池佑来 18・65→18・53→18・26

★下降型・深谷知博 ※18・11→18・44→18・77

★急上昇型・秋元哲 19・12!→18・80→18・25!!!!

★急下降型・松尾昂明 ※18・30→18・35→18・80'!!!!

 

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 上昇している大池や秋元は、もちろん狙い目十分。逆に右肩下がりの深谷や松尾は「何か調整ミスがあったか??」と疑ってかかる手もあるだろう。私の場合は、①ヒモ選手を絞るとき、②大口勝負しようとした選手の最終パワー診断の参考データとして利用することが多いな。ちなみに、1号艇でメンバー中トップ時計だった選手(24R中13人)の成績は……

①①③①①①④①④①①①①

 やはり、信頼度は高い。着外にしても、インから同期競りでブッ飛んだ松崎祐太郎などそれなりに明確な敗因がある場合が多い。逆に、トップ時計ではなかった1号艇の選手(11人)は……

③①転①④①⑤⑥④①②

 勝つには勝っているが、信頼度は格段に落ちる。つまり「このレースの1号艇は逃げられるかどうか」を判断する際に、半周ラップのトップだったかどうかをチェックするだけで大いに参考になると思うぞ。(photos/シギー中尾、text/畠山)