BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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THEピット――ダービー開幕!

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 お誕生日おめでとうございます!

 そう声をかけると、白井英治はニッコリ。それまで眉間にシワを寄せてクールに決めていた白井が、ふっと表情を緩めた。うん、カッコいいな、ホワイトシャーク。どう考えても37歳という事実がピンとこないわけだが、だからこそ早いところ「SGにもっとも近い男」は返上しないとね。4Rではバースデーウイン。お見事! やはり絵になる男なのである。

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 4Rでその白井と競り合ったのは石川真二。1R後、石川は「僕の開会式のコメント、聞いてくれました?」と声をかけてきている。たしか「平和島の水面は大好きです」と言ってましたが……。

「強調して言ったんですよ」

 そう言って、石川は悪戯っぽく笑った。もしかして「水面は」を?「そう、水面は大好きですから」。ダハハハ、何があったんだ、平和島の陸の上で。それを詮索するのは野暮というものだが、とにかく水面が好きということは、我々舟券買いにとっては歓迎すべきこと。6号艇から2着と上々の発進を決めたあたり、平和島水面好きの面目躍如といったところだろう。

 

 

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 そうそう、1R後にピットに入ったとき、真っ先に顔を合わせたのは井口佳典だった。井口、1Rに走ってましたよね?(1号艇3着)それなのに、もう赤いカポックを身に着けていた。後半8Rは3号艇。それにしてもすごい早業ではあるまいか。1Rから戻ってきて、速攻で控室に向かい、カポックを取り換えたということだ。井口は対岸のビジョンに映されていたリプレイをしばし見入ると、早足で自艇のもとに向かっている。すでに次なる戦いの準備に入っていたのだ。1号艇での敗戦に、苛立つ部分もあったのだろうか。

 と思いきや、こちらの姿を見かけると、実に柔らかな笑顔で話しかけてきてくれる。もちろん敗戦を引きずっていなかったわけはないと思うが、優しさを忘れることはない井口なのである。

 

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 2R、フライングが出てしまった。秋山直之と新田雄史。秋山は近況リズムが悪くなかっただけに、これは痛い。ピットに戻ってきた秋山の顔つきは、さすがに落胆の色が濃く、視線も下を向きがちなのであった。

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 新田も、もちろん痛恨。このダービー次第では、賞金1位の池田浩二を逆転し、突き放せる可能性もあったのだから、悔しい勇み足に違いない。とはいえ、秋山ほど表情が暗くなかったのも事実。すぐに師匠の井口が寄り添って、笑顔で話しかけていたことが大きかったのではないか。師匠がそこにいてくれるってのは、心強いものだ。新田も師匠の手前、残り5日間のレースを投げることはしないだろう。人気が落ちるなら狙い目と見た!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)