BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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平和島ダービーTOPICS 初日

満身創痍のミスター、奮闘!

 

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 フライング2本の大荷物を背負って上京したミスター今村豊が、②②着と上々のスタートを切った。もちろん、スタートで無理はできない。3Rは枠なり3コースから、コンマ22発進。普通ならドカ遅れに近いタイミングだが、前の2Rでフライング事故が発生した影響で?ほぼ横並びのスリットに。こうなると、「3コースのミスター今村」である。迷わず握ってイン烏野賢太の外を付け回り、危なげなく2着を奪いきった。50歳を超えた今でも「同体なら全速握りマイ」の鉄則を崩さないのがミスターの凄いところなのである。

 

 

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 後半7Rは、6コースからコンマ18。しっかりとレースに加わり、4コース作間章の絞りまくりに連動して、狭いところをズッポリ差し込んだ。これまた、危なげなく2着ゲット。F2の身の上で、3・6号艇での②②=8・00はデカイ。ダービー勝率6位で「ドリーム戦の6号艇が欲しかった~~!!」と毒島誠にチクリ一刺ししたらしいミスターだが、見事に鬱憤を晴らす初日ではあったな。

「賞金王よりダービー」

 かねてからこう宣言し続けている52歳の天才レーサーに、“諦め”の二文字はない。

 

 

 

 

 

 

ダービー戦線、異常あり??

 

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 F2のミスターが活躍する一方、初日で脱落あるいは大ピンチに立たされた有力選手が多々出現した。まずは、2RでFに散った秋山直之と新田雄史。どちらもここ数カ月、上々のリズムだっただけに、この一頓挫は痛い。特に、現在賞金ランキング15位というポジションに付けている秋山にとっては、激痛の勇み足と言えるだろう。

 

 

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 さらに、毎年賞金王のボーダー付近で注目を浴びている赤岩善生が、いきなり苦境に立たされた。2号艇&4号艇という枠番をまったく生かせず、⑥⑥着と水面を這い回ってしまった。「どうした、赤岩??」と叫びたくなるような惨敗ぶり。賞金ランク36位だけに、このダービーから一気に盛り返したいところだが……明日の1号艇でよもやの大敗、などということになれば、賞金王入りにも黄色ランプが灯る赤岩なのである。赤岩ファンは、メイチの頭勝負で応援すべし!

 

 

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 賞金ランク5位の井口佳典も、よもやの苦杯を喫した。『おは特』のような1R1号艇で、深川真二、茅原悠紀の2弾まくりを浴び3着を取りきるのがやっと。10点ノルマのようなレースで、この6点は想定外といか言いようがない。さらに後半の8Rは3号艇で見せ場も作れず、道中の競り合いでもズブズブとずり下がって6着に沈んだ。1・4号艇で③⑥着=3・50……もちろん、賞金王戦線に大きな影響があるわけではないが、このまま予選落ちするようでは年末へのリズムも怪しくなってしまうぞ。

 

 

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 初日に連勝発進のいない戦国ダービー。台風の到来も含めて、下克上の匂いがぷんぷん漂うシリーズになりそうだ。そうそう、ドリーム戦の王者・松井繁も何もできずに6着に終わったし。今節のキャッチフレーズは『新王者、生まれる』。この“予言”が、初日にして現実味を帯びてきた。

 

 

 

 

独断パワー番付

 

 昨日の前検でピックアップした5人の成績は……。

'★★瓜生正義…DR①

★★田村隆信…①

★馬袋義則…⑤

★中澤和志…⑤

★烏野賢太…①'

 

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 まあ、数字的には及第点を与えてもいいのだが、道中の足色は??の付く選手が多かった。まずは瓜生。ドリームを圧勝したものの、スタート勝ちの印象が強い。行き足~伸び、つまりセカンドの足が昨日とまったく違った気がする。今朝のドリーム選手インタビューで「自分のスタイルに叩き変える」と公言した通り、大胆にペラを叩いた可能性は強い。だから、昨日の私のS評価とは「別物のパワー」として、新たにチェックし直す必要がある。ドリーム戦を見ての暫定評価は、A。

 もうひとりのSランク田村も、「恵まれ」で勝つには勝ったがちょっとがっかりする部分があった。ターン出口から押して行くレース足。その重要な部分で、吉田拡郎にわずかだがやられていた。行き足~伸びは及第点でも、そこが気になるのでAに降格しておく。

 馬袋、中澤は一度の惨敗で見限ることはできない。特に、中澤の展示時計6秒45はぶっちぎりの一番時計。回り足が苦しいのは承知の助、この暴力的な伸び足が生きる展開になれば、S一撃の大穴が期待できる。

 烏野は前半戦で唯一のイン逃げを決めた。回ってすぐに押して行く足を中心に、間違いなく上位級はある。あるいはSかも知れない。初日を終えての番付は…

 

'Aランク

★瓜生正義(行き足)

★烏野賢太(レース足)

★田村隆信(行き足)

★馬袋義則(バランス)

★中澤和志(伸び)

★平田忠則(回り足)

★山崎智也(行き足)'

 

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 最後に記した智也は、今日の足合わせで超ゴキゲンに見えたのだが……実戦では2コース差しがまったく届かず4着。うーーーん、引き波を超える足に課題があるとしても、あの惚れ惚れする直線のパワーはランク外にはできない。道中の追い上げが強烈だった平田とともに、A級昇格。とにもかくにも、S級評価が消えて、パワー的にも戦国ダービーだとお伝えしておこう。

 あ、ちなみに、今日の断トツ勝ち時計は茅原悠紀だった。気候が穏やかだった点を考慮しても、1分46秒1は速い。伸びーーーる20号機の底力、やはり怪物級なのかも??(photos/シギー中尾、text/畠山)