もっと違和感があるのかと思っていたのだが、意外とそうは感じなかった。田口節子だ。本来であれば、今日からここに来るべき存在ではない。あさってに堂々たる主役として登場するのが当然であろう。だが、今日そこにいることは不思議とあっさり受け入れられた。これはたぶん、賞金女王決定戦&シリーズ戦を去年1回しか見ていないからだろう。こちらの感覚がまだ固まっていないのだ。それでも「節ちゃんがシリーズの前検にいるんだよなあ……」という感想は浮かんでくるのだが、それが感慨のようなものには今日はならなかった。
思えば、昨年の田口は一節を通じて、ピリピリしていた。笑顔はほとんど見られなかったし(池上カメラマンとももクロ話に興じるときくらい)、会見などでのぶっきらぼうな雰囲気は何かに追い詰められている様子がありありとあらわれていた。新設されたGⅠに主役を張ることの重圧が感じられるものだったのだ。
もちろん、今日の田口にはそうした雰囲気はない。そりゃあ、気は楽でしょう、去年に比べれば。風格のようなものはさすがとしか言いようがないが、SGや女子王座で見る田口ともまた違った、穏やかさが感じられたように思う。
これが、決定戦組が合流して変わるのか変わらないのか、そのあたりがちょっと気になってきた。
まあ、言ってしまえば、一般戦である。決定戦組がいない今日(と明日)は、まさにいつものオール女子戦だ。ふだんのオール女子に比べれば、相手が強い人ばかりではあるし、報道陣もやたらと多いわけだが、ここに特別な空気が立ち上るということはない。
というわけで、たとえば女子王座と比べても、和やかな雰囲気を感じますね。僕は去年の大村は途中参戦だったので、よく考えればシリーズ戦前検の雰囲気を味わってはいなかった。それもあってか、これまでの前検とはまるで違う時間をピットで過ごしている気分になった。選手たちの慌ただしさはSGともそれほど変わらないが、緊張度みたいなものはやはり薄く感じますね。もちろん、これはこれで居心地がいい。
小野生奈が元気ハツラツに動き回っているのを見て、「初出場の小野が……」などと文章が浮かんできたりしつつ、「いや、オール女子戦には山ほど出てるよな……」と思い直したりして。もっとも、元気娘・小野のことだから、これが女子王座だろうが決定戦だろうが、きっと変わらずハツラツと動くのだろうが、しかしこの場が実は一般戦なのだと改めて知らされる風景だったりする。
一般戦だから、あっせん決定自体も他とは一風変わってますよね。まず、賞金ランク12位以内の選手も含めた42人が決定し、発表される。決定戦の選考締切(今年は11月24日)はそのあとにやってくるから、決定戦出場選手が確定すると、当然シリーズ戦からは除外されるわけである。で、その抜けた分が補充されるわけだが、これ、追加扱いなんですな。長嶺豊さんに激励された今井裕梨が「追加ですから、ボチボチやります~」なんて笑っていたが、なんとも不思議な光景に思えたものだった。もちろん、水面に出れば追加も何も関係なく、全力で優勝を目指す。それでも選手の口からあっさり「追加」という言葉が出てくるのが驚きではあった。SGとかは「繰り上がり」はあっても、「追加」はないですからね。
というわけで、なんだかんだと「一般戦感」を覚えてしまったわけだが、それが彼女たちの戦いの価値を下げるわけではない! 彼女たちはれっきとして「もうひとつの賞金女王」を争う強いナデシコたちなのだ! 賞金王でも賞金女王でも、開催2日目からはどうしたって決定戦組に目を奪われてしまうわけだが、しかしシリーズ戦に意味がないなんてことはありえない。賞金女王シリーズは間違いなく、「もっとも濃密でレベルの高い一般戦」であり、つまりは「特別な舞台」なのである。
決定戦にも劣ることない、熱い名勝負を期待してます! 頑張れシリーズ組!(PHOTO/中尾茂幸 TEXT/黒須田)
当然、ドリーム選手共同記者会見も行われています! 宇野弥生は「一人で乗っている感じは悪くなかった」と前向きなコメント。逃げろ!
遠藤エミは「いい感じがない」と弱気なコメントに終始していました。センター戦となるだけに、面白い存在になるはずなんだけどなあ。
永井聖美は「このままではレースにならない」と、行き足のひどさを嘆いています。明日はまず3Rに登場。どこまで直せるか!