BOAT RACE ビッグレース現場レポート

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賞金王シリーズ戦TOPICS 初日

「チーム女王」の凱旋

 

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 新旧の賞金女王覇者、現役の女王……3人のマイ姫が住之江の水面で華麗に舞った。スタンドのド肝を抜いたのが、今年の女子王座を制した金田幸子だ。6R、2コースの金ちゃんは、スリット同体からインの平田忠則を直まくりで攻め潰してしまった。SG初出場の緊張感や気後れなんぞ、微塵も感じさせない強気の全速アタック。さすが、「意外性の金ちゃん」だな。デビュー戦2着、デビュー4戦目に1着というのもそれなりのサプライズだが、SG初出走でいきなり初勝利とは。3連単57260円の大穴を引き連れて、水神祭へと向かった。

 

 

 

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 続く7R、今度は去年の賞金女王覇者・三浦永理が、同じ2コースから卓越したテクを披露した。スリット横一線、インの鎌田義を行かせて完璧なタイミング&スピードでの差しハンドル。ターンの出口で、歴戦のツワモノたちを2艇身以上も突き放していた。これぞ、『テクニカル・エリー』の真骨頂。

 そして真打、つい3日前に賞金女王に輝いた平山智加は、勝ちきれなかったものの非凡なセンスを随所に見せつけた。1号艇の3Rは、超抜パワー・前本泰和の差しを喫して2着。ただ、前本の後方から必死に喰らいつき、ターンするごとに3番手以下を引き離していく姿は迫力があった。

 

 

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 後半8Rは、2周1マークで魅せた。道中5番手の苦しい戦いを強いられていた平山は、強いホーム追い風を背に受けつつ、大外から全速でぶん回した。セオリーとしては無理筋、流れてさらに着を落とす危険も秘めていたが、この全速マイがものの見事に決まる。2艇を追い抜いて3番手進出。その後も、追いすがる後続艇を全速の抱きマイで交わし続け、危なげなく3着を確保した。焦点の2周1マークでの全速マイは、半端なスピードでは絶対に通用しない。あのターンが決まったことが、「平山智加のスピードがSG常連にヒケを取らない」という証なのである。1・3号艇での2・3着は威張れる成績ではないが、着順以上の“強さ”を感じさせた。

 女王3人合わせて①①②③着。この歴代クイーンたちのオール3連対の進軍がどこまで続くか、楽しみに見守るとしよう。

 

ありえぬ2着

 

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 また今節も、この男のことを書かねばなるまい。桐生順平。5・6号艇という鬼門とも言うべき外枠で、あれよあれよと2着を並べてしまった。5号艇の1Rは、枠なり5コースから全速でぶん回して2番手進出。こう書くと簡単に聞こえるだろうが、スリット隊形は生半可なものではない。桐生のコンマ24に対して、3コースの石川真二がコンマ16。半艇身ほど先を行く敵の舳先を叩き、さらにコンマ13で先マイした丸岡正典をもまくり切る勢いだった。これぞ、強襲。こんな弓なりの放物線を全速で描ききれる選手、今は桐生の他にはいない、と思う。

 後半の10Rは、道中の追い上げでミラクルを起こす。このレース、6コースから最内を差したがまったく届かずバック6番手。完全な惨敗パターンだ。が、ここから伝家の宝刀が炸裂する。そのまま最内を真っ直ぐ走って、マイシロがあまりないまま2マークに突入。物理的にどう考えても真横に流れるはずの桐生のターンは、水を噛み、そのまま舐めるようにブイ際をくるりと回り、あっという間に4番手に進出した。これまた桐生にしかできない「360度、折り返しターン」だ。

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こうなると、もう勢いは止まらない。止めようがない。ホームで外に持ち出すと、2周1マーク、今度は委細構わず全速でぶん回した。前述、智加ちゃんの全速ターンも見事だったが、やはりスピードと迫力はこちらが上。瞬く間に2艇を追い抜き、完全に2番手を取りきった。最内くるりん差しで2艇、大外ぶん回しで2艇……両極端な2つのターンの組み合わせで、4艇を追い抜いてしまった。1点止まりのはずの予選得点が、1周足らずで8点に跳ね上がっていた。

 エンジンが出ているのか出ていないのか、道中でほとんど判別できない選手がいる。瓜生正義や池田浩二、女子では田口節子などがそうなのだが、桐生の場合は……まったく判別できない。これは当てずっぽうだが、今節の桐生は(も?)あまり出ていないような気がする。それでいて、このターン、この追い抜き……桐生順平、お前はいったい、何者なのだ??

 

独断パワー診断

 

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 初日の段階で、前検のパワー診断を検証・修正しておこう。と言っても、ほとんど修正する必要はなさそうだ。平山を差しきったSS級指名・前本泰和の足は、やはり節イチだと思う。今日のスリット~1マーク~ターン出口までの一連の流れを見て、「全部がいい」と確信した。1分46秒4の勝ち時計も、他を圧倒している。出足~行き足を主体に、高いレベルのバランス型だ。

 

 

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 今日は1・2号艇で⑤①着だったS級・西村拓也の足も、かなりイケている。特に、行き足~伸び。前半4Rはインコースで大敗したが、完全なスタート負け。伸び返す前に福島勇樹、守田俊介に仕掛けられ、一気にまくられてしまった。負けて足色を疑うより、このレースでの西村の展示時計6秒59を高く評価すべきだろう。この断トツの時計を弾き出した伸び足は、もちろんセンター~外枠でさらに威力を発揮する。スリット同体からでも内の艇をすべて潰しきれる破壊力だと思う。

 Aランクに指名した林美憲、山口剛、白井英治、峰竜太も、十分に戦えるレベルと見た。いちばん狙いたいのは、まくりが流れて大敗した林。どこかで大穴を開ける気がしてならない。

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 で、新たにAランクに加えたいのが三井所尊春と鳥飼眞のふたり。今日はそれぞれ④⑥着、④着とイマイチだったが、三井所は行き足~伸びに光るものを、鳥飼には道中で追い上げる回り足に力強さを感じた。今日の成績だけで人気が下がるようなら、しっかり舟券に絡めて中~大穴を狙ってみたい。ちなみに活躍した女子3人の足は……軽量などもあって、現状よく分かっていませんです、はい。(photos/シギー中尾、text/畠山)